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LIFEの皆様
プロテオームのスレッドで,前田さんにプロテオーム解析では,既知の蛋白質が
どんな現象に関わっているかを調べていると伺いました.
では,同じ蛋白質が複数の機能を持つような場合は見つかっているでしょうか?
有名なKauffmanの自己触媒集合(reflecsively lautocatalytic set)仮説の中
で,
彼は,代謝系は,特異性も触媒能も低い分子群から,特異性も触媒能も高い分子
群
へと進化していったと推論しています.
特異性も触媒能も高い分子群では,触媒で生じる分子種が一定してしまうため,
代謝系が進化できなくなる.それを避けるには,新しい基質(もしくは複数
の基質)に反応するような新しい分子種を生じるができなければならないが,そ
の
ような分子ができる条件下では,無数の種類の分子を合成するカオティックなシ
ス
テムになってしまう.
この矛盾を解消するためのメカニズムが遺伝子(と突然変異)だったのでは無い
か
と結んでいます.(この辺から,彼のカオスの縁説へとつながっていったのか
も)
で,起原から遠く下った現存する生物の中にも,そういう進化の途中みたいな分
子が
ないだろうか,複数の基質特異性を持つ酵素分子はどのくらい存在しているのだ
ろう
かと思った次第です.
(以前,肝臓の乳酸脱水素酵素LDHと目の水晶体のクリスタリンの相同性が
非常に高いという報告を聞いたことがあります.これは遺伝子配列での話しです
が.)
ちょっと読みづらい論文ですがご参考までに
{Kauffman, S. (1986) ``Autocatalytic set of proteins," J. Theor. Biol.
119:1-24}
--
"Life and Evolution '98"
Kazuhiro Iida,
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305-8501 Japan.
TEL +81(298)50-1142, FAX +81(298)56-6136.
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