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生命の起源 #818 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
818
DATE
08/06/1998 11:28:13 AM
TITLE
[life:00818] Re: Fractal Makes Life
AUTHOR
"Hayase Tomoaki" <hayase@***.***>
BODY


川村様、LIFEの皆様、
早瀬です。

えー、私の得意技は数学なので、ものを記述する時、なるべく一般的に書こうと
する傾向があります。ものを特定しないほうが議論の本質が見えてくることが良
くあります。しかし話が分かりにくくなるのも事実です。

>早瀬さん.まだよく分からない点がありますので,まずFMLの概略あるいは理論
の骨
>子を説明していただければありがたいです.以下に早瀬さんのホームページつ
いて引
>用しながらいくつか質問させていただきます.

>まずフラクタルな鉱物とは何ものか教えて下さい.下の説明ではどのような化
合物を
>想定すればいいのでしょうか.

>>無機鉱物は、溶解・析出する臨界状態でフラクタルな構造を作る。
>>そのようなフラクタル無機鉱物の無数の窪みが、有機物スープに晒される。
>>窪みの中の様々の有機物は顕微鏡的なサイズの環境を作り、無機鉱物の溶解度
などに影
>>響を与える。

フラクタルな鉱物の具体的な例としては、炭酸カルシウムなどを想定すれば
いいでしょう。
「フラクタルとは何か」と問われると、ちょっと簡単には説明できません。
詳しくは、
「フラクタル科学」 朝倉書店 高安秀樹編著
などをご覧ください、といって逃げるしかありません。

>また,第1歩の生物に到るまでの筋書きについても質問があります.例えば
「環境の
>変化に対し、土台となる無機鉱物が溶解しにくいものが、フラクタル表面に選
択的に
>残る。」と言うことは具体的にどのようなことをお考えでしょうか.

フラクタル表面の「あな」が淡水に洗われている時、なにもない穴より、有機分

の入った穴の方が、その穴の周りの無機鉱物が融けにくいといようなことが、
起こりうるだろうと言っているのです。
だから、「フラクタル表面の周りでは、結晶鉱物をより安定にさせるような性質
を持つ有機分子が残る」と考えていいのではないでしょうか。

フラクタル表面では、結晶の安定化に役立たない物質は、結晶と一緒に
溶け出していってしまうので、逆に言えば、結晶を安定化させる物質の
濃度が上がるはずです。

フラクタル表面が物質をセレクトすることはFMLにとって重要だと考えます。

例えば、海水中の有機物スープが塩溜まりで濃縮され化学反応を起すことを
想像してみますと、有機物の種類が多すぎ、反応の組み合わせは、何百万
のオーダーに、すぐなってしまうでしょう。
結果、「非常にネバネバした真黒なタールのようなものを生ずること」になる
でしょう。

フラクタル表面では、結晶の安定化に役立たない生成物はどんどん洗い流されて
しまうので、無用な複雑さを避けることが出来ます。

>その他フラクタル鉱物が機械的に割れると言いますが,
>どのような鉱物においてそのような現象が認められるのでしょうか.

仮に鉱物が析出し、一日に0.1mmの厚さで太っていくとします。
100年たつと、3mぐらいふとって自身の重みで壊れたり、重心を失って
転がって欠けたりするのです。

>>生物の進化は、数学でいう「カオス」のように予測不能です。一つ一つの生命
を見てみ
>>ると、「AはBから生まれた。」とか「CはDとEから生まれたが、遺伝子pの所に
これこ
>>れの突然変異を起した。」とか「Fは生まれてすぐGに飲み込まれた」とか記述
可能です
>>。しかし、それらがいくつも集まって繰り返し繰り返し起こるとき、何が起こ
るかを予
>>測することは不可能です。

>これらは専門家に聞いてみないと確かなことは言えませんが,進化を全く予測
できな
>いかというと,私はそうではないような気がします.例えば適応放散のような
現象を
>見ると,生物はある方向性を持って進化するのものなのではないかと私は思い
ます.

これは特に答えなくて良いのでしょうか?

>遺伝子は重要な概念ですが,現在の生物ではDNAが遺伝子の本体であると考
えられ
>ています.親から子へ情報が伝わることを遺伝と解釈していいと思うので,遺
伝子が
>ない,あるいは遺伝がないということは情報を受け伝える仕組みがないと言う
ことに
>なると思います.”情報が伝わることなしにコピーができるシステム”は生物
と似て
>いるところもあるかも知れませんが,現在の生物とどのような関係にあるか,
あるい
>はどのように生物へと移行したのかを考えないとシナリオ全体が見えてこない
ように
>思います.

