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生命の起源 #1898 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
1898
DATE
04/13/2010 07:14:16 PM
TITLE
[life:001898] FW: Re: Hubble Space Telescope
AUTHOR
山岸 明彦 <yamagish@***.***>
BODY


Lifeの皆さま

私の友人の駒宮さん(東大の物理所属)にLifeの議論へのコメントをもらいました。い
よいよ難しくなってしまいましたが、難しいということがわかる事も進歩?かなと思っ
ています。
ご参考までに転送します。

山岸明彦

Subject: Re: FW: [life:0001896] Re: Hubble Space Telescope

山岸様、

これは難しい問題です。私が言うとさらに混乱
を招き収集がつかなくなるかも知れません。
宇宙の膨張による光の波長の伸びと、光源が遠ざかって
いるために為に生ずるドップラー効果が、同じ効果
を及ぼすということは直観的には難しいです。
時間の経過を考えると良く分からなくなります。

結論からいうと一般相対論には反していません。

遠方の銀河の静止系で発した例えば水素分子の発した
光の波長をλ0として、我々が観測した光の波長をλ
とすると、宇宙の膨張で波長は伸びるので
赤方変位は z = (λ-λ0)/λ0 となります。
z+1 はその時点から現在までの宇宙の膨張率です。

銀河が遠ざかる速度をvとすると赤方変位zは、
ローレンツ変換で、
z=sqrt[(1+v/c)/(1-v/c)] -1
となります。c は真空中での光速です。

v<<c のときには、z = v/c と近似できます。
しかし、z = 5 の銀河の速度が v = zc
ではありません。このように速く遠ざかっている
銀河にはこの近似は使えません。

正確には
v = c * [(z+1)^2 -1]/[(z+1)^2 +1]
ですので、v<c です。
どうやっても光よりも速くはなりません。

相対論では因果律が保証されています。
あらゆる情報やエネルギーはたかだか光の速さ
でしか伝わらないので、また宇宙の年齢は
有限(137億年)なので、
光速*137億年=137億光年 より
も遠くの現象は誰にも見えません。
これを宇宙の地平線といいます。

但し、因果律が成り立たない遠いところ
の物質などが我々から光の速さよりも速く
遠ざかっていることとは矛盾しません。
宇宙の地平線の外側からの情報や
エネルギーは我々には達しませんので
関わりあいござんせん。
また、宇宙の膨張の過程で、宇宙の
地平線までの距離は長くなっていきます。

宇宙は非常に広い範囲をみると(100Mpc = 300万光年)
くらいの範囲で見ると一様で、等方的(どちらを見ても
同じよう)、以上に平坦(曲率がゼロに近い)です。
これは非常に不思議な事で、因果律がかつてなかった
所が、同じ姿をしています。

これらの問題を打破するのはインフレーションと
いって、宇宙の極初期には因果関係があったところが、
急激な膨張をして因果関係を失ったと考えます。
従って、極初期の因果関係がまだ見えている
ということです。因果関係を失ってから
場所場所で進化が異なるので、「揺らぎ」が
生じます。この揺らぎの程度は、インフレーション
以降の宇宙史で説明がつくそうです。

もっと分からないのは、暗黒エネルギー(Dark Energy)
といわれる、真空のエネルギーです。これは現在
宇宙の膨張がやや加速している事から存在すると
されています。これはアインシュタインが一般相対論
に導入した「宇宙項」に対応しています。
暗黒エネルギーは観測から宇宙のエネルギー組成の73%
を占めているそうです。この起源は全く分かっていません。
これはエネルギー保存を破る性質を持っています。
宇宙が膨張していくと薄まる事なく体積に比例して
増えていきます。

この他に、暗黒物質(Dark Matter)という星のように
光らない物質が銀河の中や外にもあるそうです。
これは、素粒子で説明がつくかも知れません。
暗黒物質は宇宙のエネルギー組成の22% くらい
あると言われています。

要するに、宇宙のエネルギー組成の95%は
よく分からない Dark なものです。
理論もどのくらい信用していいのかわかりません。

駒宮


補遺:

光源が静止している時の光子のエネルギーE0
とします。我々からみてまっすぐに速度vで
光源が遠ざかっているとすると、
我々の観測する光子のエネルギー E は

E = γ(1- β)E0

となります。
ただし、β = v/c, γ= 1/sqrt[1-(v/c)^2] です。

λ = hc/E λ0 = hc/E0 (hはプランク定数)なので、

λ/λ0 = E0/E
= 1/[(1- β)γ]
= sqrt[1-(v/c)^2]/(1-v/c)
= sqrt[(1+v/c)/(1-v/c)]









From: 山岸 明彦 <yamagish@***.***>
Subject: FW: [life:0001896] Re: Hubble Space Telescope
Date: Tue, 13 Apr 2010 09:54:47 +0900
Message-ID: <C7E9EFE7.2A9A2%yamagish@***.***>

