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生命の起源 #41 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
41
DATE
09/09/1997 10:33:52 AM
TITLE
[life:000041] Re: What is life?
AUTHOR
"ohto@***.***" <ohto@krc.sony@***.***>
BODY


大戸です。

At 08:55 97/09/09 +0900, Takeshi Ara wrote:
> はじめて投稿します。京都大学農学研究科D3の荒 武といいます。
>
>  少し自己紹介しますと、普段は植物のイオウ代謝の研究をしていますが、
> 実際は生物種を超えた生命原理に興味を持っています。最近は神経生理や
> A-Lifeなどから意識や思考の最小単位といったものに興味を持っています。

私的で申し訳ないのですが、精神活動について大変興味を持っており、友人
といっしょに psycotherapy ML を立ち上げたくらいです ^^;

Minsky の「心の社会」は一読に値するものと思っていますし、Brooks の包
含アーキテクチャとのつながりにも興味を持っています。同様に、Freud や
Jung の深層心理に関する理論と合わせて、ネットワーク的な構造に何がし
かの共通点を感じています。NN(Neural Net) の各ノードが高機能、かつ非等
質になったような感覚です。

というわけで、意識や思考には最小単位として切り出せるものではない
ように感じています。

> 定式化の難しい問題ですが、なんとか「生命」のシステムについて記述可能
> な形で考えていきたいと思っています。
> (専門ではないでのですが、A-Lifeは「人工生命」の略で、実体はコンピュ
> ータープログラムです。生物的な特徴を持った挙動をしてくれます。>川村様)

河村様ではないのですが... この分野の一住民としてコメントします ^^;

現在の A-life の多くは GA(Genetic algolithm),GP(Genetic programming)
を用いた進化シミュレーションとその応用です。このように言い切ってしま
うと、反論が聞こえて来そうです。最近は A-life はやりで、たまごっちま
で A-life にされてしまいます ^^;;;
#補足しますが、自律ロボットも A-life の範疇に入ります。

しかし、strong-AL の立場からすると、「生きている状態」を抜き出し、再
定義し、再構成してみようというものだったと記憶しています。ですから、
コンピュータに囚われるものではなかったはずです(このMLと似ていますね)。
ただ、シミュレーションの形態であると、実験が楽だという面があります。

#何を持って A-life とするのでしょうね。
#こんな感じの分野というイメージはあるのですが...

> 人間の思考のフィルターにかかるとあらゆるところに生命らしさを感じてしま
> います。個人的な感覚かも知れませんが、ある恣意的境界で囲まれた物質また
> は概念の集合体が、ある限定された時間内でのみ存在し、その間、変化し続け
> ている状態は、とても「生命」らしいと感じていました。だからといって微
> 分方程式を書いても「生命」か?というとなかなか難しいところがあります。

Chaotic(カオス的) なシステムであれば(三体問題でも発生するのですが)、
微分方程式としての記述ができたとしても、そのシステムの全体像を把握
することはできません。相図をかけば一発という意見もありますが、ある
程度以上複雑なシステムの相図なんて、とても取れたものではありません。

> 「ある限定された時間内でのみ存在」という部分はなにか意味があるのかもし
> れません。

人工的に作られたシステムは基本的には永遠ですが、生物システムでは、
多細胞生物などの場合、リソースの問題から、「寿命」という戦略を獲得
したと考えられます。単細胞生物の中には栄養条件を整えれば、ずっと代
謝しているものがあると聞いたことがあります(未正確です _._)。

同様に、コンピュータにもリソースの問題があります。リソースを保持し
たまま、放さないプロセス(スレッド/エージェント/A-life)があると、
これだけでシステムは行き詰まります。このようなことから、自己組織過
程と自己崩壊過程が重要と認識している人たちもいます。

「水面に浮かぶ木の葉」という表現を聞くことがあります。位相波として
はどんどん変化していくのですが、水、そして木の葉は変化しません。生
物システムの階層をのぼるに従いこのような「同一性」が確保されており、
「限定された時間内でのみ存在」という仮定は、高次の生きているという
状態を議論していく際に、再考すべきではないかと考えています。

> >構成素を常に産出し続けることで、次の殺那殺那に向かって自分自身
> >を産出し続ける、そのようなシステ>ムを可能にする有機構成こそが、
> >生命システムの本質的な要件であるということになります。

(独り言)炭素ベースに限定するはやめましょうね。

> (人間の意識にとって言葉は構成素として産出し続けないといけないので
> しょうか。(ちょっとマクロになってしまったので()でくくりました))

なんとも言えません。私は言葉が意識の構成素とは思っていませんので。
まあ、言葉というのがどのレベルのものかが問題ですけれど(小鳥のさえ
ずりは言葉なのだろうか?)。

> >自分自身が自分自身であることを維持し続ける、つまり生きているわけです。
>
> というのはあらゆる階層においてとても深い意味をもっていると思います。

臨床心理の範疇ですが、「解離性同一性障害」というのがあります。こ
れは別名、「多重人格障害」といわれ、自分自身が自分自身であることを
維持し続けてはいません。それでも、その人たちは人間として生活して
います。

また、精神発達の観点からすると、「発達」するわけですから、どのよ
うな同一性の保持を念頭に置くかが問題となってきます。
#種の同一性とか、進化の問題とか、絡めていくと話は面白いですけど



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