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鹿野様 LIFEの皆様
飯田です.鹿野様から以下教えていただきました.
最後に私のコメントを添えます.
----- ここから鹿野さんにいただいたコメント↓
鹿野と申します。
はじめまして。
サイエンスライターをしておりまして、あらゆる分野について素人でして、
まあ雑学で知っている範囲の情報です。
> 勉強不足:
> なんで,光合成だと12番に偏るのか,まだ知らないです.
> だれか教えて下さい.
> それだもので,37億年説は私はまだ信用していないとい
> うか考えていません.
イスアの話は、岩波新書の『生命と地球の歴史』(丸山茂徳・磯崎行雄
著)
で読んでいたのですが、これには、生物は原子番号の低い炭素同位体を選択的
に
体内に取り込む傾向があるとしか書かれていなくて、ぼくも何故かなと思って
い
ました。
そこで、岩波の生物学辞典第4版(CD-ROM)の、「炭素同位体分別値」とい
う
項目を調べたんですが、ここに、C3植物は12番の炭素をより多く含むとい
う
事が書かれています。
なんでも、リブロース-1,5-二燐酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ
(Rubisco)のカルボキシル化酵素反応は基質として分子量44のCO2に対してよ
り
高い親和性を示す、とか。
これだけでは、最古の生命の話と直接結びつかないとは思いますが、少なく
と
も現存する生物のあるものは、炭素同位体のうち、軽いものを選ぶ傾向がある
酵
素反応を使っているみたいですね。
イスアの場合、生物学的要因以外に、炭素の同位体比が極端に偏る理由が思
い
当たらないという事が理由なのかもしれません。ただの推測ですが。
でも、それだと、この偏りは、光合成のためとは限りませんよね。炭素同位
体
比の偏りだけで、光合成の存在を示す証拠としているのだとしたら、なにかも
っ
とちゃんとした理由があるのでしょうね。
しかし、35億年前の最古のバクテリア化石は、熱水噴出口の微生物らしい
で
すから、37億年前に光合成をやる生き物がいたとは考えにくい気がしますが
……。
------ ここまでです.↑
飯田:
私も年代推定とか同位体とか専門外なので(専門は生物系),だれか
詳しい人におたづねするのが一番と思っておりました.
周りの人との雑談では,分子量がきくのは拡散じゃないか?という
話になっていたんですが,リブロース2燐酸カルボキシラーゼ
オキシゲナーゼという酵素名が出ているところを見ると
違うようですね.:)
分子量だけの違い,それもこんなに小さな違いを分けることのできる
酵素化学反応があるというのは大変意外です.いったいどんな機構
でわけているのか興味津々です.
それから,リブロース2燐酸カルボキシラーゼの反応自体には光は
不要だったと思います.何か別のエネルギーを使ってできた還元剤
とATPを使って炭酸同化する化学合成細菌が,この酵素を使って
いたとすると,ありえる話かもしれません.
ただ,そうすると37億年もの間,分子量弁別の機能が維持されて
いるわけですから,12番と13番の炭素を分けることの
「生き残り上の優位性」がどこかにあるはずですよね.
なんだろう?13番って原子核分裂とか?
高頻度に起こすとは思えないんですが.不思議ですね.
飯田@NEC基礎研究所
#運営より:現在life@***.***から来たメールにレスすると
宛先は自動的にlife@***.***になるようにしているつもり
なのですが,レス時点でご確認下さい. 合掌
--
Kazuhiro Iida, "Life and Evolution '99 --> "
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305-8501 Japan.
Phone +81(298)50-1142, Facsimile +81(298)56-6136.
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