自己再生はもちろん生命の必要条件です。
コピーをしているということは、情報をつたえていることになると思います。
遺伝子というのはその情報がデジタルで収まっているということだと思います。
「デジタルな情報は必ずしも必要な条件ではない」ということです。
遺伝子は進化の途中で現れたものだというふうに考えられないでしょうか。

>>1.「淡水と、海水+有機物スープに交互に洗われる、無機鉱物」
>>というのを炭酸カルシウムなどのいろいろな無機鉱物について、
>>実験を行えば、FMLが成立するか否か、判定できると思います。
>>この場合海水は当該無機鉱物について過飽和の状態を保つ必要があります。
>>無機鉱物の表面に、特定の有機物が、海水中より多く集まれば、FMLの可能性

>>より広がります。
>>2.もしFMLが炭酸カルシウムについて成立すると仮定すると、
>>貝類がその殻を作る生化学的しくみ等、現在の生物と炭酸カルシウム
>>との関係の中に、生命発生の痕跡が残されている可能性があります。

>一般に有機物が鉱物の表面に吸着されることがある,というのはよろしいと思
います
>.それがフラクタル鉱物にどう結びつくのかがよく分かりません.説明をお願
いします.

えーっとこの箇所質問の意味が良く分かりませんが、
上で述べた、フラクタル表面の物質セレクト機構と関連しての質問と思われま
す。
鉱物表面に、特定の物質が多く見出されるのが判明したら、次にそれらの物質
は、
フラクタル面上でどのような化学反応を起すと期待できるか、調べる実験が待っ

います。
さらにその生成物が、どのようにフラクタル表面でセレクトされるかを調べ、
さらに・・・と続くのです。
もし、実験がぜんぜん続けられなければ、FMLは棄却されます。

>>FMLは「鉱物の進化する可能性」を指摘するのみで、具体的な道筋は指摘して
いませ
>>ん。

>鉱物の多様性と生物の多様性のもっとも大きな違いは,生物の多様性は遺伝す
ると言
>うことにあると思います.鉱物は,生物進化の意味の進化はしないと思います
(もし
>進化する例があれば教えて下さい).鉱物の多様性あるいは自己触媒的な増幅
があっ
>てコピーが作り出されたように見えるとしても,いわば,それは情報を伝える
メカニ
>ズムによって増幅するのではなくて,物理化学的な条件で決定されるもので
す.鉱物
>でも情報を伝える何らかの機構があれば,進化に類似した現象は認められるか
も知れ
>ませんが,鉱物の形態は化学平衡あるいは速度によって一義的に決定されるた
ぐいの
>ものだと,私は考えます.

この記述は少しFMLについて誤解があると思います。
FMLで淘汰を受け進化できるのは、
「フラクタル鉱物と、その表面についている有機物セット」
の組み合わせです。

>>残念ながら私にはそれを示す能力がありません。
>>従ってFMLは学説とはいえず単なるアイデアといったものに過ぎません。
>>ただ、RNAワールドやハイパーサイクルが、海水中でいきなり始まるように起
こるよ
>>り、
>>フラクタル鉱物表面上で、フラクタル鉱物との関連で発達してくるほうが、
>>自然に起こりやすかろうという、「感じ」がするだけです。

>感じというのは,大切なことだと思います.しかし,それが仮説として成り立
つため
>には,色々な質問に耐えなければなりません.「起こりやすかろう」の部分に
ついて
>なにか具体的な機構などを構想しておいででしたら教えて下さい.

えーっと・・・
しろうと考えで言いますと、RNAワールドの場合、RNAが自分自身をコピーする機

というのは、一つの反応サイクルというよりは、複数の反応サイクルが組み合わ
さって
行われるのではないでしょうか。
フラクタル表面上では、反応サイクルを一つづつ進化により長い時間をかけて積
み上げ
ていけるので、起こりやすかろうと思ったのです。
ちっとも具体的な機構でなくすみません。

>生命に類似した現象と生命とを比較して生命とはなにかを問う,と言うのが早
瀬さん
>のお考えの中心にあるのではないかと思います.しかし,共通の原理で扱える
なら鉱
>物も生物の一種だと言っては,生命の定義の範囲を広げただけでも共通の原理
で扱え
>ることになるので,我々が知りたい情報を得ることにはならないと思います.
鉱物か
>ら生物が発展する可能性について具体性をもってシナリオを検討されたら,こ
のアイ
>デアの展望が開けてくるのではないかと思いますが,いかがでしょうか.

もう頭が働きません。ちょっと質問の意味が良く分かりません。

>化学進化として原始地球上にあり得た反応の数は,はかり知れません.我々は
実験室
>でそれらのごく一部を再現できるだけです.多くの反応の中から化学進化に重
要な反
>応を選び出し検証する作業は大変ですが,その作業抜きにはその化学進化が起
こった
>可能性を示すことはできません.私も鉱物を触媒としてRNAを生成する反応
につい
>て研究してきましたが,鉱物が化学進化に対して重要な役割を果たした可能性
は高い
>と思います.鉱物が遺伝情報を持ちうるメカニズムが存在する可能性も否定で
きませ
>ん.そういう意味で鉱物の役割は重要ですが,何しろまだまだ我々はその種の
情報を
>ほとんど持っていないと言っていいと思います.これからの実験を期待したい
と私は
>思います.
私も同感です。
最後は質問ではないのですね。ほっとしました。

早瀬 友秋  hayase@***.***
http://www.pluto.dti.ne.jp/~hayase/


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