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生命の起源 #965 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
965
DATE
01/04/1999 11:21:29 PM
TITLE
[life:00965] Re: Nature article: Hypercycles, BIF
AUTHOR
Yohei Yokobayashi <yohei@***.***>
BODY


横林です。

年末に送信したのですが、届いていないようなので
もう一度送ります。

On Tue, 29 Dec 1998 09:52:11 +0900
Kazuhiro Iida <iidakek@***.***> wrote:

> > 分子認識といっても低レベルなものからDNAの塩基ペアのよ
> > うに高度なものまでいろいろあり、決して常にはっきりと
> > 分子認識があるないと区別できるわけではありませんが、
> > 以上の例はお解りいただけるでしょうか。
>
> 飯田:
> 原子が数個の場合と,数千個の場合で前者は立体構造が無くて
> 後者はある.前者の電子配置はあいまいで,後者は決まっている
> というからには,他に何か峻別する視点が必要です.
>
> 横林さんが,これは分子認識で,あれは違うという際の基準は
> 何なのでしょう?例えば,構造の複雑さ??とか??
> この点が,定量的にキチンと示されるものならば,主張1は
> 取り下げる可能性あります.

オゾンに立体構造が無いとは言っていません。オゾ
ンが酸素ラジカルと反応する際、オゾンと酸素ラジ
カルの間に互いの立体構造を「見分ける」ような立
体的、分子間相互作用があるでしょうか?酸素ラジ
カルはオゾンと化学的に反応しやすいから反応して
^^^^^^
いるだけで、反応時にDNA塩基対のような互いの構造
を「見分ける」ような分子間相互作用は無いと思い
ます。

我々が言うところの分子認識とは、分子間の立体的
な相互作用があることが前提にあります。具体的に
は水素結合、疎水性相互作用、イオン間相互作用、
などの非共有結合的な相互作用が組み合わさって複
数の分子が立体的に相互作用をする場合を指します。
定量的にと言われると考えてしまいますが、例えば
シクロデキストリンの中に様々な疎水性分子が内包
されるような系や、クラウンエーテルの中に種々の
イオンが選択的に配位する系などは生体分子と比較
すると非常にシンプルですがこれらも代表的な分子
認識の例だと考えられています。

まず分子間相互作用がなければ間違いなく分子認識
は起こっていないと言えます。よって反応が分子間
衝突のみに依存するような系は結果的に自己触媒系
でも分子認識なんてありえません。オゾンの例はこ
の段階で分子認識はないと判断できると思います。
(この点は同意いただけるでしょうか?)

次に分子間相互作用がある場合ですが、これはその
相互作用がどれくらい特異的か、強いかによってケ
ースバイケース、見る人によってもそれを分子認識
と呼ぶか呼ばないかは分かれる場合もあると思いま
す。例えばシクロデキストリンではベンゼンとトル
エンを識別できなかったとしてもナフタレンに対し
て選択性があれば化学者の多くは分子認識として捉
えますが酵素などの選択性から見ると甘いという人
もいるかも知れません。結局この場合はナフタレン
とベンゼンの構造的違いの情報は伝達できるが、ベ
ンゼンとトルエンの構造的違いの情報は伝達できな
いということで、分子認識のレベルの結果として情
報の質の違いが顕われてくると言えるのではないで
しょうか?

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Yohei Yokobayashi
yohei@***.***

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