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前田様、早瀬様、川村様、LIFEのみなさま。
RNAの試験管内進化の研究をしていました木賀です。
鉱物の成長と、鉱物による有機物の濃縮のお話の流れを興味深く拝見していますが、
早瀬さんに質問があります。早瀬さんのwebページで述べられている有機物とは、ア
ミノ酸・ヌクレオチドなどを想定していらっしゃるのでしょうか。もうひとつは、他
の方々と同じ質問になってしまいますが、鉱物表面において「フラクタルであること
」が、「フラクタルでないこと」と比べ、有機物に対するどのような反応上の特性を
持つのでしょうか。
また、前田さんのリボザイムの話を受けて飯田さん、山口さんからレスがありました
が、RNA(RNP)ワールド仮説の信者の私からつけ加えますと、
前田さん:
>自己切断するRNAがあることはRibozymeで明らかになりましたが、もしもそれ以上
>の触媒機能がないとすれば、RNAワールドなんて本当にあったのかといつも疑問に
>思ってます。
天然のリボザイムで知られている反応は自己切断の他に、別のRNA鎖の切断・再結
合と、アミノ酸を重合してペプチド鎖を形成するペプチド転位反応があります。さら
に、近年の試験管内進化の実験で、RNA鎖の結合、RNAへのリン酸基の付加、RNAへの
アミノ酸の付加(tRNAへアミノ酸を結合する反応に相当)、核酸塩基へのアルキル基
の付加、化合物の異性化、ペプチド転位反応を触媒するリボザイム、などがそれぞれ
単離されています。あと、出版されたかはフォローしていませんが、リボース1リン
酸にウラシルを付加するリボザイムについての報告が、今春の学会でありました。こ
れらの結果をふまえた個人的な感想ですが、適切な補酵素さえ準備できれば、タンパ
ク質が行う全ての酵素反応はRNAによっても可能であると考えます。
追伸:
鉱物表面上の生命の起源に関する10年前のの総説(Microbiological Reviews, 19
98, p452-484)を見つけましたが、どなたか、最近の良い総説をご存じありませんか?
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東京大学 大学院理学系研究科 生物化学専攻
横山研究室 木賀大介
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