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飯田＠ＮＥＣです。
先日，生命が満たすべき必要条件として
１．代謝系であること
２．物理的境界で区切られた部分系であること
３．センサ，プロセッサ，アクチュエータ構造を持ち，刺激に
対して反応すること
を挙げました．これらは生成原理でなく生命と言えるか否か
という識別に関する条件です．
（生命とは何かという問いに答えるには，その生成機構，原理
についても議論が必要ですが，これらについては別にテーマを
設けて議論したいと思います．）
本日は，１の代謝系であることについて補足させていただきます．
１）代謝系とは，
ここでいう代謝系とは，次のような性質を持つ系をイメージ
しております．
１．非平衡状態にある全体系の熱力学的ドライブによって
生じる．
２．そのドライブによって生じる物質と熱力学量の変換を伴
う流れの一部である．
３．その流れの中に部分を区切った場合，その部分系に秩序
が形成され維持される．
１．の全体系の熱力学的ドライブによって生じるとは，
生命という部分系が区別される以前に，生命の形成を引き起こす
熱力学的ドライブが存在しなければならないことを指します．熱力学的
ドライブの無いところに生命は生じないと言い換えることもできます．
２．の流れとは，物質や熱力学量の空間的移動，物質の種類，状態間
の変化を指します．この流れに伴って全体系に散逸を生じます．
２．の変換を伴う流れの部分であるとは，代謝それ自体が部分を区切
るのでなく，内外の区別もないことを指します．生理学では，代謝を
同化作用，異化作用に分けて説明します．同化とは，外側から内側への
物質の流れ，異化には内側から外側へのそれという方向性があり，内外
の区別が明確です．ここでいう代謝とは，内外を特に区別していません．
（後付けに同化，異化を分けることは可能です．）
３．の秩序が形成されるとは，先の部分系が，何らかの意味で区切られ
る時，その部分系のエントロピー収支が負になっているような状態を指
しています．（逆に，任意の部分系を区切る時，その内外のエントロピ
ー収支が負であるような部分系は，代謝系です。）部分系も流れの一部
であり散逸を生じていますが，部分系の外との物質と熱力学量のやりと
りの結果として収支が負になることを言っています．
（次のメールで，所与の系が代謝系であることをどう判定するかについ
て述べさせていただきます．）
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"Life and Evolution '97"
Kazuhiro Iida,
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305 Japan.
TEL +81(298)50-1142, FAX +81(298)56-6136.
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