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生命の起源 #340 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
340
DATE
11/11/1997 12:57:17 AM
TITLE
[life:000340] Re: E-Cell
AUTHOR
"KOUICHI Takahashi-S" <t94249kt@***.***>
BODY


高橋です。

| > ケンブリッジ大学のグループ等は分子同士の相互作用を熱力学的に
| > 計算して代謝系の一部をシミュレーションしているようですが、

| 飯田:恥ずかしながら,存じません.
| このグループについて,教えていただけませんか.

ここのボスはあのD.Bray です。
# こんどSFCを訪問することになりました
chemotaxisのシミュレーション等のソフトウエアを開発していたはずです。
いまペーパーが手元にないのであとでrefを調べておきます。


| 高橋さん> E-Cell Systemが採用しているStructured Substance-Reactor Model
| では
| > System クラスのオブジェクトを使って位相的な空間を定義することができま
| > す。基本的に木構造です。木の大きさと枝の数は無制限です。
| > さて、膜の主要な機能を考えてみますと、
|
| 中略...
| > 1. 3つのシステムA,M,Bを定義して、システムM上にあるReactorの
| > 基質A上のSとし、生成物をB上のSと置くと膜の主要な機能である
| > 物質輸送を実現できます。
|
| 飯田:リアクターが木の幹で,その枝の交換が物質の輸送,
| というイメージで良いですか?

ちょっと違います、、、

・木構造のなかに有向グラフ構造が入れこになっています。
有向グラフ同士は一部で結合しています。
・大きな木は培地や細胞質や細胞膜等の場の包含関係を表現するもので、
これらのノードは「システム」クラスオブジェクトです。
・小さなほうの有向グラフは反応経路を示すもので、反応器と物質の
二種類のノードで構成されます。

# 反応といわずに反応器(Reactor)というのはオブジェクト指向モデリング
# の手法として、反応という抽象概念を具象化したほうが都合がいいからです。


| 高橋さん> 2. AとBに跨がって物質を操作するReactorをM上のみにしか置かない
| ように
| > 徹底すれば、0又は任意の曲率の膜を位相幾何学的に定義できます。
|
| 飯田:???

・均一な空間D0で任意の二点A,Bをとったときにこれらの二点を
結ぶ曲線は無限に存在します。
・領域Mを、Mを通らずに到達できる互いに排他な点の集合が二つ、
領域D1,D2が生じ、D1+D2=D0であるように定義できれば、Mは膜です。

これは、E-Cellでは膜の内部と膜の外部のオブジェクトA,B間の
物質のやりとりを全て、さらにシグナリング等の情報のやりとりも
全て別のオブジェクトM上の反応器が行うということと同値です。


| 高橋さん> 3. 膜オブジェクト自体にリン脂質やその他の膜形成分子の分子数か
| ら
| > 膜内部の体積を計算することができる機能を付加できるようになっていま
| > す。
|
|
| 飯田:膜の体積が,いつでも計算できるわけですか?

膜のというか、膜がかこんでいる空間の体積は膜が持つべき情報
ですから、膜オブジェクトは細胞の状態が遷移するごとに
体積(つまり細胞質の体積)を再計算します。計算方法は
どのようにでもモデリングできるようにしてありますが、
リン脂質の分子数と膜タンパクの量から表面積を求め、
M.genitalium場合だと球型、E.coliなどだと筒型などの
形態を仮定して体積を求めることを一応想定はしています。
体積の情報は分子数から濃度を求めるときに不可欠です。


慶應義塾大学s 環境情報学部 (Bioinformatics Lab.) ‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾
高橋 恒一
_____Kouichi Takahashi t94249kt@***.*** _______


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