生命の起源フォーラム (ORIGINS OF LIFE FORUM) - help
生命の起源フォーラム (ORIGINS OF LIFE FORUM)
Welcome to 生命の起源フォーラム (ORIGINS OF LIFE FORUM) - help -
生命の起源 #643 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
643
DATE
04/09/1998 07:24:45 AM
TITLE
[life:000643] Re: Endsymbionts hypothesis
AUTHOR
"Kazuhiro Iida 飯田一浩 NEC基礎研究所" <iida@***.***>
BODY


松浦様 LIFEの皆様

松浦さん:
抗原提示のプロセスは考えなくていいのですか? マクロファージや樹状細胞は
けっこう重要な役割をしていると思うのですが.

飯田:
もちろんです.ご存じかもしれませんが,
免疫応答の全体像を理解するのに良い図があります.

{Marrack, P. and Kappler, J. (1986) Sci. Am. 254(2):38-39}

松浦さん:
で,私が最も興味を持っているのは,免疫反応の大きさと時間です.2度同じ
抗原に遭遇したような場合,1度目と2度目では反応の大きさもそれに
かかる時間も違います.ということは,1度目の反応の時点で免疫系内における
何かが変化しているはずで,それはいったい何なのか? というこです.
で,それを私は抗原提示の段階で,何らかの変化が起こるのではないかと
思っていたわけです.

飯田:
教科書的には,メモリーセルが存在するからとされています.
(先の抗原への暴露で選択されたクローンが生き残っていて,次の抗原が
くるのを,今か今かと待っている状態です.驚異的なのは,その
持続力10年を経てもまだ残っているらしいです.同じ細胞が残っている
のかどうかは存じませんが.)


> 飯田:松浦さんがおっしゃるように,外来性の遺伝子が細胞内に入った場合です
と,
> 多くは即座に分解あるいは不活化されます.しかし一部,ホスト細胞の核内遺
> 伝子に入り込むことがあり,その現象が,遺伝子治療に使われています.(こ
> れに似たことが,細胞内共生でも起こったかもしれません)しかし,この場合
> でも遺伝子は,その遺伝子に対する免疫を獲得させるものではなく,能動免疫,
> あるいは上の意味での獲得免疫では細胞膜を介した遺伝子の動きはありません.

松浦さん:
直接的には,進入してきた遺伝子に対する免疫を獲得できないのかも
しれませんが,間接的にはどうでしょう?
それと,ウィルスが様々な経路で感染を繰り返しながら,感染した細胞の
遺伝子を媒介しているという話も聞いたことがあります.生体を構成する細胞に
おいては,ほとんど遺伝子の変化は起きないのかもしれませんが,外来の
異物と頻繁に接触する免疫細胞においては,遺伝子の変化がおきてもおかしく
ないと思うのですが.

飯田:
あくまで教科書のレベルでは,そういうことは知られていないというだけで,
現実には,あるかもしれません.ただし,免疫細胞の遺伝子が外来性の遺伝子
の進入を受けた場合でも次の世代には残らないとは言えると思います.

ちなみに,裸の遺伝子が筋肉注射で取り込まれるという話しは,
日経サイエンスの1997年9月号に概要があります.


--
"Life and Evolution '98"
Kazuhiro Iida,
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305-8501 Japan.
TEL +81(298)50-1142, FAX +81(298)56-6136.




-----
Go to page top