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生命の起源 #39 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
39
DATE
09/09/1997 09:42:51 AM
TITLE
[life:000039] Re: What is life?
AUTHOR
"飯田一浩" <iida@***.***>
BODY


高橋 様

(続き)

> 生命の還元性の問題で_(I7_ぢ。
>
> 生命現象の物理現象への還元性ならば、ほとんどの方が異論はないものとおも
> います。パスツールにはじまってワトソン/クリック以降に繋がる分子生物学
> の流れだからです。

中略

> そこで、もう少し上位のレベルの議論が必要になります。つまり、機能単位同
> 士の関係性、例えば、ある機能単位と、その機能が作用する対象との関係、
> あるいは機能が発現するために必要な要件である別の機能単位との関係です。
> このような機能単位同士の関係性のネットワークが本質かな、と考えるわけで
> す。しかし、僕はこれでもまだ不十分だと考えています。機能単位の関係性の
> ネットワークでおそらく生命を記述はできるでしょうが、同じように生命とは
> いえない別のシステムも記述できるからです。コンピュータや、自動車、電話
> の交換網などの明らかに生命ではないシステムもこの方法で記述できます。
> また、生命システムとこれらの生命ではないシステムを明確に区別することも
> このような記述の方法では不可能だと考えます。

以上の事柄は,私は,

1.生命は,物質を基盤とする[システム]である.
と理解しております.

機能単位である生命源物質,例えばアミノ酸,核酸塩基,ヌクレオチド,色素
等々の性質は,おっしゃる以上に重要だと考えています.
例えてるなら,トランプゲームは,カードがなければ遊べないからです.
では,カードだけあれば良いかというと,カードだけではゲームは成り立ちませ

それらを動かすルールがあって初めて,ゲームができます.
物質とシステムの関係はそのようなものだと考えております.

単純なシステムの記述で,生命とそうでないものをわけることは不可能と
おっしゃる議論については,

2.記述可能,不可能という議論は不毛である.

と考えます。
個人的には,とりあえず我々のシステム記述方法を多少拡張することで可能
になると思っております.今年、とても簡単な記述の枠組みを,物性研究に
書きました.もう載ったと思いますので今日図書館にいってページとか調べ
ときます.


> それでは単なる機械と生命機械を区別するにはさらにどのような考え
> 方が必要か、ということになるわけですが、ここで、さらにもう一つ上位の
> レベルで考えます。つまり、関係性同士の関係性です。この関係性同士の
> 関係性のネットワークを維持することによって、自分自身が自分自身である
> ことを維持し続けることができる、つまり生きているわけです。
> もちろん、生命システムは物理的な機械なわけですから、
> 何らかの構成素を土台に存在しています。そこで、その関係性同士の関係性のネッ
> トワーク(マトゥラーナ/ヴァレラに従ってこれを有機構成organisationといい
> ます)は、具体的には構成素の産出関係で出来上がっているわけです。
> つまり、構成素を常に産出し続けることで、次の殺那殺那に向かって自分自身
> を産出し続ける、そのようなシステムを可能にする有機構成こそが、生命シス
> テムの本質的な要件であるということになります。
> これが、例えば細胞が代謝によって常に自分を構成する物質を入れ換え続けて
> いることの説明にもなりますし、昆虫のサナギのように自分自身の物理的な
> 形態や機能が変化しても生というプロセスが連続していられることの説明にも
> なります。
> このとき、物理的_(IH_ぢ実体である構成素のconfigurationは生命システムの作動
> によって発生する波、あるいは影のようなものであって、その物理的な側面だ
> けを考えるだけではそこに生命が存在するのかどうかということを現象論的に
> を知ることはできてもそれ自身は生命の本質ではないと考えます。
> これが生命を純粋に物理現象として一義的に定義することは不可能だといった
> 理由です。


この辺は理解できるのですが,与えられたシステムを客観的に記述することが
判定に必要ですよね.このような捉え方をした場合,どう記述しますか?
(私は,このような捉え方でなく,生命現象を物理的フラックスの特別
な形式であると捉え,従来的な記述で書けると思っております.書けるから
比較も可能です.ちょっと哲学的な話になるのでフラックスの話は,テーマを
変えてご説明します.)


> 付け加えると、生命の定義としてよく言われる自己増植や生殖も
> 生命システムの本質的な契機ではありません。
> これらはシステムの作動によって二次的に発生する現象であって、思考実験と
> してもし増植せずに一代のみで終わる種がいたとしても、不稔性の個体
> を生命ではないとはいわないのと同様にそれは依然として生命以外の何者でも
> ないわけです。


本質的な契機というのは,生成機構,原理に関することですが,必要条件だけ
考えてみましょう.
先に前提の部分で,生命はそれに特徴的は時空間スケールがあると
述べました.個体のスケールでは,自己増殖は生殖は本質的ではありません.
種のスケールでは,本質的になると考えます.


> そこで、
>
> | > | 2.物理的境界で区切られた部分系である.

中略.

> 「位相的な単位体の定義」という用語が御理解頂けるか、とおもいます。
> もし物理的な境界が現象的には必須のものであったとしても、十分条件であっ
> て必要条件ではないと考えます。


位相的な単位体というのは,私の中でまだ曖昧もことしたものです.

(コメント:
十分条件だとすると,物理的境界を持つシステムならば生命ということ
になります.これはおかしなロジックです.ご検討下さい.)


飯田@NEC
--
"Life and Evolution '97"
Kazuhiro Iida,
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305 Japan.
TEL +81(298)50-1142, FAX +81(298)56-6136.


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