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生命の起源 #580 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
580
DATE
02/03/1998 03:05:53 AM
TITLE
[life:000580] Least number of amino acid species
AUTHOR
"Kazuhiro Iida 飯田一浩 NEC基礎研究所" <iida@***.***>
BODY


用事が多くて,好きな研究おあずけを食っている飯田@NECです.

今日は,文献紹介を一ついたします.
{Riddle, D.S. et al. (1997) ``Functional rapidly folding proteins from
simplified amino acids sequences," Nature structural biology
4:805-809.}


生命の起原を考える時,こうした疑問をもたれた方はおられないでしょうか?
今ある生体の蛋白質は,20種類ものアミノ酸が複雑な配列を成しているが,最

からそんなに複雑な蛋白質ができたとは考えにくい.では,特定の機能を保った
まま
どれだけ配列を簡単にできるだろうか?

また,今の生体の蛋白質は,とても効率良く折り畳まれて機能のある立体構造を

作っていると聞くが,最初からそういう効率の良い折り畳みができたとは考えに
くい.
だとすると,蛋白質の折り畳みは,進化によって獲得されたのか?

上の論文は,こうした疑問に幾分,定量的な答えをだしています.
彼らの結論から言いますと,

1.少なくとも特定の物質を見分けて結合できる立体構造を取るには,最低5種
類の
アミノ酸があれば良く,逆に3種類のアミノ酸では,そうした機能構造はとれな
い.

2.蛋白質の折り畳みは,配列が簡単でも,現在の複雑な蛋白質とほぼ,同じ
スピードで折り畳まれる.蛋白質の折り畳みの速さは,配列に刻まれた進化
の記録や,シャペロニンなどとの相互作用というよりは,もともと,
自由エネルギー地形に従って,迅速におりたたまれる性質があると言える.

というものです.

実験の概要は,
βシート構造を持ち,特定のペプチドに結合する性質がある,src SH3という蛋
白質
ドメインの遺伝子を,少ないアミノ酸の種類に変えたバリアントをファージディ
スプ
レイ系で発現させ,例のペプチドへの結合をもって,選択した.得られた蛋白質

性質を,結合定数,NMRスペクトル,circular dicroism(円??),などなどの

諸元に関して,元の蛋白質と比較した.というもの.


とすると,最初の酵素って結構簡単にできたのかもしれませんね.

飯田@NEC

--
"Life and Evolution '97"
Kazuhiro Iida,
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305-8501 Japan.
TEL +81(298)50-1142, FAX +81(298)56-6136.




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