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生命の起源 #1809 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
1809
DATE
03/17/2008 11:11:03 AM
TITLE
[life:001809] 宇宙農業
AUTHOR
Masayuki HIRAFUJI <hirafuji@***.***>
BODY


皆様

平藤@農研機構です。
転送します。


>みなさま
>
>メールの送信不調とのお知らせいただきました。メー
>ル本文に2007年度報告書、2008年度申請を平文でペース
>トして再送します。
>
>
>-----------
> 宇宙農業構想の検討をすすめるため、 JAXA宇宙科学
>研究本部・宇宙環境利用科学委員会の研究班 WGに応募
>して、サロン会合のための会議室や遠方から参加され
>る方の旅費をまかない。また少額ではあるのですが実
>験のための費用も得ました。
> 添付するのは、2007年度の活動報告書、および準備
>している2008年度の申請書の抜粋です。報告書の 5. 成
>果 の項にしめされるように、宇宙農業サロンの活動
>はゆたかな実をむすんでいます。
>
> そこで2008年度も、ぜひ研究班 WGにくわわっていた
>だきたく、このメールをお送りしています。もし、研
>究班 WGのメンバーとして登録するのはやめたいという
>ことがあれば、おそれいりますが、このメールの返信
>としてお知らせください。
> また 所属、職位、郵便番号、住所について、お知
>らせくださるとさいわいです。報告書および申請書に
>ついてはページ数が厳しく制限されているために、十
>分には記述できていませんが、お気づきの点あればお
>知らせください。
>
> お知り合いのかたで宇宙農業に興味を持たれ、研究
>班WGに加わりたいという方がおられましたら、この
>メールを転送してください。
>
> 山下雅道 
>
>**********************************
>平成19年度「宇宙農業構想」活動報告書
>
>2. 本年度WG会合開催実績
>(1)第1回:2007年9月3日
>(2)第2回:2007年12月6日
>(2)第3回:2008年3月17日
>
> 3. 活動目的
> 宇宙農業は、生物・生態学的な要素により人間の生
>命を維持し、火星などの地球外天体上でのアストロバ
>イオロジー探査をはじめとする有人活動を可能にす
>る。本研究班 WGは、宇宙農業のシステム概念を確立す
>るのにあきらかにしなければならない宇宙農業システ
>ム要素を摘出したうえで、それらの特性をあきらかに
>する。高温好気堆肥菌生態系、樹木による余剰酸素と
>昆虫による動物性食料の確保、海藻や耐塩性植物によ
>るナトリウム循環などを検討する。低圧低重力環境に
>おける栽培植物・昆虫の応答や、それらからする宇宙
>農業への要求もあきらかにする。物質循環などを整合
>させて宇宙農業システムで構成できるかを検証し、宇
>宙農業構想を展開する。
>
>4. 活動内容
> 火星表層をおおうレゴリスの性状が農業用土壌をつ
>くるのに適合するか、また表面直下に利用できる水が
>存在するかを確かめるために、火星の資源探査や立地
>調査を計画して実施する必要がある。
> これまでにも、火星隕石の鉱物学的な分析や、火星
>表面に送られたローバーによる蛍光 X線による元素分
>析や表面物質の熱的な性質などからおよその特性は明
>らかにされている。地球の内部においては、溶融した
>金属の核とマントルがわかれ、さらにその表層に地殻
>が分化している。地殻内ではマグマの貫入や熱水のは
>たらきによりいろいろな鉱物種がつくられる。玄武岩
>質で覆われる月の海ほどではないにせよ、火星では分
>化が中程度といえる。火星の表面には粘土鉱物が存在
>し、石膏、鉄明礬石、炭酸塩などの塩の分布すること
>も知られている。ただし、水を加えたとき火星のレゴ
>リスから農業土壌を生成するシナリオを導くには十分
>な情報が得られているとはいえないことを示した。
> 宇宙農業は、生命探査対象を地球由来の生物や有機
>物により汚染しないというアストロバイオロジー探査
>から要求に従わなければならない。これからの火星探
>査計画のなかに、宇宙農業を設計し建設していくため
>の調査項目を、科学探査項目にあわせて加えていく必
>要があることを確認した。
>
> 火星での食品の構成やその献立については、栄養学
>的な要求をみたし、限られた空間の有効利用のために
>収率が高く、栽培に困難のない作物であることを条件
>にして設計した。コメ、ダイズ、サツマイモ、コマツ
>ナなどの緑黄色野菜に、カイコ、ドジョウを動物性食
>品として塩とともにくわえる食材構成を設計し、栄養
