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高橋様 LIFEの皆様
Bray先生の視点は,私も「目から鱗」でした.
> あと、本論とはあまり関係がありませんが、Bray氏の指摘によると
> E.coliでも細胞内の圧力は4-5atmあるといいます。
> Mycoplasmaの場合は細胞壁がないのでこれよりは小さいはず
> ですが、それにしても水に対して個体成分が非常に高い濃度で
> ぎっしりつまっているはずです。そうすると、均質な溶液を
> 仮定できないので通常の拡散方程式が使えないばかりか
> rapid-equilibriumを仮定するmichaelis-Menten式等の反応速度論も
> 正確ではなくなります。
> この問題も今どうしようかと考えているところです。
細胞の内部は,溶液というよりは,酵素分子が部分的に結晶化している
ような固体相と非常に高濃度に高分子が溶けた水相のモザイク状態で
試験管の中(in vitro)の酵素反応は,その極めて一面の反応機構を
見ているにすぎないと気づきました.
ミハエリスメンテン式もそうですが,多くの酵素反応は,化学反応
で培われた平衡系の反応速度論で議論されています.
私が採用している非平衡統計熱力学は,局所平衡すら仮定せず
空間的不均一を扱えますが,細胞の内部のような極めて組織だった
システムを書くには,ちょっと拡張が必要かもしれません.
Bray先生のご指摘でそんなことを感じたのと,細胞内部のイメージ
が深まって,研究がさらに面白くなりました.
E-Cellでも,非平衡統計に立脚したモデルを考えられてはどうでしょう?
ご協力できるかもしれません.
飯田@NEC
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"Life and Evolution '97"
Kazuhiro Iida,
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305 Japan.
TEL +81(298)50-1142, FAX +81(298)56-6136.
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