> 駒宮様
>
> 生物学のメイルグループで宇宙の起源に関する議論が混迷を極めています。
>
> コメントお願いできますか。
> <life@***.***>
> へ発信して頂けると一番ありがたいですが、私へ返信して頂ければ転送します。
>
> 山岸明彦
>
> ------ Forwarded Message
> From: Kazuhiro Iida <origin@***.***>
> Reply-To: <life@***.***>
> Date: Mon, 12 Apr 2010 17:39:03 +0900
> To: <life@***.***>
> Subject: [life:0001896] Re: Hubble Space Telescope
>
> 平藤様、山岸様
> ここWiki
> http://wapedia.mobi/ja/%E5%AE%87%E5%AE%99
> になにやら、わかった気になる記述が。真偽は不明。
>
> (以下上記URLから引用)
> 地球から、人類が光を含む電磁波により観測可能な宇宙の果てとは、我々が観測でき
> る光のうち、最も古い時代に光が放たれた空間を示す。この空間から光が放たれたと
>
> き、つまり約137億年前(宇宙の晴れ上がり直後)この空間は地球がある位置から地
> 球を中心とする全方向に宇宙論的固有距離において約4200万光年離れたところにあっ
> た。
> (#132億光年じゃなさそうですね。えへへ)
>
> そしてこの空間は当時地球の位置から光の約60倍の速度[2]で遠ざかっていた。
>
> この空間までの現在の距離である共動距離 (Comoving distance) は、約465億光年
> [3]と推定されている。[4]宇宙の晴れ上がりの直後から約137億年の間に、宇宙は約
> 1100倍程度膨張したと考えられる。
>
> この空間は現在、光速の約3.5倍の速度で地球から遠ざかっており、[5]かつ宇宙が生
> まれてから現在に至るまで常に超光速を保っている。つまり我々が現在電磁波によっ
> て観測できる天体の中には、その天体が生まれてから現在に至るまで常に超光速の後
> 退速度となるものが存在する。
>
> (だそうです。)

この議論は良く分かりません。

>
>
> -----Original Message-----
> From: Masayuki HIRAFUJI [mailto:hirafuji@***.***]
> Sent: Monday, April 12, 2010 3:16 PM
> To: life@***.***
> Subject: [life:0001895] Re: Hubble Space Telescope
>
> 山岸様、飯田様
>
> 光速度不変の原理があるので、ますます納得しがたかったのですが、「グラフ用
> 紙を広げる」部分は一般相対論ですね。一般相対論で計算するとああなる、と
> 思っておくことにします。
> アインシュタインが取り下げた宇宙項も最近は復活しそうな気配ですから、本当
> はもっと混沌としているのかも(宇宙の年齢もどんどん延びているし)。
> いずれにしても、深宇宙で生命が発生して伝搬したという説では、時間と距離を
> 一般相対論的に扱わないと(テンソルの添え字が難しげで良さそう)。
>
>
> 山岸 明彦 - san wrote:
> > 平藤様
> > 私も聞きかじり、読みかじりの知識ですが・・・。ご容赦願います。
> >
> > ビックバンの時には宇宙の大きさは極小さく(何ミリメートルか何光年かはわかり
> ませ
> > んが)、現在一番遠くに見える場所も現在太陽系のある場所(以下地球といいま
> す)の極
> > 近くでした。当時の宇宙はとっても小さかったという事です。その場所は光速に近
> い
> > 早さで地球から遠ざかっているので、地球に到達するのに137億年かかってしまい
> まし
> > た。ビックバンから5億年後に放射されて現在地球に到達した光が出たのは、従っ
> て宇
> > 宙の大きさが5億光年の広がりになった時です。その時に出た光もその場所が光速
> > の132/137の速度で膨脹している場所なので地球に光が到達するのに132億光年かか
> り
> > ました。

宇宙の膨張率は、物質優勢のとき(宇宙の極初期以外はそうです)
は時間の2/3乗に比例します。

> >
> > と私は理解しています。ひょっとして違っていたらごめんなさい。
> > 山岸
> >
> >
> > On 10.4.12 10:58 AM, "Masayuki HIRAFUJI" <hirafuji@***.***> wrote:
> >
> >> 飯田様
> >>
> >> 平藤です。
> >> お久しぶりです。
> >> あの番組を見ていて素朴な疑問が起こりました。ビッグバンが137億年前とす
> >> ると、ビッグバンから5億年後に、この星から放出された光を観測しているわけ
> >> ですが、5億年でこの星と地球は132億光年離れたことになります。
> >> これでは、光速の26倍で離れたことになってしまう・・・。

この計算は理解できません。

> >>
> >> Kazuhiro Iida - san wrote:
> >>> LIFEの皆様
> >>> 昨夜のNHK、ハブッル宇宙望遠鏡の番組は、感動物でした。
> >>> 光の速さが有限だから、ずーっと遠くを見ると132億年前までの宇宙の姿が見
> え
> >>> るって! 理屈ではわかっても、何か不思議な感じがしますよね。世界の見え方
> が変
> >>> わる壮大な研究成果です。生命の起原でも、ずーっと遠くを見ると進化途上の半
> 生命
> >>> 体が見えると良いのですが。。。。。そこまでは無理としても、太陽系外のいく
> つも
> >>> の惑星の表面が見えるようになると、最低でも温度とか、水とかガス組成の変化
> とか
> >>> 数億年分の時系列が見えてくるような気もしますね。天文学系の生命起原研究躍
> 進に
> >>> 期待。
> >>> 飯田一浩
> >>>

遠くを見る事は宇宙の昔を見る事です。

望遠鏡の分解能が上げれば、生命のいる惑星も見えるかも知れませんね。
聞く所によると、地球型の惑星で生命現象がありそうな温度のものを
探すのは、現状では難しいという事ですが。

> >>>
> >>>
> >
> >
> >
> >
>
> --
> Masayuki HIRAFUJI <hirafuji@***.***>
> Head :Field Monitoring Research Team, NARC, NARO
> Prof. :Field Informatics, University of Tsukuba
>
> NARC (National Agricultural Research Center)
> Tsukuba 305-8666 Japan
> Phone:+81-29-838-7177 FAX:+81-29-838-8551
>
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