>学的な要求をみたすそれぞれの食品材料の量比をあき
>らかにした。
> イネとアカウキクサとドジョウをくみあわせた水田
>農業は、アカウキクサによる窒素固定やドジョウによ
>るリンなどの肥料成分の撹拌作用が期待できる。食材
>としてのアカウキクサやドジョウの利用方法について
>も検討した。東アジアにおける伝統的な献立、たとえ
>ばドジョウ、青菜、トーフのスープに米飯といった献
>立が栄養学的にすぐれたものであることを示した。
> また、食品を単に栄養学的な要求をみたすものとし
>てとらえるのではなく、健康の増進や食べるよろこび
>といった広い側面からみることもしている。たとえ
>ば、乳酸菌による発酵食品をふくむ機能性食品に注目
>し、消化管内の細菌叢をととのえるといったプロバイ
>オティクスに着目し、宇宙で健康を維持するための、
>あたらしい宇宙食・宇宙農業を提案した。
> 宇宙の食文化ということでは、日本、アジアに限定
>することなく、アフリカなどひろく世界に目をむけ
>て、それぞれの地域の優れた提案をとりこんでいる。
>昆虫食についても、クワの木を栽培しその葉でカイコ
>を飼育するといった、非可食のバイオマスを可食の食
>材へと昆虫により変換するばかりでなく、排泄物など
>をハエの幼虫の餌として利用し、物質の再生循環利用
>をさらにすすめる概念を検討した。
>
>5. 成果
>論文・解説
>S. Kanazawa, Y. Ishikawa, K. Tomita-Yokotani, H. Hashimoto, Y. Kitaya,
>M. Yamashita, M. Nagatomo, T. Oshima, H. Wada and Space Agriculture
>Task Force; Space agriculture for habitation on Mars with hyper-
>thermophilic aerobic composting bacteria, Adv Space Res 41(5), 696-700
>(2008).
>N. Katayama, Y. Ishikawa, M. Takaoki, M. Yamashita, S. Nakayama, K.
>Kiguchi, R. Kok, H. Wada and J. Mitsuhashi; Entomophagy: A key to
>space agriculture, Adv Space Res, 41(5), 701-705 (2008).
>Tairo Oshima, Toshiyuki Moriya, Shinjiro Kanazawa, Masamichi
>Yamashita; Proposal of hyperthermophilic aerobic composting bacteria
>and their enzymes for space agriculture, Biol Sci Space 21, 121-123
>(2007) .
>Naomi Katayama, Masamichi Yamashita, Yoshiro Kishida, Chung-Chu Liu,
>Iwao Watanabe, Hidenori Wada, and Space Agriculture Task Force; Azolla
>as a Dish of Space Diet for Habitation on Mars, Acta Astronautica,
>accepted (2008)
>山下雅道、片山直美、橋本博文、富田-横谷香織;火
>星をめざす宇宙農業構想 -日本・アジアからの発信-、
>マイクログラビティ応用学会誌、24, 340-347(2007)
>和田秀徳; 地球の農業と火星の農業、Biol Sci Sci, 21,
>135-141 (2007)
>三橋 惇; 閉鎖空間での昆虫の利用、Biol Sci Sci, 21,
>124-128 (2007)
>矢沢勇樹・齋藤麻衣子・武田 弘; 地球沙漠と月・火星
>沙漠の相違点?火星の表層物質と農業的利用の可能性
>?, Biol Sci Sci, 21, 129-134 (2007)
>山下雅道:火星で農業、農林水産技術 研究ジャーナ
>ル, 31, 7-9 (2008)
>
>発 表
>Naomi Katayama, Masamichi Yamashita, Yoshiro Kishida, Chung-Chu Liu,
>Charles Van Hove, Iwao Watanabe, Hidenori Wada, and Space Agriculture
>Task Force; Azolla as a Dish of Space Diet for Habitation on Mars,
>Humans in Space Symposium, Beijing, 2007.
