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生命の起源 #968 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
968
DATE
01/08/1999 12:03:02 AM
TITLE
[life:00968] Re: Nature article: Hypercycles, BIF
AUTHOR
Kazuhiro Iida <iidakek@***.***>
BODY


横林様 LIFE運営

これまでの議論はこんなふうだったと思います.

Q.スクリプス研のペプチドハイパーサイクルは自己複製システムか?
  いわゆる自己触媒反応と何が違うのか?

A.同じ分子ができるだけでなく,情報の伝達がある.

Q.伝達される情報は何か?

A.立体構造である.

Q.自己触媒反応でも立体構造がコピーされるのでは.?

A.分子認識機構があるところが違う.

Q.自己触媒でも分子認識が働く.程度の差ではないか?
  立体構造,分子認識でなく,むしろ伝達される情報の質もしくは
  間接度がポイントではないか? .......




ここまで来て横林さんと飯田で同意されていることは,
自己複製ではいわゆる自己触媒とは「異なる情報」の伝達があること
だけです.この違いをもう少し掘ってみませんか?


まず,

自己触媒と自己複製の差が程度の問題なのだとすれば,
伝達される情報?の「複雑さ」を旨く捉える指標が必要に思えます.


他の視点としては,
自然・人工を問わない選択の結果が情報であるという見方
(by 伏見先生)が示されました.この考え方は大変魅力的です.

もう一つの視点として,
情報の間接度(by 飯田)が提案されました.

酸素ラジカルとオゾンの反応では,コピーに必要な触媒能と分子の立体
構造が不可分なのに対して,(自己増殖する可能性のある)蛋白質やリ
ボザイムの場合,コピーに必要な触媒能とコピーされる分子の立体構造
が,必ずしも一意に対応しません.間接的です.

現実に存在する自己複製系である細胞内の核酸の複製をみて見ても,
複製に必要な酵素は,翻訳系を介して間接的にコピーされる分子と関連
づけられており,コピーされる分子と必ずしも一意に対応しません.

言い換えれば,コピーされる分子と,それをコピーする機能とが関連づ
けられるまでに何かの「制約」が必要なわけです.
この制約が重要であり,実在の生物では,残基の配列と種々のフォール
ディングの物理の他に,翻訳系とかシャペロン(含むHSP90)とかが担っ
ていると考えられます.

この制約をエイヤと数えたのが間接度です.

先日は,オゾンと酸素ラジカルの場合を間接度=0とすると
生物は間接度3とか書きました.(たいへん乱暴な数え方です. (^^;) )
この指標は自由度の数え方が違うと違う数字になりますが,酸素ラジカルの
場合といわゆる自己複製系との差が常に明示できると思います.
(系の進化能や外乱に対するロバストネスにも関係する指標でもあると思いま
す.)


飯田@NEC基礎研究所
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Kazuhiro Iida, "Life and Evolution '99 --> "
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305-8501 Japan.
Phone +81(298)50-1142, Facsimile +81(298)56-6136.
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