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生命の起源 #978 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
978
DATE
01/14/1999 11:33:29 AM
TITLE
[life:00978] Re: selfreplication - Calvin Cycle
AUTHOR
Kazuhiro Iida <iidakek@***.***>
BODY


横林様 LIFEの皆様


飯田:> > 2.リブロースジ燐酸の増減について
> >中略.
> > 例えば,a + b -> a + e という「反応式」では [a]は時間的に不変ですが,
> > a + b -> a + e という定常状態の定量関係では[a]は時間的に変化します.
>
横林さん: タイプミスでしょうか?よく意味がわからないのですが。

飯田:

[a]は a の濃度の意味です.
反応式も定量関係の式も a + b -> a + e と同じに書いてありますが,中身は
違います.その違いは,「もっと簡単な説明」の欄で再度説明いたします.


>飯田: > 定常状態としての理解:
> > 合成量に注目して下さい.盛んに合成されていても盛んに消費されている
> > 状態では増減が見えません.
>
横林さん> まず、複製というからには増えなければ意味がありません。
>
> 反応の前後で増減が無いが、反応を促進する分子を化学では
> 「触媒」と言います。この場合のRuBPは派手に共有結合を切
> ったりくっつけたりしていますが、結果的にはCO2の固定化の
> 触媒(の一つ)であると言ってもよいと思います。(原子レ
> ベルでみるともとのRuBPの炭素原子がサイクルのあとの炭素
> 原子とはかならずしも一致しないので厳密な触媒とは言えな
> いと思いますが)

飯田:

見た目であまり増えないように見えるという理由では,ご指摘の通りです.

>飯田: > もっと簡単な理解:
> > 分裂したての細胞が持っているリブの量と成長分化した細胞が持っている
> > リブの量は同じでしょうか?後者が多いとしたらなぜでしょう?
>
横林さん:
> これは違うと思います。細胞分裂の際にはRuBPの生合成や
> カルビンサイクルに関係するするたんぱく質の遺伝子ごと
> 複製されているわけで、決してカルビンサイクルが自己複
> 製してもう一つのカルビンサイクルが分裂後の細胞に出現
> したわけではありません。そうでなければ細胞内物質はす
> べて自己複製分子になってしまいます。

飯田:
誤解されるような質問をしてすみません.
これは,リブが自己複製分子であることを言うためにした質問でなく,
リブを含むカルビンサイクルが(J. Maynard-Smithの立場で)
自己触媒系で,リブは自分がきっかけとなってどんどん無限にコピー
されていることを指摘するためです.系全体がコピーされるという
指摘ではありません.

もう一つのわかりやすい?例.
例えば,暗くなってカルビンサイクルへのATP,NADPHなどの供給が
止まるとか,リブの前段階の反応が抑制されるとリブの量(濃度)
は減少するでしょうし,前段階の反応が(基質濃度の増加や
温度やPHなどの影響などで)促進されると増加するでしょう.

定量関係の式が化学反応式だとすると,それらの有無にかかわらず
リブの量は不変のはずです.


横林さん:
> 以上まとめると、カルビンサイクルにおいてRuBPの立体構
> 造は各ステップで分子認識されて、情報伝達も起こってい
> るが、化学量論的に見て自己複製系とはよべないというこ
> とになります。

飯田:
判定結果は同じです.(^^)
でも,リブの合成反応だけ見ていると増えているという
Maynard-Smith的な見方もあります.
見た目の濃度の増減は判定の基準としてはやはり曖昧ですし,
具体的反応式(過程)に言及する必要がでてくると思います.


飯田@NEC基礎研究所
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Kazuhiro Iida, "Life and Evolution '99 --> "
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305-8501 Japan.
Phone +81(298)50-1142, Facsimile +81(298)56-6136.
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