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大戸です。
At 14:28 97/09/17 +0900, Kazuhiro Iida wrote:
> > この仮説で重要なことは、後世に残る形質であるという、単純な要請により、
> > 自己保存機能が「選択」された訳であり(そうでなければ、現存していない)、
>
> ここのところは重要です.自己保存機能とは,たとえばどういうこと
> でしょう.
ここでいう自己保存とは、観測に引っかかるためにはある程度の時間的な
同一性が確保している必要があるということです。短い期間で変化してい
くような構造体(もしくはその集合体)の場合、観測者としては「遷移過程」
とみなすでしょう。そういう意味で、地と図の関係として、システムの境
界が見えてきます。ただ単に、システムとして「地」から分離・認識して
いるために、「自己保存」しているシステムが見えてくるというものです。
つまり、自己保存しないシステムは、観測者からは認識できないがために
存在しないということです。量子力学的な観測問題にも近いものかも知れ
ません。
> 1.自己保存は,客観的に書きにくいので困った覚えがあります.
> > 生命システムを育む初期状態が必須であるという事実は、歴然としたもので
> > はあります。これを満たすための物質が生命システムを生み出すきっかけ以
> > 上のものを要求しないという意味で、私は「物質がプリミティブではない」
> > といっている訳です。
>
> 原始環境に関する情報がなければ,プリミティブである/無いという議論
> は,やはり難しい判断ではないでしょうか.鶏と卵の関係に思えます.
私のイメージとしてはカオスダイナミクスがありました。有名なパイこね
変換でも、初期状態における特性が、引き伸ばされ、畳まれていくうちに、
その情報を失っていくものです。つまり、初期状態に重点を置くより、そ
のダイナミクスの方がプリミティブではないか、と考えました。
> > つまり、最終的に「物質的束縛」から「情報系」に移行できたとしても、物
> > 質の持っていたダイナミクスに「束縛」することになるのかも知れません。
> > 我々の知っている生命システムが一種類?であるため、この可能性は否定で
> > きません。
>
> 現在の生物は情報系を構成しているとして,その振る舞いは物質系
> の束縛をうけていないといえるでしょうか?
物質ベースの生命システムでは、その拘束条件として物理があり、化学が
あります。また、コンピュータ内における生命システム(仮にできたとして)
では、ノイマンアーキテクチャなどが拘束条件になっていきます。でも、
コンピュータプログラムを作る際には、メモリーがどうのこうのというこ
とはあまり考えないで設計していきます(チューニング段階では考えてい
ますよ)。そうしないと、ある程度、大規模なシステムを記述することは
できません。オブジェクト指向的アプローチと生命システムの関連性につ
いて書いたことがありますが、このような観点から記述できるのかも知れ
ません。
ここで、なぜ、還元論に対して良い顔をしないかというと、物質/科学な
どのダイナミクスのみでは、生命現象を規定することは「非常に困難」で
あるということです。そのシステム要素間の関係性がシステムの構成には
重要な要素であるという見方です。
> 私は,現在の生物が情報系に「見える」のは,
>
> 2.情報の複製系と,その解釈系が独立であるため
これが理由なのでしょうか?(現段階では分かりませんが...)
というより、スタンスとして情報系として「見る」と、システム記述がか
なり楽になるのではないかということです。カオス系へのアプローチでも、
ある程度、物理現象を観察した後でモデル化を行っており、同様なシステ
ムに対しての適応を試みることにより、一般化していくようなアプローチ
を取っています(と思っている)。私もこのようなアプローチを取っていき
たいと思っています。
何をどのように関係づけていくかについては、後日改めて...
> と考えております.この分離がどのように生じたのかとても興味があります.
おいおい、考えていきましょう。
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