生命の起源フォーラム (ORIGINS OF LIFE FORUM) - help
生命の起源フォーラム (ORIGINS OF LIFE FORUM)
Welcome to 生命の起源フォーラム (ORIGINS OF LIFE FORUM) - help -
生命の起源 #81 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
81
DATE
09/17/1997 01:24:24 AM
TITLE
[life:000081] Re: Material is not primitive things for Life
AUTHOR
"ohto@***.***" <ohto@krc.sony@***.***>
BODY


大戸です。

初期の生命システムが形成されるに当たって必要な物質基盤の重要性と、
生命システムが内在している「場」との相互作用性による、初期物質場
による束縛からの離脱についてです。

At 10:58 97/09/17 +0900, Kazuhiro Iida wrote:
> このスレッドでは,生命システムにとって物質の特性が
> それほど重要でないのかどうかについて議論されるのだ
> と理解します.

DNAを良い例として、しかし、DNAには縛られない形として、
生命システムの持つ、再利用性などの機能について話題提供してい
き、この上で情報システムとしての(工学として有用な形の)生命シ
ステムの可能性の示唆を考えています。

そういうわけで、最終的には生命システムを構成する要素は「物質」
である必要はなく、概念的に「情報」の流れと考えていくことにな
ると思います。

つまり、「物質基盤」であることが生命システムの必要条件と仮定
した段階で、私の議題は「生命システム」ではなくなるのですが、
この段階においても、「工学的応用」という観点からすると、非常
に有用なものであることには、変わりがないと考えています。

> ohto@***.*** wrote:
> > 1.システムは下位構造を積極的に利用する
> > DNAは生命素としての位置より、システムに積極的に利用されたにす
> > ぎない
> >
> > 2.システムの持つ変化に対する内部応力は重要である
> > これを切り離して考えることはできない
> >
> > 3.システムの初期の立脚基盤を無視して変化しうる
> > システムは生成時の立脚基盤から遊離した形に変化しうるため、現段階
> > のシステムをただ追うだけではいけない。また、原型的なものにはそれ
> > ほどの大きな価値を付加することは危険である
>
> 2.に関しては,もう少し詳しい説明が必要として,1.3.の
> 意見には,「大筋で賛成」です.(1.3.は,Cairns-Smithの遺伝的乗
> っ取り仮説と同じラインに乗っていると思います.この仮説は,残念なが
> ら実証例はないそうですが,非常に魅力的なアイデアです)

上記の仮説自体は知りませんでした。ただ、「乗っ取り」が主ではありませ
ん。「想発」に関する概念の方が、感覚的に近いものだと思います。
#ちょっと違いますけど...

> しかし,特定の物質の性状が重要だったか否かについては
> 立証が難しいので,さらに議論を深めるためには化学合成や物質面からの
> 研究者の意見が必要だと考えます.
>
> つまり,
>
> a.使える物質の種類は,最初それほど多くなかった可能性がある
> からです.

私の仮説はこれを否定していません。初期のプレーンな状況をシステムに対
する基盤として発生した生命システムが、さらに後発の生命システムを生み
出すための基盤/材料になっている、ということです。ですから、初期状態
(生命前状態)では、自ずと、利用できる素材(システム要素)は限られたもの
となるであろうし、また、その構造も単純なものであったと想像します。

この仮説で重要なことは、後世に残る形質であるという、単純な要請により、
自己保存機能が「選択」された訳であり(そうでなければ、現存していない)、
また、そのような物質群の存在そのものによって、システムの成立基盤が変
化するために、どんどん新しいニッチが形成され、これに適応選択される形
で、新たなシステムが... と環境が豊かになるというダイナミクスの存在が、
生命システムに備わった特質であると考えられることです。
#まだ、一面的ではありますが...

生命システムを育む初期状態が必須であるという事実は、歴然としたもので
はあります。これを満たすための物質が生命システムを生み出すきっかけ以
上のものを要求しないという意味で、私は「物質がプリミティブではない」
といっている訳です。

> 多くの構造バラエティー,機能のバラエティーを生成するのに一次元の
> ポリマーは,まことに都合が良い性状を備えています.そのような性質
> を備えることのできる物質で,適当な反応性を持つ物質は,もしかする
> とペプチドや,オリゴヌクレオチドだけだったかもしれません.
> こうした場合,物質も重要と言わざるをえないと思います.

全く否定していませんし、これらの情報が生命システムを理解する上で非常
に重要な地位にあることも認識しています。情報性、機能性の意味からして
も、ポリマー構造は十分にシンプルで、かつ複雑な表現形を取っています。
そういう意味では、生命システムの発生時における物質の持つダイナミクス
が、そのシステムの動向を規定しているのではないかとも考えたりします。
つまり、最終的に「物質的束縛」から「情報系」に移行できたとしても、物
質の持っていたダイナミクスに「束縛」することになるのかも知れません。
我々の知っている生命システムが一種類?であるため、この可能性は否定で
きません。

> (上の議論はもちろん,コンピュータ内部の生命を議論しているのでは
> ありません.)

どちらでも構わないと思います。



-----
Go to page top