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生命の起源 #506 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
506
DATE
01/13/1998 02:11:26 AM
TITLE
[life:000506] Re: Marine Origins
AUTHOR
"Kazuhiro Iida 飯田一浩 NEC基礎研究所" <iida@***.***>
BODY


三田 様 LIFEの皆様

(つづき)

三田さん:
ところで、脂肪酸の話が出てきたのは、細胞膜をイメージされたからだと思いますが
、現在の古細菌のエーテル膜や、プロテイノイドミクロスフェア、マリグラヌール、
コアセルベート液滴など、構造物の構成に必ずしも脂肪酸エステルが必要なわけであ
りません。やはり、脂肪酸エステルはかなり進化した形のような気がします。

飯田:
たしかに,両親媒性分子でなくてもミクロスフェアや,マリグラヌル,
コアセルべートなどの構造をとりえます.その内部で,外部と異なる
反応を生じ,徐々に現在の中空の膜胞をつくるようになったとも考えられ
ますが,内部の反応によって境界が損なわれる可能性も同じくらいありそうです.

むしろ,最初からいきなり中空の構造物ができるような反応が生じたのでは
と考えております.古細菌のエーテル膜をつくる成分ならそうした構造を
いきなり作れるだろうと思っています.

三田さん:
  古細菌にみられるイソプレノイド系のエーテル膜が
 まだ簡単そうな気がします。

飯田:
イソプレノイドは,不飽和結合のあるイソプレンを単位とする炭化水素でしたっけ,
(アセチレン等から合成可能??)
これも,三田さんがおっしゃるように自然合成は難しそうではありますが,
最初の膜は,これに似たもので作られた可能性はないでしょうか.


余談ですが,
エーテル結合は,中性脂肪のグリセリンと脂肪酸の間のエステル結合よりも
結合エネルギーが高く,温熱環境に生息する古細菌の膜により適していると
聞いております.これは,起原が高熱環境だったことの直接の反映であるかも
しれないという説があります.(三田さんはもちろんご存じと思います)

遺伝子系統解析の結果からは,最初の細胞は,真性細菌と(原始的)古細菌の枝
にわかれ,ついで,(原始的)古細菌の枝から古細菌と真核細胞を生じた
(おそらく(原始的)古細菌に真性細菌が寄生することによって真核細胞が分化した)
ことが示唆されています.現存しない(原始的)古細菌がどんな膜をもって
いたかを知る方法があれば良いのですが.残念です.

三田さん:
最後に、脂肪酸の炭素数が偶数なのはアセチルCoAが元に待っているからでなくマ
ロニルCoA単位で合成されているからです。(マロニルCoA合成にはアセチルC
oAが必要ですけれども、アセチルCoA単位では炭素数が1つしか伸びません)

飯田:
あっ,酢酸のCOOHの炭素まで数えていました.:)


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"Life and Evolution '97"
Kazuhiro Iida,
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305 Japan.
TEL +81(298)50-1142, FAX +81(298)56-6136.




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