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生命の起源 #819 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
819
DATE
08/06/1998 02:30:33 PM
TITLE
[life:00819] Re: Fractal Makes Life
AUTHOR
kawamura@***.*** (KAWAMURA Kunio)
BODY


早瀬さん.再び質問させていただきます.

>フラクタルな鉱物の具体的な例としては、炭酸カルシウムなどを想定すれば
>いいでしょう。
>「フラクタルとは何か」と問われると、ちょっと簡単には説明できません。
>詳しくは、
>「フラクタル科学」 朝倉書店 高安秀樹編著
>などをご覧ください、といって逃げるしかありません。

簡単な説明で結構ですので,フラクタルとフラクタル鉱物について説明をお願いしま
す.特に炭酸カルシウムのどこがフラクタルなのかを説明していただければ,分かり
やすいのではないかと思います.

>フラクタル表面の「あな」が淡水に洗われている時、なにもない穴より、有機分
>子
>の入った穴の方が、その穴の周りの無機鉱物が融けにくいといようなことが、
>起こりうるだろうと言っているのです。
>だから、「フラクタル表面の周りでは、結晶鉱物をより安定にさせるような性質
>を持つ有機分子が残る」と考えていいのではないでしょうか。
>
>フラクタル表面では、結晶の安定化に役立たない物質は、結晶と一緒に
>溶け出していってしまうので、逆に言えば、結晶を安定化させる物質の
>濃度が上がるはずです。

これらの現象はフラクタル鉱物(フラクタル鉱物の意味がはっきりしないので推測で
すが),でなくても普通の鉱物でも同じように起こると思います.ただしその議論の
前に,結晶の安定化に役立つ物質とは具体的にどのようなものを言っておられるのか
説明がいただきたいと思います.そうすればフラクタル鉱物そのものの理解にも役立
つと思います.

>フラクタル表面が物質をセレクトすることはFMLにとって重要だと考えます。
>
>例えば、海水中の有機物スープが塩溜まりで濃縮され化学反応を起すことを
>想像してみますと、有機物の種類が多すぎ、反応の組み合わせは、何百万
>のオーダーに、すぐなってしまうでしょう。
>結果、「非常にネバネバした真黒なタールのようなものを生ずること」になる
>でしょう。
>
>フラクタル表面では、結晶の安定化に役立たない生成物はどんどん洗い流されて
>しまうので、無用な複雑さを避けることが出来ます。

フラクタル表面とそうでない表面との違いが分からないので,説明をお願いします.
普通の鉱物では,結晶の安定化(?)に役立つかどうかと言うことと,結晶表面に対
する有機物の化学的親和力との間には相関関係があるということはないと理解してい
ます.結晶を安定化する有機物とその結晶の具体例があれば教えて下さい.

>仮に鉱物が析出し、一日に0.1mmの厚さで太っていくとします。
>100年たつと、3mぐらいふとって自身の重みで壊れたり、重心を失って
>転がって欠けたりするのです。

これは普通の鉱物にも当てはまるとおもいますが,いかがでしょうか.

>>>生物の進化は、数学でいう「カオス」のように予測不能です。一つ一つの生命
>を見てみ
>>>ると、「AはBから生まれた。」とか「CはDとEから生まれたが、遺伝子pの所に
>これこ
>>>れの突然変異を起した。」とか「Fは生まれてすぐGに飲み込まれた」とか記述
>可能です
>>>。しかし、それらがいくつも集まって繰り返し繰り返し起こるとき、何が起こ
>るかを予
>>>測することは不可能です。
>
>>これらは専門家に聞いてみないと確かなことは言えませんが,進化を全く予測
>できな
>>いかというと,私はそうではないような気がします.例えば適応放散のような
>現象を
>>見ると,生物はある方向性を持って進化するのものなのではないかと私は思い
>ます.
>
>これは特に答えなくて良いのでしょうか?

情報が保持されないと進化はできないものと私は理解しています.しかもその情報が
突然変異などのメカニズムで変化しなければなりません.フラクタルというのはある
種の周期構造のように思いますが,それは生体情報が進化するという意味で進化する
のでしょうか.生物でもそのような構造を利用している例はありそうですが,それと
生物の情報とは関係あるのでしょうか.私は基本的には他人のそら似だと考えています.

