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[life:00966] Re: Nature article: Hypercycles, BIF |
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AUTHOR |
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Kazuhiro Iida <iidakek@***.***> |
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横林様 LIFEの皆様
年末にシステムダウンがありご迷惑をおかけしました.
本年もよろしくお願いいたします.
> > 飯田:
> > 原子が数個の場合と,数千個の場合で前者は立体構造が無くて
> > 後者はある.前者の電子配置はあいまいで,後者は決まっている
> > というからには,他に何か峻別する視点が必要です.
> >
> > 横林さんが,これは分子認識で,あれは違うという際の基準は
> > 何なのでしょう?例えば,構造の複雑さ??とか??
> > この点が,定量的にキチンと示されるものならば,主張1は
> > 取り下げる可能性あります.
横林さん:
> オゾンに立体構造が無いとは言っていません。オゾ
> ンが酸素ラジカルと反応する際、オゾンと酸素ラジ
> カルの間に互いの立体構造を「見分ける」ような立
> 体的、分子間相互作用があるでしょうか?酸素ラジ
> カルはオゾンと化学的に反応しやすいから反応して
> ^^^^^^
> いるだけで、反応時にDNA塩基対のような互いの構造
> を「見分ける」ような分子間相互作用は無いと思い
> ます。
中略...
> まず分子間相互作用がなければ間違いなく分子認識
> は起こっていないと言えます。よって反応が分子間
> 衝突のみに依存するような系は結果的に自己触媒系
> でも分子認識なんてありえません。オゾンの例はこ
> の段階で分子認識はないと判断できると思います。
> (この点は同意いただけるでしょうか?)
> 次に分子間相互作用がある場合ですが、これはその
> 相互作用がどれくらい特異的か、強いかによってケ
> ースバイケース、見る人によってもそれを分子認識
> と呼ぶか呼ばないかは分かれる場合もあると思いま
> す。例えばシクロデキストリンではベンゼンとトル
> エンを識別できなかったとしてもナフタレンに対し
飯田:
横林さんの主張される分子認識の意味は,痛いほどよくわかります.その上で曖
昧な点をなくす意味で付け加えさせていただきます.
自己触媒反応と自己複製をわける基準が分子認識による情報伝達の存在で,分子
認識は水素結合など特定の分子間相互作用の存在で特徴づけられるとのご指摘で
すね.しかし,アルコールのエステル化やその加水分解なども水素結合やファン
デルワールス力がきっかけで生じる化学反応だと思います.以前紹介したThe
major transitions in evolution という本の中でJohn Maynard Smithは,光合
成のクレブスサイクルは自己触媒系であると言っています(これには私は異論が
ありますが).クレブスサイクルはもちろん酵素による分子認識が働いていま
す.
とすれば,分子認識とは横林さんがシクロデキストリンの例でいみじくもご指摘
のように「程度問題」であり,曖昧な基準に思えます.ペプチドと蛋白質を分類
する基準よりも曖昧かもしれません.それよりは,伝達される情報の間接度(あ
るいは翻訳系の存在)の方が基準としては客観的ではないでしょうか?
飯田@NEC基礎研究所
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Kazuhiro Iida, "Life and Evolution '99 --> "
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305-8501 Japan.
Phone +81(298)50-1142, Facsimile +81(298)56-6136.
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