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[life:00955] Re: Nature article: Hypercycles, BIF |
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AUTHOR |
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Yohei Yokobayashi <yohei@***.***> |
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横林です。
On Fri, 18 Dec 1998 15:07:21 +0900
Kazuhiro Iida <iidakek@***.***> wrote:
> ペプチドの自己触媒系を2種類組み合わせると,単一種類の
> 場合と比べて回収率が劇的に向上する.この反応系を分析す
> るに,アイゲンのハイパーサイクル系が構成されていること
> が確認された.という報告ですよね.DNAなど相補性が高く
> 安定した物質でなく,原始環境下でより多く作られたと思わ
> れるペプチド系で,それを実現して見せた.起原に関する理
> 論と現実とのギャップが,ぐんと浅くなったというのが肯定的
> 意見です.
>
> ハイパーサイクル系のシミュレーションでは想像できない結果
> を「新しい事実」と書きました.
そういう意味では新しい事実はないと思います。ただ
先に書いたようにあのような単純な系でも忠実にモデ
ル化することは困難です。絵では簡単な系ですが、実
際は触媒種がモノマーかダイマーか、parallelかanti-
parallelか、ショートカットはないかなど、分子レベ
ルで実験的に解っていないことが多すぎるのです。
> 情報の伝達,これを自己触媒系と自己複製系の違いと考えられる
> わけですね.意地悪なようですが,ここで言う情報とは何を意味
> するのでしょうか?自己触媒反応でも,立体構造が持つ情報が
> 生成される分子に伝達されていますね.実は私も何度と無く考え
> てみてるんですが,まだキチンと定式化できてないんです.
> 配列情報とか呼ばれてる情報,これが何なのか?
> 横林,Leeグループでは,ここでいう情報をどう定義され
> ますか?
von KiedrowskiのDNAを用いた化学的複製系ではDNA配列
が伝達される情報であるということは明らかですよね。
ペプチドの場合はもっと緩い意味での配列情報が伝達さ
れると考えています。例えばcoiled-coilの疎水界面の
ロイシンの一つをアラニンに変異させると、アラニン変
異体は全く自己複製しません。また疎水界面の両脇にあ
るアミノ酸(e, g位置)はinter-helicalなイオン相互
作用があることが知られ、その電荷の組み合わせによる
相互作用、反発なども触媒、自己触媒反応の選択性に影
響してきます。一方で、ミセルの場合は反応時にそのよ
うな分子認識が発生しません。極端な話、疎水部分のア
ルキル鎖なんて、いくつ炭素があってもよいわけです。
#専門紙に投稿されたのでご存知ないと思いますが、
アラニン変異体は自己複製はしないものの、無変異体
の生成を触媒する、逆に無変異体は自己複製はするが
アラニン変異体の生成は触媒しないという、変異体の
生成が抑制される系も発表しています。
#ちなみに一連のペーパーの第一著者のLeeは当時の学
生で現在MITでポスドクをしています。我々のボスは
Ghadiri(ガディーリ)教授です。
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Yohei Yokobayashi
yohei@***.***
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