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生命の起源 #771 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
771
DATE
06/17/1998 09:30:44 PM
TITLE
[life:00771] Re: Proteome project
AUTHOR
ara@***.*** (Takeshi Ara)
BODY


荒@京大農です。

「酵素の活性について」

一般に酵素の基質は試験管内で実験する限り、幅はある方が普通でしょう。
生体内ではそれらの基質のうち、その酵素の局在する空間にどれがあるかとか
いうことで「生理的に意味のある機能」を特定したりしますが、その生体内の
基質も存在環境変動や生きている間で変動します。「あるタンパク質に結合する
こと」が機能であるタンパク質では、複数の結合対象があることも普通ですし、
タンパク質分解酵素の対象幅はいろいろです。これらの結合、分解活性も、
生体内で相手が自分のそばに存在しているかどうかということで「生理的に
意味のある機能」を特定したりしますが、かなり大変な実験です。実際の生体
内では、あるタンパク質があったとしても、細胞内の環境変動で構造がちょっと
かわたり、マイナーな変異を受けた分子種もあるでしょうし、代謝システムの
構造のゆらぎはかなり大きいのが普通なのではないでしょうか。実験屋もそれ
らのメジャーなタイプを生体から抽出して実験できるだけなんですよね。もちろん
解像度をあげるべく日々努力はつまれているのですが。

活性測定では活性が高い方が測定が楽なので、測定する溶液組成条件は人為的に
経験的最適化が行われます。実際にはよくわからないけどこれいれたら活性が上
がったとか。ただこれも高い方がより生体内の条件を再現しているかどうかはわ
かりません。ただ酵素の物性としてはこうだ、ということはわかります。


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荒 武 (Takeshi Ara)
京都大学 農学研究科 農芸化学専攻 植物栄養学研究室
Tel : 075-753-6108 FAX: 075-753-6128
e-Mail : ara@***.***
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