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生命の起源 #937 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
937
DATE
11/24/1998 07:55:32 PM
TITLE
[life:00937] Re:Genome and Ogigin (リケッチアの
AUTHOR
ara@***.*** (Takeshi Ara)
BODY


LIFEの皆様

荒@京大農です。

>特定の蛋白質の配列から系統樹が描けることはよく知られて
>いますよね.全配列からも描けるのかしら?なんて,とんでも
>ないこと考えてしまいます.

かなりのコンピューターパワーがいると思いますが...

全遺伝子のホモロジー解析の結果や各遺伝子の系統樹、
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/COG/

クラスター(ドメインのようなもの)解析、全オペロン解析の結果
http://wit.mcs.anl.gov/WIT2/wit.html

などがすでに公開されています。まあこれらも全部見るのはとても
大変です。もちろん配列決定はどんどん進むので全部はいっては
いません。

この間聞いたセミナーで、NCBIの渡部さんのセミナーでは、現在の
ゲノムの遺伝子には必ずしも祖先体生物の遺伝子を引き継いでいる
とは限らず、インフルエンザやピロリ菌、マイコプラズマなどの寄
生性の生き物では祖先生物にあったはずの多くの必須(祖先?)遺
伝子をおとしている、といっていました。必須遺伝子ということで
はE-CELLは一つのこころみですよね?それと必須かどうかの検定の
ための変異体実験はあちこちで進んでいるようです。

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(1998/10/13のセミナーの講演要旨の引用)
>>微生物全ゲノム配列の情報学解析から分かったこと
>>「微生物ゲノムを通して見る祖先の姿」
>>
>>渡邉日出海 (WATANABE, Hidemi)
>>National Center for Biotechnology Information (NCBI)
>>National Library of Medicine (NLM)
>>National Institutes of Health (NIH)
>>
>>ゲノムデータから分かる事は、大きく2つのタイプに分けることができる。一つ
>>は、ゲノムの塩基配列が持つ生物にとっての意味、すなわち、機能であり、もう
>>一つは、ゲノムがたどってきた歴史である。本セミナーでは、ゲノムデータから
>>どれだけ多くのゲノムあるいは生物の歴史に関する情報をくみ取る事が出来るか、
>>ということをテーマとして我々が行っている、全現存(微)生物の共通祖先のゲ
>>ノムの姿を推定する試みを紹介する。これまでに決定された真正細菌と古細菌の
>>全ゲノム配列を比較する事で、真正細菌と古細菌の間で保存しているゲノム構造
>>を知る事が出来る。真正細菌と古細菌との間の様々な組合せでの比較結果をまと
>>め、CLADISTICAL な方法を応用し、真正細菌と古細菌の共通祖先(原核生物の共
>>通祖先)が持っていたゲノム構造を推定する。ある説では、真正細菌と古細菌の
>>共通祖先は、真核生物も含めたあらゆる現存生物の共通祖先(Cenancestor)に
>>一致し、30から40億年前に存在していたとされている。したがって、その説
>>にしたがうと、我々は、30から40億年前に存在していた祖先ゲノムの姿を推
>>定することになる。我々の解析の結果、その祖先ゲノムには、少なくとも約70
>>0の遺伝子が存在していたことが示され、また、そのうちの約1/6がなんらか
>>のクラスタを形成していた事が示唆された。また、転写制御因子は主に2成分制
>>御系のものであるので、細胞外環境の変化に適応するためのシステムは既に存在
>>していたが、現存原核生物に見られる多様な転写制御系の多くはまだ存在してい
>>なかったと考えられる。興味深い事に、700の遺伝子のうちの約1/3は機能
>>未知の保存遺伝子であり、マイコプラズマやスピロヘータ等の寄生細菌には存在
>>しないものである。また、マイコプラズマやスピロヘータに存在する遺伝子の多
>>くは、700の遺伝子に対応しない。したがって、原核生物の共通祖先は、それ
>>らの生物とは大きく異なる姿をしていたと考えられる。今後、詳細に700の遺
>>伝子の機能を調べ、また、遺伝子クラスタの構造と既に存在していたと考えられ
>>る制御系の対応関係を推定する事で、共通祖先がどのような環境で何をしていた
>>のかを推定していきたい。
>>--------------------------------------------------------------

進化の細かい話になるとちょっとわからなくなってしまうのですが。

>全体を見渡して,遺伝子の進化規則みたいなものがでてくるん
>でしょうか?

配列がでて遺伝子が予測されてもその半分は機能未知、ホモロジーも
なし、という状況ですし、なかなか難しそうです。クラスター解析や
オペロン解析からそうした研究もでてくるのではないかと思います。

最近の面白い話では、各生物にしかない固有の遺伝子が結構あって、
それは何をしているのだろう?という問題があって、それはやはり
その生物を生物たらしめるシステムにはなにがまだ足りないのだろう
?というちょっと哲学的(工学的?)なことを考えねばならないよう
です。システム論からこういう構成要素が必要、というリストに実際
の遺伝子のリストをあてはめていくと面白い結果がでるかも知れませ
んね。ただこの実際当てはめる、というところがとても難しいようで
す。ある意味でそれは個々の生物学者がこんなことあるかも、という
仮説を全体で考えていくことになるので、そこをいっきに、というの
は無理があるのかも知れません。

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荒 武 (Takeshi Ara)
京都大学 農学研究科 農芸化学専攻 植物栄養学研究室
Tel : 075-753-6108 FAX: 075-753-6128
e-Mail : ara@***.***
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