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生命の起源 #462 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
462
DATE
01/07/1998 08:31:35 AM
TITLE
[life:000462] Re: Marine Origins
AUTHOR
"MIYAKE, Hiromichi 三宅 啓道 東京工業大学" <miyake@***.***>
BODY


はじめまして、三宅@大学院生ともうします。

去年の年末にはいったので、しばし ROM の状態でした。
はじめての投稿なので自己紹介のようなものを:

関数解析という純粋数理をバックグラウンドにして非線型最適化問題(最近で
は非線型関数解析とも呼ばれているようです)に関わっていたのですが、現在
は AI からしだいに独立して論じられてきた組み合わせ最適化問題に大変興味
をもっております。今後、組み合わせ最適化問題はさまざまな場面で応用可能
であると考えられるからです。

たとえば、こういう考え方は非常に危険そして素人がよくする的外れな議論か
もしれませんが(だからこそ分子生物学などに詳しい方にぜひお聞きしたいの
です):

DNA が一つのプログラムであり、生物の体組織というシステムがそのプログラ
ムの実行を実際に Device する計算機であるとすると、DNA は4 種類(でしたっ
け)の塩基対が組み合わされたいわばビット列のようなものと考えられます。
そうすると、遺伝子操作というのは、自然界という環境でローカルな最適性を
実現したプログラム(DNA)のモジュールを別のすでにできあがったモジュー
ル(別の生物の遺伝子のある部分)で組み替えるというアナロジーで想像でき
ます。将来的には、モジュールの組み替えではなく、プログラムそのものをコー
ディングするということが可能になるかもしません。つまり、生化学的な分子
の分子構造の微細かつ精緻な合成が可能になれば(とても大変なことなのかも
知れませんが)、要求する構造をもった分子を合成する、つまり、生物という
プログラムをコーディングするということになります。こう組み合わせたらこ
ういう特性が出てきてしまったというやり方ではなく、DNA ではどのようにプ
ログラムを実現しているのか、という構造そのものが解明できたとき、たぶん
我々はプログラムの組み替えではなく設計そのものに関与するようになるでしょ
う。そのとき組み合わせ的にかぎりなく無限に近く存在するはずの(自然界に
存在するのはそのうちのごくわずかなものでしょう。地球上で我々が観測でき
る生物は、良く知りませんが、多くても数億種もないのでしょうか。まあ、こ
れの100万倍あったとしても、これを全空間のなかから見つけ出すということ
は砂漠に落ちている針を拾うようなものです)プログラムのなかから我々はど
うやって最適なプログラムをコーディングできるでしょうか?

しかし、我々のまわりをよく見てみると、実はそういったことが既に実現され
ていることがわかります。一体、これだけ高度な機能を実現するプログラム
(たとえば、我々人間)はどのようにコーディングされたのでしょうか? UFO
で乗ってきた、宇宙人でもいれば悩む必要は無いのですが、自然界そのものに
最適なプログラムをコーディングするメカニズムがあるとしか考えられません。
たとえば、それは進化の機構かもしれませんし、実はもっと別にあるのかもし
れません。もし、進化のメカニズムが関与しているのだとすれば、たかだか、
Cross Over と Mutation という組み合わせ的でしかない変換から構成されて
いるメカニズムで、どうしてこんなにも膨大な解空間での最適化問題を効率よ
く解決できるのでしょうか?その数理的な必然性はどこにあるのでしょうか?

逆に、これがわかれば数理的な最適化問題に広く、そしていままでの常識では
信じられないほどの効率をともなって応用できるはずだと考えています。

#広い意味で言えばこういったことも組み合わせ最適化問題のモチベーション
#としてもいいような気がしています。

Message-Id: <34B1E7D5@@***.***>
To: "LIFE, Origins and Evolution" <life@***.***>
Date: Tue, 06 Jan 1998 17:20:53 +0900
From: "Kazuhiro Iida 飯田一浩 NEC基礎研究所"<iida@***.***>
Subject: [LIFE - No.00456] Re: Marine Origins

> 新聞記事の件については,その後,東京工業大学の三宅さんから情報を
> いただきました. どうもありがとうございます.
> # 現在,磯崎先生からの応答待ちです.

東工大の地球惑星科学科はまだ出来て新しいということもあり非常に個性的な
方が多いように見受けられます。

> 深海底,特に熱水鉱床の付近は,

> 3.非平衡状態
>
> つまり,熱水の吹き出している付近と,その周辺の温度差,
> 物質の濃度差が大きいので,拡散等によって,
> 合成された有機物が分解を免れる可能性が高いと思われます.

ド素人の質問とお叱りをうけるかもしれませんが:
物質の濃度差や温度差が大きいという不安定な環境で、逆に(こういう言い方
が適切なのか不安ですが)高分子のように Ruggedness の高い Free Energy
Surface のローカルミニマムでしか存在出来ない物質は安定的に存在できるの
でしょうか?

> 熱水鉱床の周辺で,脂質のような自己組織する物質が合成されている
> としたら,大変面白いのですが,情報に疎いせいか

「脂質のような自己組織する物質」の「自己組織」とはどういう意味でしょう
か?最近はよく「自己組織化」という言葉が使われているようですが、勉強不
足でイマイチ良く分からないのです。数理的には単純な力学系としてのイメー
ジで、状態の軌道が Phase Space の安定な不動点やアトラクターに吸い込ま
れていくようなところを想像してしまうのですが、現在語られている「自己組
織化」というのはこんな簡単な話ではなくもっと含意があるように感じられる
からです。しかし、それがなにかははっきり分かりません。

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Name :MIYAKE, Hiromichi
Tokyo Inst. of Tech.
Dept. of Mathematical and Computing Science
E-mail:miyake@***.***


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