>Masamichi Yamashita; Conceptual Study of Space Agriculture for Support
>of Life on Mars, Mission to Mars Conference - The African Perspective,
>Owerri, 2007
>Hirofumi Hashimoto, Masamichi Yamashita, Naomi Katayama; Space
>Agriculture for Manned Mars Mission, International Symposium on
>Application of a Closed Experimental System to Modeling of 14C
>Transfer in the Environment, Aomori (2007)
>山下雅道、能登谷正浩、野瀬昭博、富田(横谷)香
>織、橋本博文、北宅善昭; 宇宙農業でのNaと Kの循環,
>生態工学会年会、岐阜(2007)
>山下雅道;火星100人20年の宇宙農業構想、機械学会
>「宇宙サロン」宇宙で生きる:宇宙農業、相模原
>(2007)
>山下雅道;火星有人探査をささえる宇宙農業 ?初心
>にかえる宇宙活動と日本の貢献-、第5回宇宙ミッショ
>ン・シンポジウム、三鷹(2007)
>山下雅道;火星での宇宙農業の構想、応用物理学会秋
>季スクール、札幌(2007)
>橋本博文、中山伸、山下雅道、宇宙農業サロン;宇宙
>農業におけるカイコの低圧飼育、第51回宇宙科学技術
>連合講演会、札幌(2007)
>浅野眞希,田村憲司,富田−横谷香織,太田誠一,橋
>本博文, 青木俊夫, 和田秀徳,山下雅道, 宇宙農業サ
>ロン; 火星模擬レゴリスを用いたミヤコグ栽培実験-宇
>宙農業研究における土壌、日本宇宙生物科学会 第21回
>大会(2007)
>新井真由美, 富田-横谷香織, 佐藤誠吾, 橋本博文, 大森
>正之, 山下雅道, 宇宙農業サロン; 藍藻Nostoc sp. HK-01の
>火星環境導入による宇宙農業の可能性、日本宇宙生物
>科学会 第21回大会(2007)
>橋本博文、中山 伸、山下雅道、宇宙農業サロン;低
>圧環境におけるカイコの飼育、日本宇宙生物科学会
>第21回大会(2007)
>岩澤弘子,富田‐横谷香織,平石香苗,橋本博文,宮
>川照男,山下雅道;ソバ・スプラウトの機能性成分の
>量的変化とその活性 -疑似微小重力環境が与える影
>響-、日本宇宙生物科学会 第21回大会(2007)
>片山直美 宇宙食と宇宙農業、スペースライフ・サイ
>エンス -宇宙生活の科学?、日本宇宙生物科学会 公開
>講演会(2007)
>山下雅道:ナイジェリアからとおく火星をあおぎ、そ
>して質量分析、TMS研究会2007年度第2回講演会(2007)
>山下雅道、橋本博文、富田-横谷香織、片山直美、矢
>沢勇樹、武田 弘、三橋 淳、和田秀徳、宇宙農業サロ
>ン;宇宙農業構想の発展、Space Utiliz. Res., 24,
>375-377(2008)
>橋本 博文、中山 伸、山下 雅道、宇宙農業サロン;低
>圧低酸素環境下でのカイコの成長、Space Utiliz. Res., 24,
>360-361(2008)
>浅野 眞希、富田‐横谷 香織、青木 俊夫、田村 憲
>司、和田 秀徳、橋本 博文、山下 雅道;疑似微小重力
>環境がミヤコグサの根粒菌誘導機能分子の動態に与え
>る影響、Space Utiliz. Res., 24, 417-418(2008)
>
>紹 介 その他
>フジTV 2007.6.2 FNN スーパーニュース Weekend 塩味野菜
>「バラフ」
>朝日新聞 2007.6.10 日曜ナントカ学 宇宙農業
>International Herald Tribune / The Asahi Shimbun, 2007. 8.10 Japanese
>researchers cook up Martian menu for astronauts
>JAXAs 2007.10 016号 pp.16-17; 人類が火星で暮らす日のため
>に - 地球圏外の極限環境に挑む「宇宙農業」
