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(つづき)
具体的には,
1. 自己触媒分子ならば,走化性によって消失を免れることができる
ということを示しました.
そして,
その反応過程を,幾つかのphysical criteriaをとおして観察すると,
2.特定の部分系が出現することを示しました.
(自己触媒分子とは,自分が触媒として自分を生成する反応を促進する
ような分子で,DNAや,無機結晶などです.最近ではオリゴペプチド
も示唆されています.)
(走化性とは,餌のある方向へ進んでゆき生き残るという性質で,バク
テリアや線虫がよく例に挙げられます.)
以下のような自己触媒系のとても簡単な例
(1) y + n -> 2 n : autocatalytic reaction
n: autocatalytic molecules such as origopeptides
y: substrate molecules such as amino acids
(2) n -> z : degeneration
z: nonreactive degrated molecule
(3) jn = -Df ∇[n] : diffusion
jn: flux of the autocatalyst
Df: diffusion constant
をシミュレーションします.ただシミュレーション
するのでは面白くないので,迷路の一カ所に基質分子 y が
供給されているとして,そこからyが拡散して定常な分布
を作っているとします.yの供給点から遠く離れたところへ
自己触媒分子 n を少しだけ注入してやりますと,これが増殖
しながら,迷路を抜けてyの供給点に到達しました.自己触媒
分子でない場合,当方性に拡散して分解消失してしまいました.
上は,言ってみればあたりまえの結果ですが,生命の起原に
おいて自己触媒分子ならば,「空間的にも」自己保存的な系が
自動的に構成されることを示せたと思います.
さらに,その反応を幾つかの physical criteria を
とおして観察してみました.
(つづく)
飯田@NEC
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"Life and Evolution '97"
Kazuhiro Iida,
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305-8501 Japan.
TEL +81(298)50-1142, FAX +81(298)56-6136.
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