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高橋 様 LIFEの皆様
正月をはさんでしまいましたので,ちょっと
復習いたします.
Genome Infrmatics の E-Cellの論文を読ませていただいて
凄いと思ったのと同時に,ちょっと疑問に感じたのは,
全ての反応がミハエリスメンテン式に則って計算されている
ことでした.同式は,平衡状態
(順方向反応の速度と逆反応の速度が同じ.)を仮定して
います.
この仮定が明らかに妥当でない反応,例えば,
ATPが関与するような反応,膜を介した反応などが細胞
内には存在します.こうした反応系もまた,扱うには
非平衡統計もしくは,Bray先生のところでやっているような
よりミクロなレベルでの確率的シミュレーションが必要に
なります.(その後,Bray先生のシミュレーションも,
ATPなどの関与しないsteady stateしか扱っていない
ことがわかりました.)
もちろん,分子レベルまでミクロにシミュレーションする
分子動力学的方法もありますが,それでは,E-cellが意図
するような長時間にわたる現象を追うことはできません.
計算量的に不可能です.
そこで非平衡状態にある反応系を扱う方法として非平衡
熱力学あるいは,非平衡統計熱力学を考慮する価値がでてくる
と思うわけです.
飯田一浩
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"Life and Evolution '97"
Kazuhiro Iida,
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305 Japan.
TEL +81(298)50-1142, FAX +81(298)56-6136.
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