>Discover Magazine, Nov., 2007 The Future of Space Food: Bugs http://discovermagazine.com/2007/nov
> /is-this-the-new-space-food
>Pravda(Russia): Astronauts may grow and eat bugs during long
>space missions in future 26.10.2007 http://english.pravda.ru/science/tech/26-10-2007/99605-bugs_space%20-0
>Race to Mars: Dinner on Mars: silkworms with a side of sweet potato
>Oct.16.2007 By: Brian Jackson http://www.racetomars.ca/mars/spaceNews.jsp?ID=1443
>http://www.wienweb.at/content.aspx?menu=13&cid=143114 Astronauten
>sollen Insekten essen
>http://www.pcw.gr/default.php?pid=6&art_id=2775&cat_id=59
>Διαστημικ? μεζεδ?κια
>Dspace 2007.11 vol.1 http://www.mitsubishielectric.co.jp/ dspace/
>column/c0711_1.html 火星で和食。主役は「カイコ」?
>山下雅道;ナイジェリアからとおく火星をあおぐ.
>ISAS Mail Magazine, 167(2007.11.27)
>読売新聞  2008年1月20日 (日)朝刊 きぼう宇宙へ 20XX年
>火星旅行 機内食はカイコの天ぷら
>SPA 2008.2.12 宇宙農業、100年後の有人火星探査に向けた
>生命維持システム
>山下雅道;ナイジェリアから遠く火星をあおぎ 
>キャッサバを食す, ISASニュース、322, 12(2008.1)
>TBS BS-i 2008年2月16日 2008年宇宙の旅
>CNES Mag 36, 60-61 (Jan., 2008) la cuisine japonaise se met en orbite
>(Japanese cuisine in space)
>http://www.fao.org/newsroom/en/news/2008/1000791/index.html http://canadianpress.google.com/article/ALeqM5gNSaI2GG4HeF7X4mFS09AQK0fA9w
> Meeting promotes insect eating for everyone from famine victims to
>astronauts
>東京工業大学理工学研究科講義「宇宙開発応用特論
>B」火星のアストロバイオロジー ?有人探査をささ
>える宇宙農業の構想とその課題?(Nov. 2007)
>開成高校・生物授業 火星の生命探査と火星でくらす
>宇宙農業 (Feb. 2008)
>宇宙学校(JAXA宇宙科学研究本部)2007年度、上田、塩
>竃、東京、火星でのくらし 宇宙農業
>
>宇宙農業サロン web page
>http://surc.isas.jaxa.jp/Space_Agriculture/
>
>-------
>2008年度 宇宙農業 提案書
>(1) 目的
> 宇宙農業は、生物・生態学的な要素により物質の再
>生循環利用をはかり人間の生命を維持し、火星などの
>地球外天体上でのアストロバイオロジー探査をはじめ
>とする有人活動を可能にする。宇宙農業のシステム概
>念を確立するのにあきらかにしなければならない宇宙
>農業システム要素を摘出したうえで、それらの特性を
>しらべる。現在までに検討してきた宇宙農業の要素
>は、高温好気堆肥菌生態系、樹木による余剰酸素と昆
>虫による動物性食料の確保、海藻や耐塩性植物による
