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松浦@JTS研究部です.
ちょっと説明が足りなかったようですね.
どうもすいません.
On Mon, 20 Apr 1998 13:30:42 +0900
mmaeda@***.*** (Miki MAEDA) wrote:
> >こういうロジックだとすると,母細胞を作る機構は,あらゆる抗原のそれぞれに
> >対して,有効な母細胞をあらかじめ知っているということになるのでは
> >ありませんか?
>
> 有効であるというよりもランダムにいろいろなものを作っておいて、その中で有
> 効なものを使うということなのかなと、私は解釈しています。
はい.遺伝子再構成によって,ランダムに生成されることは,免疫系の入門書にも
そのように書いてありますね.
> >つまり,免疫系は,現在においては存在しないけども,将来においては発見
> >されるかもしれない抗原に対抗する処方箋も持っているということになるんじゃ
> >ないかと思うのですが.
>
> 確かそうだったと思います。私の理解では、抗体は予めいろいろなものができて
> いて、それらが胸腺で自分の持っている抗原に対する抗体を作る細胞が排除され
> ることによって自己免疫を防いでいたのだと思います。この仕組みがうまく働か
> ないときに自己免疫疾患が生じるのだと。
私がここで処方箋と書いたのは,ある抗原と,それに有効な抗体の組み合わせを,
あらかじめ免疫系が全部知っているという意味です.
たしかに,抗体はランダムにいろいろなものが生成されるのでしょうが,
免疫系はただランダムに作っているだけで,特定の抗原の排除を目的として
生成しているわけではないですよね.
つまり,たまたま作ってみた抗体がヒットしただけ,というのが免疫反応の
エッセンスなのだと私は理解しているわけです.ただ,たまたまできた抗体が
すごいたくさんあって多様性も大きいので,ヒットする確率もそれなりに
大きなものになります.だから,免疫系は自身の多様性に助けられて機能する
機構なわけです.
で,こういうたまたまヒットするだけの反応で,どうして1度目と2度目の反応に
差が出るのかというのが私の疑問です.抗体を生成するところに何らかの
フィードバックがなければ,このような現象を説明することは不可能なのでは
ないでしょうか.
例えば,1度目の免疫反応の結果が抗体生成ロジックに通知され,抗体生成
ロジックはその通知を参照して,抗体生成の確率分布を変化させる(今回有効
だった抗体の生成確率を上昇させる).そして,2度目に同じ抗原が侵入してきた
ならば,以前よりも多くの抗体が生成されるので,免疫反応はおのずと前回とは
違ったものになる...
というような仕組みになっているのではないかというのが私の考えです.で,
だとしたら,これは具体的にどのようになっているのか? 特に上述の通知を
行っているのは何なのか?
免疫系をいろいろ調べてみても,この点についてなかなか明確な解答が得られ
ないでいます.何かご存知でしたらご教授願います.
同じような視点から,末梢性免疫寛容の仕組みにも興味があります.この2つは
まったく同じロジックで構成されている可能性もあるのではないかと,私は
考えています.
□■ 松浦 賢一 (株) ジャパンテクニカルソフトウェア 研究部
■□ matsuura@***.*** Research Department, JTS Co., Ltd.
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