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生命の起源 #1630 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
1630
DATE
12/02/2005 04:36:20 PM
TITLE
[life:001630] Re: 原生生物ハテナ 見聞録
AUTHOR
Takeshi Ara <takeshi@***.***>
BODY


飯田様

荒です

>追加情報.ハテナが複数の藻類を取り込む場合
>それらの藻類は,眼点を一つづつもっているのが,
>ハテナ1体につき,一つだけになるそうです.
>藻類の活動を,ハテナが制御しているのは間違い
>なさそう.

きれいな話ですねえ。


>飯田:
>もう一つ考えなければいけないのは,生態学です.
>じっさい,「うじゃうじゃ」居るんですが,この状況は,個々単独に増える
>ことで実現されているのではない可能性が高いと思われます.
>つまり,相互依存関係がないと増えられない.
>このため,「うじゃうじゃっと」大量に増やしたのちに,藻類を個別に
>分離してしてハテナにふりかける,といった感じになるのかなあ.

最近全ゲノム配列の決まった海洋細菌Pelagibacter ubiqueの培養には、
滅菌した海水を加えないといけないらしいです。増殖に必要な成分は不明
ですが、他の生物の生産する有機化合物かも、と想像しています。発見し
たらScience級でしょう。
(Science. 2005 Aug 19;309(5738):1242-5. PMID: 16109880)

生物種は忘れてしまいましたが、確か嫌気性細菌どうしが互いにお互い
の栄養源を生産供与しあっている系があったような気がします。中心部分
から外側に向かって多層のこうした関係の微生物が集まった塊(断面は
花火のように多層)のような構造体があると昔聞いた気がします。

2種混合でのみ培養できる微生物の系というのは既知のはずです。3種
以上の関係になると解析はかなり大変そうですが。


>荒さん:> 藻類の細胞壁はどうなるのでしょう?膜上の蛋白質同士で上手に相互作用
> > して何かタイトな構造を作っている気がしますね(感染のアナロジーですけど)。
> > 膜蛋白の糖鎖とか認識しているのかなあ?
>飯田:
>4重膜の真ん中に細胞壁がある場合を見せてもらいました.
>ハテナの写真だったかは,忘れました.

ない場合もある、ということは徐々になくなっていくのでしょうかね。
栄養源になるのかな?


> > >葉緑体については、内側の脂質構成が違うことが報告されているそうです。
> > >共生がすすんでも、膜は identityを主張しているのが面白くないですか。
> > >膜は、identity 最後のとりでなのかも。
>荒さん:> これはちょっと本質的ななにかを感じました。
>飯田:
>共生体の膜をつくる遺伝子がどこに局在しているかわかると,
>もっと妄想がふくらみますねえ.
>葉緑体の配列は分かってますよね.膜形成関係のってどうでしょう.
>荒さん,ちょいと調べるとわかりますか?

Arabidopsisの葉緑体、ミトコンドリアのゲノム上には脂質合成経路遺伝子はあり
ません(一応)。稲には若干機能未知遺伝子はあるけど、基本的な遺伝子は核
コードだと思います。どちらも分裂装置、内部で必要な酵素とかの膜上の輸送装
置も核コードで運ばれてくるはずです。

ミトコンドリア内膜にはカルジオリピン、葉緑体にはスルホキノボシルジアシル
グリセロール(SQDG)という特異的(他の場所にまったくないかはわからないけ
ど特異的と言われている)脂質があります。SQDGは藍藻とか比較した解析があ
る模様。
http://wwwsoc.nii.ac.jp/bsj2/bsn/data/2004_4B.htm

SQDG系統の合成経路酵素は一応、葉緑体に局在しているようです。一般的
に光合成活性に大事であると言われています。
http://www.gak.co.jp/TIGG/66PDF/Ohta.pdf

カルジオリピン合成はミトコンドリアで起こっていた気がしますが、機能はいまい
ちわかっていなかった気が。
http://www.riken.jp/r-world/info/release/pamphlet/annual/2001/pdf01/362.pdf


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荒   武
TAGC, INSERM
takeshi@***.***
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