|
松浦＠JTS研究部です．
年度末なもので，しばらく忙殺されてましたが，ぼちぼち復活します．
みなさん，またよろしくお願いします．
At 9:41 2/9/98 +0900, Kazuhiro Iida 飯田一浩 ＮＥＣ基礎研究所 wrote:
>飯田：んーと，この辺の情報っていうイメージが難しいです．例えば，生態系
が
>自然にクライマックスに向かうようなイメージでしょうか？
>現在は，目に見えないけれども，系がそれへ向かって進むような定常状態が
>あって，その定常状態，もしくは，現在とそれとの差を「情報」と呼ぶ？み
>たいなイメージでしょうか？
>
>言ってみれば，「自然の向き」みたいな？
物理学とかで言うところの自己組織化臨界現象が，生物進化においても
見られるということでしょうか？ もしそうだとしたら，これもとても
興味深いことですね．
でも，私が意図してたことはそんなに深い意味はないです．DNAは，自身の
生物個体の構成に関するすべての情報を持っているわけではないですよね．
DNAから細胞が構成される段階においては，外部にある様々な要因が関係して
くるわけで，この外部要因が私の言うところの外側の遺伝子です．
>> # ちゃんと調べたいので，どなたか重力ラマルク説に関する情報をお持ちで
したら
>> # 文献を紹介していただけませんか？
>>
>
>飯田：
>残念ながら，勉強不足で存じ上げません．一言でいうと，どういう説なのでし
ょう．
私もいろいろ探してみたのですが，西原克成という人の著書に，そのような
記述があるようです．これから買って読む予定なので，詳しくはわからない
のですが，ラマルクの用不用説と，ダーウィンの自然淘汰万能の考え方を
ミックスしたような感じです．
上に書いたように，DNAとしての遺伝子以外に，生体の外部にも遺伝子が
あるという前提（仮説？）のもとで，DNAは突然変異と自然淘汰による
進化を行います．その一方で，ある個体が獲得した情報は環境（生体の外部）に
蓄積され，それが次の世代の個体に影響することで獲得形質が遺伝していく
という感じのようです．
なんとなく，文化・文明が（人類の）世代をこえて伝承されてきていることに
類似しているようなイメージですね．
>飯田：
>通常我々があつかっているのは，決定論的な力学系です．カオス力学系の
>ように，系構造は一定でも軌道が常に多様という系はあります．でも，
>少なくとも系の構造については，多様性を獲得しようが無いですよね．
>
>今の生物は，そうした系になっていないし，最初の，自己保存的
>な系もそうでなかったと思われます．
ハイパーサイクルの話題もあったようですが，集団としてハイパーサイクルと
同じような挙動を示すものに，Tom RayのTierraがありますね．
この例で言うなら，最初の自己保存的な系は先祖種に相当するものと
思いますが，これは構造は一定でも振る舞いは多様です．で，その
多様な振る舞いが次世代の個体につながるわけですから，少なくとも
Tierraの世界においてはカオス的振る舞いが多様な構造を生成している
ように思います．
もっとも，Tierraの世界は人工的な世界であり，それゆえ非常に特殊な
例だと言われればそれまでですが，多様性を創発するような自己保存系を
形式的に記述する上では，注目すべきものだと思います．
□■ 松浦 賢一 (株)ジャパンテクニカルソフトウェア 研究部
■□ matsuura@***.*** Reseach Department, JTS Co., Ltd.
----- |
|
|
