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Re: 単細胞生物と多細胞生物 -システム相同か?- (Multicellular organism and Unicelluar organism -Homologous systems?-

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Kazuhiro Iida

なし Re: 単細胞生物と多細胞生物 -システム相同か?- (Multicellular organism and Unicelluar organism -Homologous systems?-

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2012/3/11 22:07
Kazuhiro Iida  管理人   投稿数: 68

次いで要素システム群を確認するステップに移ります。


(2)要素システム群

先の2つのブラックボックス(BB)のそれぞれに対応する物理サイズ、入出力のマッチングを考慮しつつ、先のローパスフィルタとしての性質を実現している要素システム(群)を考えます。

いわゆる貯蔵に関与する組織は複数ありますが、大腸菌のグリコーゲン顆粒、人間の(特に)肝臓は、物質とエネルギーの貯蔵庫の役割を持つと言われ続けていますので、これらの組織に注目します。

その物理的サイズは、大腸菌全体、人間全体に比した体積比で両者とも概ね1/1000~1/100の範囲(環境から栄養が存在する状態で)です。

入出力の関係を決めるBBとして適切なのは、
グリコーゲン顆粒では顆粒とマトリクスとの界面、
肝臓では(サイズ比から)肝全体とするのが良いでしょう。

先に注目した個体への入出力に対応するこれらのBBへの直接的入力は、
グリコーゲン顆粒の場合、ADPグルコース
肝臓の場合、グルコースの他にアミノ酸、脂質球(これらをまとめて以下では低分子量栄養と呼ぶことにします)を含む血液(胆汁生成、解毒等、別系統の機能はここでは見ません)。

出力は、
グリコーゲン顆粒の場合、入力と同じADPグルコース
肝臓の場合も、入力と同じ、低分子量栄養を含む血液です。

次に入出力の関係を見てみますと、
ともにグリコーゲン顆粒の場合ADPグルコース、肝臓の場合は低分子量栄養の血液成分比を
ほぼ一定に保つような定値制御系を成しており、
そのうち特にショートレンジの定値制御系部分を担っています。

すなわち
グリコーゲン顆粒BBでは、入力としてのADPグルコースの濃度が消費されるかグリコーゲン合成に使われるかして濃度が低下すると、グリコーゲン分解酵素に対するADPグルコースの負のアロステリックフィードバックが抑制されてグリコーゲン→ADPグルコースへの分解が進みADPグルコースの値がもとに戻るような局所の定値制御系があり、
肝臓BBでは、(サイズの対応関係で粗い言い方をすると)血液の低分子栄養濃度が上がると肝細胞がそれらを取り込み、下がるとそれらが肝細胞から血液へと放出されるような(肝細胞膜の性質に帰着できる)局所の定値制御系があります。

(※それら、さらに低次の要素システム群については上の粗視化レベルではとりあえず無視します。)

しかもグリコーゲン顆粒BB、肝臓BBは、ともに、その調節対象自体を変質させてため込むという「リザバー」を有しています。
グリコーゲン顆粒の場合グリコーゲン、肝臓の場合(粗視化レベルを合わせると)肝実質がそれです。
グリコーゲンは、大腸菌がそれからATPを直ちにとりだせる物質ではありません。肝実質も、それ自体が血液に溶け出て利用されるような成分ではありません。

ともに、利用するには制御対象を取り出すための仕組みをわざわざ用意する必要がある要素であり、
ともに、その取り出し仕組みがあることで局所定値制御系が構成されているという図式です。


これらのことから、大腸菌のグリコーゲン顆粒と、人間の肝臓とは、入出力、BBとしての挙動から見て、先に「個体レベルのBBで仮定した程度」の相同性を保っているようです。

次に、個体としてのBBの入出力と、それら一部の要素システムを結ぶ他の要素システム、およびそれらの接続関係について見てゆきます。


(つづく)

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