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荒 様 ＬＩＦＥの皆様
> 荒＠京大農です．
> >地表にぶつかった際に壊れるだろうという心配も，微小な彗星核の場
> >合は小さく，また大きくても，落下する場所によってはほとんどの有
> >機物が分解を免れる場合があると，斉藤先生はおっしゃってました．
>
> これはウイルス粒子とかをいれておいても大丈夫ということなんでしょうか？
> さすがに落下実験はできないでしょうが、微小な彗星核?無機容器?反応炉
> のように考えると、かなり高温になると思うのですが、サイズが小さければ
> 到達温度も低くなり、燃え尽きたりしない+衝突による衝撃による崩壊反応
> も少ない、ということでしょうか。
飯田：
彗星で予想されている有機物が何であるかは，明示されなかったように記憶してお
りますが，ニュアンスとしてはアミノ酸程度の比較的低分子の有機物
のように聞こえました．ウイルスのような高分子が宇宙空間で固体反応系
で，生じるという話しはなかったと思います．固体反応ということについては
簡単に書きますと，だいたいこういうことです．
以下の話しは，斉藤先生，小林先生のご発表とは直接の関係はありません．
学会で聞いた中では，宇宙空間での有機物合成には，大きくわけて
１．地球の大気圏の上層に降り注ぐ紫外線，宇宙線による自然合成
２．宇宙塵の表面での反応
３．彗星等の比較的大きな核の表面の氷の層で生じる反応
があるそうです．
１．の機構は，原始大気（二酸化炭素，窒素，水蒸気を主とする）に強烈な
太陽の紫外線が作用で生じる光化学反応で，アンモニアやシアン化水素
などができて，それを元にアミノ酸等を生じる，
２．は，宇宙に散らばっている，微小な珪酸などの粒子の表面に吸着した
窒素や，二酸化炭素，水が，強い宇宙線によって反応するもの．そのままでは
また乖離してしまうが，粒子に触れていることによって急速にクエンチされて，
アンモニアなどの有機物が生じた状態で表面に固定される，
３．は，核の表面に存在する氷に解けている二酸化炭素や窒素などに，
直接宇宙線が作用して，氷の中で固体反応を介して有機物が直接合成
され，それが，氷によって分解を免れる，．．．
というストーリーです．
何にしても，自然合成に必要な高いエネルギーが供給され，
さらに，クエンチングがうまく起こるような条件が整っていれば，
有機物特にアミノ酸は，これまで考えられていた以上に，簡単かつ
大量に生じるという意見が多く聞かれました．
その一方で，脂肪や，ヌクレオチド，二酸化炭素からの出発した
自然合成の模擬実験はうまくいっていないという話しも多く聞かれました．
システム方面から見ていると，よくわかりませんが，生体の材料が
どのように出来たかという議論は，まだ決着がつくには時間がかかる
ようです．
何が正しいストーリーなのか．．．実験結果の羅列がまだまだ続きそう
な気配です．
（実験をやっていないので完全には理解できませんが，
自然合成の問題は，それほど奥が深いらしいです．．）
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"Life and Evolution '97"
Kazuhiro Iida,
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305-8501 Japan.
TEL +81(298)50-1142, FAX +81(298)56-6136.
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