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生命の起源 #366 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
366
DATE
11/18/1997 06:37:12 AM
TITLE
[life:000366] Re: E-Cell
AUTHOR
"Kazuhiro Iida 飯田一浩 NEC基礎研究所" <iida@***.***>
BODY


小野 様 LIFEの皆様

Vゴールの熱さめやらぬ飯田です.
(なんか日本という国もまだまだいけるって感じ...)

小野さん> いま試みているのは、
> 1、Fontana のAlChemy やEigen のHyperCycle のような、
..
> 2、それに空間(先ず1D、とりあえず2D)を導入する。
..
> 3、物質間に相互作用を導入して、集合、反発させる。
> 特に異方的な相互作用によって膜状の集合を作れる物質を
> 含むようにする。
> 4、膜を作る代謝系(局所的に集まった酵素のセット)が
> 生き残ったり、分裂したりする...?

1.2.は全くのAL.
3.4.あたりになると物理化学が入ってってきますね.

小野さんの視点では,1.2.3.4は連続したもの
かもしれません.でも,1.2.と3.4との間には
凄く深い溝があるように思います.モデルを作る目的
そのものが異なると思います.

私は,物理化学法則を含む3.4の方に興味があるので,
まず,そちらから指摘させていただきますと,

まず,

1.もう少し実験結果を含む常識的事実を尊重すべきです.

リン脂質が膜を作るには水が必要であること,その分子が適当な
大きさ長さを持っていることが重要であることは周知の事実です.
小野さんの言う1.2.的に「どんな”システム”が境界を形成
するか?」あるいは「どんなシステムが部分系として認識される
か?」と考えるべきでないと思います.

むしろ,

2.明らかに部分系として認識される,膜や,膜胞が形成され
  維持されるには,最低限どんな相互作用が必要か?と考え
  る方が合理的です.

少なくとも要素間にはそれらを集中させる力,例えば,凝集力や
位相の同期などが不可欠で,その要素の一部では逆に,それらを
離散させようとする反発力が必要です.(このように,考えると
解析的手段すら使える可能性がでてきます.)

3.そうしたことをまず「素直に」書いて,そこから先を考えて
  ゆけば良いのではないでしょうか?

それでは,人為的だとか言われるかもしれませんが,その条件を
満たさないシステムで,境界らしき構造が観察されたとしても,
膜や膜胞ではあり得ないと言えるような,エレガントな条件を書
けばいいわけです.

どんなシステムが境界を形成し,部分系として認識されるか?
と考えることは,膜や膜胞以外の境界もあり得る.それを探す
ということで,1.2.と同じスタンスになります.それは大
変な仕事です.しかも自然をモデル化しようとしたにもかかわ
らず,自然から離れてゆきます.

(続く)


飯田@NEC
--
"Life and Evolution '97"
Kazuhiro Iida,
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305 Japan.
TEL +81(298)50-1142, FAX +81(298)56-6136.


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