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生命の起源 #73 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
73
DATE
09/12/1997 04:13:10 AM
TITLE
[life:000073] Re: What is life?
AUTHOR
"飯田一浩" <iida@***.***>
BODY


大戸 様

> (独り言 ^^;)ここでのこのようなコメントは誤解を招きかねません
> ので、ご注意下さい _._

以後注意いたします._._

> このようなことから、ある程度普遍的なモデルを作り得たとしても、
> 個々の生物に当てはめることはまず無理と考えるべきでしょう。
> #将来的には可能かも知れません

中略

> 私(の立場)は「ミニマルな構造」を求めることは難しいと考えてい
> ます。私が求めているのは「ミニマルなダイナミクス」であり、物
> 質基盤は、取っ掛かりとしては重要とは思いますが、生物界全体に
> ある程度の普遍性を持たせないといけない問題であり、DNAやRNAに
> こだわり続けるのは良くありません。

個々の生物は,それぞれに長い進化の道のりで違った道を歩んで
きた,その道のりの差が形質の差になって現れているとすれば,
大戸様のおっしゃるように,ほとんど不可能であると思います.

むしろ,全ての生物が核酸からなる遺伝子を持っているのと同様
な意味で,全ての生物がそれと相同な部分を持つような,そんな
システム構造があるものと考えています.

さらにそこから,生命以後の進化の過程で獲得された形質を除い
てみて(これは全くイメージで言っておりまして,満たすべきミ
ニマルな必要条件群が示すものは進化の過程で獲得された形質を
ほとんど含まないだろうという私の憶測によります.)得られる
システム構造を,ここでは最小のシステム構造とか,ミニマルシ
ステムとか呼んでおります.


> 生物界全体を統べる法則はあるのでしょうか?意味としての相互作
> 用と相互進化(赤の女王仮説に近いかも)および、下位階層構造の自
> 己組織(崩壊)ダイナミクスと、これをその上位の階層ではシステム
> 内に取り込んでいくメカニズムが働いているようで、多分にフラク
> タル構造を取っています。よろしければ、この点からのアプローチ
> をスレッドを分けて論じようと思います。

是非お願いします.その議論は生成機構にも直接関係するものです.
積極的に参加できると思います.

> 私の知っているところでは、郡司ペギオ=幸夫の書かれている論文
> が、そのようなことを「論理学的に」論じていますが、私には到底
> 理解できていません ^^;
> #現代思想に連載されていたりしました

いえいえ郡司さんほど,むずかしいことはありません.三田様への
返事で書いたようなとても簡単な枠組みで記述できます.難しく
考えすぎると良くないです.


> これは、DNAの情報が絶対ではなく、その場におかれた環境によって
> ダイナミックにシステム自らが変更していっているという、良い見
> 本と考えています。

その変化(変異)が何によってもたらされたかを考えると,生命後の
選択淘汰,進化の結果とは考えられませんか?そういった現象を絶対
忘れないで,しかも,極力省くようにすることが起原へさかのぼる
ことではないでしょうか?


> AI分野へのインパクトといった場合、大変な誤解が生じます。AIはフ
> レームモデルやプロダクションルールなど、人間の知識活動をモチー
> フとしており、また、生物システムとしては、高次の精神活動にしか
> 注目していません。生物システムの原理に近い話は遠慮されるきらい
> があります。最近のALの流れにより、自律エージェントに対する要求
> などが考慮されて来てはいますがAこれもまた、高度のネゴシエーショ
> ンを必要としているのであり、単純な分散システムの応用として浸透
> することはありません。つまり、この部分にセマンティックギャップ
> が生じているのです。

私の認識では,生命現象に触発されたAL的試みはAIの主流となって
はいません.しかしその概念が確実に影響を与えています.計算論的学
習理論の研究者すら,並列計算の延長としてエージェントによる計算の
効率を導くなどしている状況です.そういったわけで,定義は重要です
が,心の社会や NeuralDarwinismの影響ともあいまってALとAIの垣根が
急速に低くなっていると思います.


> そんなこん_(IH_ぢで、私は工学分野における(日本での)人工生命に対する
> 態度には否定的であり、安易な考えで来て欲しくない部分があります
> (偉そうなことが言えるような身分ではないのですが...)。既にこの分
> 野で、独自の足場を築かれている人たちは、このようなフィーバーに
> 否定的です(もちろん、冷静な人には暖かい(はず)です)。

大戸様のような灯台的役割をされる方が必要かもしれません.


> を追い求めてしまうと、どこで切るかの問題になってしまいますので、
> この問題を避けるためにも、フラクタルの概念が重要であると考えら
> れます。

どこで区切るかの問題は,まったく連続的な複雑化を考える場合は
形而上学的問題になります.しかし,断言はできませんが大戸様が
オートポイエシスが重要である,フラクタル構造が重要であるとおっ
しゃるように,他の相とは質的に異なる相,生命の相というものが
あるようです.つまり相転移的な質的な変化が物質と生命のシステ
ムをわけているようです.ここでの議論は,この転移点を定位して
ゆく作業であると言い換えることもできると考えます.


> 飯田さんのアプローチ_(IM_ぢたたき台としては良いもの(従来の科学でやら
> れていた手法に近い?)と思います。ただ、荒[LIFE-No.00064]さんの
> コメントがなければ、コメントを続けようとは考えなかったとは思い
> ます。

私も新しい概念に惹かれたのですが,それをどう記述してゆくか
を長いこと考えたあげく,ついに書けませんでした.その後も,
きれいな書き方を見た覚えがありません.もしその後,すばらしい
表現ができているとしたら採用したいです.

今の心境としては,なーんだ従来の記述を拡張することで書ける
んだ!という心境です.


例によって余談ですが
階層構造,再帰的構造は,単純な再帰式で書ける場合があります.
そういった再帰式もシステム構造の一つです.

--
"Life and Evolution '97"
Kazuhiro Iida,
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305 Japan.
TEL +81(298)50-1142, FAX +81(298)56-6136.


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