>ナトリウム循環などである。低圧低重力環境にたいす
>る栽培植物・昆虫の応答をしらべ、宇宙農業への要求
>もあきらかにする。火星などでの現地資源の活用する
>ことにより、想定する宇宙農業システムの構成により
>確実な生命維持が可能かを検証する。
>
>(2) 内容
>宇宙農業構想研究班では、左図にしめすような要素を
>構成して惑星資源をもとりこみ、物質を再生循環利用
>する宇宙農業構想を検討している。物質循環について
>整合するシステムを構築するために、それぞれの要素
>への入力、出力などの特性をあきらかにする。そのう
>えに、太陽光で駆動されるシステム内のエネルギーの
>ながれや環境の制御について考察し、地上および月面
>での低圧や低重力環境下での宇宙農業の実証試験を計
>画する。
>宇宙農業で想定する宇宙食を栄養学的に評価し、主要
>な作物植物種や飼育動物種を規定する。プロバイオ
>ティクスについても考慮し、乳酸菌などの活用の方策
>をさぐる。Naと Kの循環については、海藻や耐塩性の
>作物植物種などの無機塩吸収特性をしらべ、これらを
>宇宙農業に組み込むときのシステムの諸元をきめる。
>生物の低圧や真空環境への耐性や適応をいくつかの生
>物種をとりあげて評価し、宇宙農業の与圧栽培区の圧
>力や気体成分の要求をあきらかにする。排泄物や非可
>食のバイオマスを処理する高温好気堆肥菌生態系につ
>いては、これにより作成される「堆肥」が土壌生態系
>を健全に維持できるか、また作物植物の生育にどんな
>効果を与えるかどうか、放射線に対する耐性を実証
>し、宇宙農業構想で描いている物質の再生循環がこれ
>により可能であるかを明らかにする。
>これらを総合して、宇宙農業システムの構想の科学的
>および技術的な実現可能性を確認し、地球周回軌道や
>月面での宇宙農業のための実験的な研究や開発の総合
>的な計画を立案する。
>
>(3) 目標
> 物質の再生循環ループ(水、酸素-二酸化炭素、食
>料バイオマス-肥料、そのほか生元素)について整合
>するような宇宙農業システムの構成要素をえらび構成
>して整合したシステム概念を規定する。それぞれの要
>素の大きさや必要なエネルギー入力などを規定し、宇
>宙農業システムの科学・技術的な実現可能性を検討す
>る。宇宙農業で想定する食料のくみあわせについて栄
>養学的に評価し、人間の健康維持要求がみたされるか
>を判定する。宇宙農業システムの生存確保性や安全・
>信頼性を規定する要素や条件をきめるために、生物・
>生態学的な要素の特性に焦点をあてて実験的な研究を
>する。宇宙農業システム開発のクリティカルパスを分
>析するのに鍵となる情報を収集し、宇宙農業の研究開
>発の長期的な計画を策定する。そのなかで、地上での
>準備的な研究の項目を展開し、さらに地球周回軌道や
>月面で宇宙農業の開発に関連して実施すべき実証試験
>をあきらかにする。火星での圏外生命探査の惑星防護
>にかかわる要求とその時間的な展開を考察し、宇宙農
>業開発と圏外生命探査を中軸とする火星探査の総合的
>なシナリオを策定する。
>
>(4) 活動計画
>宇宙農業システムをどのような要素により構成する
>か、また関連する技術の成熟度はどのような段階にあ
>るかを、研究班WGのメンバーによる会合で討議してた
>しかめる。今年度はとくに次の要素に限定し注力して
>基礎的な実験をおこなう。
>宇宙農業構想での食料は、コメ、ダイズ、サツマイ
>モ、青菜にくわえ、動物性の食品としてカイコのサナ
>ギおよびドジョウをあげている。これまでに、いくつ
>かの組み合わせについて栄養学的な評価をおこなって
>きているが、さらに調理過程で失われる栄養成分の評
>価や、プロバイオティクスといった観点からの乳酸菌
>などによる食品の宇宙食への提案をする。小規模な実
>証実験により、これら作物種を組み合わせた農業シス
>テムの問題点を検討する。
>宇宙農業では、物質循環のほとんどが人間を経由する
>ために生ずる問題がある。そのひとつはNaと Kの循環
>であり、動物は Naの摂取が生理的に必要であり、植物
>の生育には 高濃度のNaは阻害的にはたらく。海藻や耐
>塩性にすぐれた作物植物種やアカウキクサなどをとり