>自己再生はもちろん生命の必要条件です。
>コピーをしているということは、情報をつたえていることになると思います。
>遺伝子というのはその情報がデジタルで収まっているということだと思います。
>「デジタルな情報は必ずしも必要な条件ではない」ということです。
>遺伝子は進化の途中で現れたものだというふうに考えられないでしょうか。

鉱物の構造は,温度と圧力とその鉱物に関与する化学種の濃度などが決まれば,熱力
学的に決定されてしまいます.早瀬さんの文章からは,「熱力学的に決まるものも情
報として遺伝情報などと同列に扱うことができる」というふうに私は理解しましたが
,それでよろしいですか.つまり熱力学的な平衡も情報の一つであるという意味でし
ょうか.もしそうであれば,それは情報の定義を広げることになってしまって,いわ
ゆる遺伝情報とは区別して考えるべきだと思います.生体が遺伝情報を再生するよう
な意味で情報を再生する鉱物があれば具体例を教えて下さい.
情報がデジタルかそうでないかは,情報を持っているかどうかとは別の次元の問題で
す.遺伝子以前の情報を仮定することはそれなりに意味があると思いますが,その具
体例が示されないかぎり,それが現在の遺伝子の前段階にあったかどうかを議論する
ことはできないと思います.「デジタルな情報は必ずしも必要な条件ではない」と主
張する根拠が必要ではないかと思います.

>>一般に有機物が鉱物の表面に吸着されることがある,というのはよろしいと思
>います
>>.それがフラクタル鉱物にどう結びつくのかがよく分かりません.説明をお願
>いします.

>えーっとこの箇所質問の意味が良く分かりませんが、
>上で述べた、フラクタル表面の物質セレクト機構と関連しての質問と思われま
>す。
>鉱物表面に、特定の物質が多く見出されるのが判明したら、次にそれらの物質
>は、
>フラクタル面上でどのような化学反応を起すと期待できるか、調べる実験が待っ
>て
>います。
>さらにその生成物が、どのようにフラクタル表面でセレクトされるかを調べ、
>さらに・・・と続くのです。
>もし、実験がぜんぜん続けられなければ、FMLは棄却されます。

要するにフラクタル鉱物というものがよく分からないのでこのような質問が出てくる
のだと思います.フラクタル鉱物とは化学の用語には登場しないと思いますが,その
あたりの説明をやはりお願いしたいと思います.

>この記述は少しFMLについて誤解があると思います。
>FMLで淘汰を受け進化できるのは、
>「フラクタル鉱物と、その表面についている有機物セット」
>の組み合わせです。

では,その具体的な例はどのようなものを想定されているのでしょうか.鉱物が進化
できないということは誰も証明していませんので否定はできませんが,進化できると
言うことは具体例を示さないと,理解できないと思います.

>えーっと・・・
>しろうと考えで言いますと、RNAワールドの場合、RNAが自分自身をコピーする機
>構
>というのは、一つの反応サイクルというよりは、複数の反応サイクルが組み合わ
>さって
>行われるのではないでしょうか。
>フラクタル表面上では、反応サイクルを一つづつ進化により長い時間をかけて積
>み上げ
>ていけるので、起こりやすかろうと思ったのです。
>ちっとも具体的な機構でなくすみません。

フラクタル表面で,反応サイクルを積み上げていけると言うのはどのようなことなの
でしょうか.やはり具体例がないと,分かりません.

>>生命に類似した現象と生命とを比較して生命とはなにかを問う,と言うのが早
>瀬さん
>>のお考えの中心にあるのではないかと思います.しかし,共通の原理で扱える
>なら鉱
>>物も生物の一種だと言っては,生命の定義の範囲を広げただけでも共通の原理
>で扱え
>>ることになるので,我々が知りたい情報を得ることにはならないと思います.
>鉱物か
>>ら生物が発展する可能性について具体性をもってシナリオを検討されたら,こ
>のアイ
>>デアの展望が開けてくるのではないかと思いますが,いかがでしょうか.

鉱物の多様性と生物の多様性は似ている点もあるかも知れません.例えば,どちらも
化学反応だし,色々な3次元構造も作ります.しかし似ている点を集めてそれらを同
質だと言うことは,あたっていません.フラクタル鉱物というものが現在の遺伝情報
伝達系にどのようにしてつながるかと言うことが構想されていないと,フラクタル鉱
物の理論を評価することはできないと思います.そういう意味で,フラクタル鉱物か
ら次の段階の化学進化にどのように移行したのかそのシナリオを検討する必要がある
のではないかと思います.

フラクタル理論の概要はまだつかめません.さらに詳しい説明をお願いします.


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川村邦男
大阪府立大学 工学部 応用化学科
〒599−8531 大阪府 堺市 学園町1−1
電話    0722−52−1161 内線2356
ファックス 0722−59−3340

Dr. KAWAMURA Kunio
Department of Applied Chemistry
Osaka Prefecture University
Sakai, Osaka 599-8531, NIPPON (JAPAN)
TEL 81-722-52-1161 ext 2356
FAX 81-722-59-3340

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