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(つづき)
荒様 LIFEの皆様
飯田:
エントロピー云々というのは,おっしゃるようにwhat is life
で議論したことがベースになっています.物理的クライテリア
は,エントロピーなどの物理量をベースに書かれます.さらに,
その物理量は,物質の化学ポテンシャル温度など,システムを
規定する,より細かいパラメタから得られます.
(だいたい次のようなストラテジーです.具体的数値を得る場
合は,それらのパラメタの値を決め,シミュレーションする必
要があります.
1.解析的手段でつめれるところまでつめてシステム構造を選び,
2.そのシステムをシミュレートすることで実際にクライテリア
を満す部分系を検出する,
3.最後に物質を使った実験で確認する.
といったストラテジーです.)
>飯田:もし,
>検出する基準に幾つかの階層を設けることができるなら,
>それらが次々に満たされてゆくことは進化に相当するという
>具合に考えます.)
荒さん:
この階層自体はどのようにしたら定義できるのでしょうかね。
いくつかこれに類する議論は過去にあったような気はするのですが。
飯田:
ええ,LIFEで議論したことがありますね.
私はその定義についてまだ具体的に議論してはいません.:)
たぶん階層でなくて,系統樹のような関係なんだろうと思ってます.
イメージ的にはこうです.
先のスキームは,システムの構造と,それを評価する物理的
クライテリアから成ります.物理的クライテリアは,現在,起
原を問題にしていますから,できる限りシンプルな条件式を探
しています.しかしそれ以外にも,その条件を,どれくらい早
く達成できるか?とか,特定の悪条件が重なった場合でも達成
できるか?とかいった,より細かいクライテリアを考えること
ができるでしょう.
それらのクライテリアの組み合わせが,一つの系統に相当し,そ
の組み合わせのどうしの関係が,系統樹に相当するようなイメ
ージです.それらの枝に相当するクライテリアの組み合わせを
満たす部分系が順に出現するとすれば,それは進化に相当する
のではないでしょうか.
千葉さん:
Maynard Smith と Szathm'{a}ry は,情報がコードされ,それが
世代間に伝達されていく方法に生じた主要な移行について議論して
います [Maynard Smith 95].
すなわち,その方法に何らかの慣性が作用している系を単位として
階層をなすのではないかと思います.
何らかの慣性というのがよくわかりませんが.
[Maynard Smith 95] John Maynard Smith and E"{o}rs
Szathm'{a}ry, The Major Transitions in Evolution,
W.H.Freeman/Spektrum Akademischer Verlag, 1995. (長野 敬訳,
進化する階層, シュプリンガー・フェアラーク東京, 1997.)
飯田:
ありがとうございます.遺伝情報の伝達に注目する見方ですね.
早速勉強させていただきます.:)
情報の伝達様式というのを具体的にどう書いているのか
たいへん興味があります.
飯田@NEC
(つづく)
--
"Life and Evolution '97"
Kazuhiro Iida,
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305-8501 Japan.
TEL +81(298)50-1142, FAX +81(298)56-6136.
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