生命の起源フォーラム (ORIGINS OF LIFE FORUM) - help
生命の起源フォーラム (ORIGINS OF LIFE FORUM)
Welcome to 生命の起源フォーラム (ORIGINS OF LIFE FORUM) - help -
生命の起源 #599 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
599
DATE
03/06/1998 06:46:02 AM
TITLE
[life:000599] Conference report
AUTHOR
"Kazuhiro Iida 飯田一浩 NEC基礎研究所" <iida@***.***>
BODY


飯田@NECです.

3月1日から5日まで,泉大津市で行われた生命の起原と進化に関する
国際会議に参加して来ました.

名称は,京都大学国際会議「生命の起原および進化における放射線の
役割」The role of radiation un the origin and evolution of
life.京都大学の原子炉研究所の主催で生命の起源および進化学会の
大会を兼ねて開催されました.


「起原」というと,ちょっとマニアックで,さらに「放射線」というと
かなり「いっちゃってる」話題かもね...と心配していましたが,結
構,目から鱗の話題が盛りだくさんでした.(バックグラウンドの違い
から,ほとんどわからない部分も多かったのですが :)

残念だったのは,有機物以降のシステムに関する話題が私を含めても大
変少なかったことです.ほとんどの発表は,有機物の自然合成と光学異
性に関するものでした.(そのことを多少とも問題と考えている人は私
だけではないようなので,徐々に変わってゆくでしょう.とりあえず,
物質系の話しをして,それからシステム系の話しにうつります :)


で,今回の学会で一番印象的だったのは,生命の源になるアミノ酸な
どの有機物がどこで出来たか?ということです.なんと,宇宙空間と
いう意見が多いんです.(今回の学会の主旨からしてということでも
ないようです.)

熱水噴出口を思い描いていた私としては,キョトンとしてしまいまし
た.もちろん,宇宙空間にも有機物があってそれが隕石などにのって
地球に運ばれることがあることは知っていましたが,地球にぶつかっ
た時点で壊れるだろうし,量も少ないだろうと思っていました(シス
テム屋は逆に,この辺に疎い).

ところが,特に,東大の宇宙線研究所の斉藤先生と,横浜国立大学の
小林先生(LIFEのメンバ)の発表なんですが,その量は,放電そ
の他で地球上で生じたと考えられる有機物の量を3桁ぐらい越える程
に,大量の有機物が宇宙(もしくは原始大気の上層部)から運ばれた
と見積もられるそうです.

さらに,地球に運ばれた際の濃度まで考えると,彗星によって運ばれ
る場合が最も高濃度の有機物を生じるそうです.実験室でミクロスフ
ェアが形成されるのに必要な有機物の濃度にまで到達できるのは,彗
星由来の有機物だけで,他の生成要因による有機物は,その10のマ
イナス9乗程の濃度しか実現できない(この行の表現は不適切かもし
れないので,小林先生になおしていただければ幸いです)ので,生命
につながりうる有機物の供給原としては,彗星”だけ”を考える方が
合理的だとのこと.

地表にぶつかった際に壊れるだろうという心配も,微小な彗星核の場
合は小さく,また大きくても,落下する場所によってはほとんどの有
機物が分解を免れる場合があると,斉藤先生はおっしゃってました.

具体的数値は予稿集(VivaOrigino 26 No.1)に表がありますが,ちな
みに原始大気への宇宙線照射で生じる有機物の量は,2X10^6 
Kg/年,かたや,彗星の氷に宇宙線が作用してできる有機物は,
1x10^2 Kg/年,原始大気中の放電で得られると推定される
量が1.4X10^3 kg/年.
(根拠になるデータ,計算方法についてはフォローできなかったので
すが,ちかじか発行予定のProceedingsに載るでしょうから勉強しよう
と思ってます.)

熱水噴出口での有機物生成量に関する見積もりと比べてみたいです.
松野先生ご存知ですか?

(つづく)
--
"Life and Evolution '97"
Kazuhiro Iida,
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305-8501 Japan.
TEL +81(298)50-1142, FAX +81(298)56-6136.




-----
Go to page top