>あげて、Naと Kにかかわる特性をしらべてきている。
>植物体内にとりこまれるイオンの濃度や比をくわしく
>分析して、提案する宇宙農業での Na-Kプロセスの有効
>性をたしかめる。
>生物の低圧やさらに真空および極限的な温度などへの
>耐性を、土壌性のラン藻などいくつかの生物種をとり
>あげて実験的にしらべて、火星における土壌性ラン藻
>による農業土壌の創生などの可能性をさぐる。
>いくつかの堆肥菌生態系をとりあげて、バイオマスの
>堆肥化の速度などの基本的な特性について実験的に明
>らかにする。処理するバイオマスの種類への速度の依
>存性などについて定量的なデータを取得して、ほかの
>排泄物や非可食バイオマス処理法に対する優位性をし
>めす。
>堆肥菌生態系により作成される「堆肥」が農業土壌生
>態系を健全に維持できるかどうか、また作物植物の生
>育にとってどれほどによい効果を与えるかを、モデル
>系をつかい実証する。宇宙農業では低品位のバイオマ
>スを高品位の食料と変換することが求められる。昆虫
>はその候補の一つである。カイコの糞、アカウキク
>サ、アオサを堆肥として作物植物の栽培に利用し、ま
>たこれらを養殖魚の飼料として利用する概念やハエの
>幼虫などによるバイオマス転換の有効性をたしかめ、
>最適なシステムを構築する。
>
>2.宇宙環境利用の意義および想定する宇宙実験
> 宇宙科学、ひいては宇宙活動の目的は、宇宙や太陽
>系の起源と進化を解明し、いかに地球が生命の宿る惑
>星になったかを明らかにすることにある。わたしたち
>が解明すべき根本課題である宇宙の起源、物質、空
>間、生命の起源をさぐるために宇宙探査はすすめられ
>る。宇宙農業構想研究班では、科学者を先頭にした探
>査隊を火星に派遣して圏外生命探査を実施するという
>目的を設定している。火星への往来や火星面上で要求
>される生命維持システムや、さらにより広く生活環境
>を構築するエンジニアリングが宇宙農業である。
>生物学的要素を多く含む宇宙農業システムでは、統合
>したシステムの高い信頼性やクルーの生存確保のため
>の確実な方策が要求される。そのようなシステムを構
>築するには、システム構成要素の特性をよく把握しな
>くてはならない。宇宙農業システムを開発するうえで
>のクリティカルパスをあきらかにし、地上、地球周回
>軌道、月面で研究・開発・実証すべき宇宙農業の項目
>を規定する。周回軌道・月で検証が必要なのは、長時
>間にわたる低重力環境(火星1/3G、月1/6G)が生物の生
>理や生活環にあたえる影響である。生物衛星をふく
>め、あらゆる機会をとらえて、宇宙農業に関連する実
>験を実施する。月面では、火星での圏外生命探査へ宇
>宙農業があたえるリスクを評価する。すなわち、宇宙
>農業により地球由来の生物や生命関連の物質により火
>星の圏外生命探査の対象地域を汚染しないかどうかを
>月面において検証する。これらの計画をすすめるうえ
>で、宇宙農業構想研究班が本年度に計画する研究は宇
>宙農業システムの構成を規定するなど、重要なマイル
>ストーンを刻むものである。
>火星上での有人活動を可能にする宇宙農業について、
>日本やアジアの文化的・歴史的な背景にもとづくすぐ
>れた構想をわれわれはこれまでに提案し、国際的に注
>目を集めている。国外の研究者をふくめた研究組織を
>構成し、国際的な競争と協調のもと、互いに相補的な
>関係のうえに互恵的な協力をすすめる基盤が宇宙農業
>構想において強固に築かれているのが確認されてい
>る。


Masayuki HIRAFUJI <hirafuji@***.***>
Head :Field Monitoring Research Team, NARC, NARO
Prof. :Field Infomatics, University of Tsukuba

NARC (National Agricultural Research Center)
Tsukuba 305-8666 Japan
Phone:+81-29-838-7177 FAX:+81-29-838-8551
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