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生命の起源 #960 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
960
DATE
12/28/1998 01:26:45 AM
TITLE
[life:00960] Re: Nature article: Hypercycles, BIF
AUTHOR
Yohei Yokobayashi <yohei@***.***>
BODY


こんにちは。横林です。

On Mon, 28 Dec 1998 11:51:54 +0900
Kazuhiro Iida <iidakek@***.***> wrote:

> 飯田の主張1.立体構造の伝達はキーでない.
>
> 分子認識とは,ある分子が,その他の分子(あるいはその分子と同じ種類の分
> 子)と特異的に結合する(あるいは特異的に排除する)ことで,分子の立体構造
> や,電子配置がその基礎になっていると理解しております.まず,横林さんが
> 「(2)のような定義は結果であって情報の本質はペプチドの一次配列にあると
> 考えて良いと思います。」とおっしゃるのは,ペプチドの一次元配列が決まれ
> ば,少なくとも生体内では「その立体構造とか,電子配置が一意に決まる」の
> で,そのペプチドが合成される際,アミノ酸の一次元の配列順序こそが情報と考
> えて良いということですよね.
>
> つまり立体構造とか電子配置とかが情報の中身で,配列順序は,それと1対1に
> 対応しているから,それも情報と言って良いというお考えですよね.絵としては
>
> アミノ酸配列 (情報)
>
> ↓
>
> 立体構造 情報
>
> ↓
>
> 分子認識
>
>
> でしょうか.
>
> そこで私が疑問に思うのは,ふつうの自己触媒反応でも立体構造や電子配置が伝
> 達される点です.低分子化合物A,B (たとえばAは,酸素ラジカル, Bはオゾン)
> から成るAの自己触媒反応でも,A は (複雑ではないかもしれませんが)特定の
> 立体構造を持っており,基質Bとだけ反応する特異性もあると言えるでしょう.
> プリオン蛋白質の変位型と正常型では変位型の立体構造が,正常型を変位型に変
> えますが,この場合は一次元配列は同じですが,分子認識の結果として立体構造
> だけが伝達されてゆきます.立体構造が複製されている.特異的であるというだ
> けでは,自己複製と自己触媒が区別できないように思います.

オゾンの例について言えば先のメールで強調した分子認識が
存在しません。化学的な反応選択性と分子認識の結果による
選択性とは次元が異なります。結果的に同じ構造の分子がで
きても「立体構造や電子配置が伝達される」ということには
なりません。したがってこの例は典型的な自己触媒だといえ
るでしょう。

プリオンについては一次構造が変化しないという点で特殊な
例ですが、分子認識があるという前提で自己複製といって良
いと思います。(情報伝達がある)この場合の情報は高次構
造をふくめた分子構造ということになり先に私が書いた所の
一次構造=>高次構造という単純な図式には当てはまりませ
んが。

分子認識といっても低レベルなものからDNAの塩基ペアのよ
うに高度なものまでいろいろあり、決して常にはっきりと
分子認識があるないと区別できるわけではありませんが、
以上の例はお解りいただけるでしょうか。

> 飯田の主張2.情報の間接性がキーである.
>
>
> DNA
>
> ↓
>
> RNA
>
> ↓
>
> アミノ酸配列
>
> ↓
>
> 立体構造
>
> この間接的な表現のどこからが(アミノ酸配列なのか,RNAの塩基配列なの
> か,DNAの塩基配列なのか)を情報と呼べば良いのかわかりません.むしろ分
> 子合成のスケールで「自己複製」と「自己触媒」をわけるキーワードは情報の
> 「間接度」ではないでしょうか?

前から主張しているように私は自己複製(情報伝達がある)
と自己触媒の決定的な違いは分子認識の有無だと考えてい
ます。(別に私のオリジナルな主張でもなんでもありませ
んが)飯田さんがおっしゃる「間接度」とはいわゆるgenotype
とphenotypeの分離とどう違うのでしょうか?上の例ではDNA
->RNA->Proteinのすべての段階で分子認識を伴った情報伝
達が起こっています。間接的であるかどうかは、実際の生
命を観察してみれば一つの特徴として捉えられるかもしれ
ませんが、情報伝達があるかどうかにわざわざ引っ張り出
してくるほどのこととは思えません。分子認識があるかど
うかで片付くことです。

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Yohei Yokobayashi
yohei@***.***

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