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生命の起源 #385 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
385
DATE
12/03/1997 02:15:18 AM
TITLE
[life:000385] Re: E-Cell
AUTHOR
"Kazuhiro Iida 飯田一浩 NEC基礎研究所" <iida@***.***>
BODY


荒様 高橋様 LIFEの皆様

昨日,慶応大学湘南キャンパスをたずねE−Cellの
ソフトを拝見しました.コード化は高橋さんが一人で担当
されたそうですが,インタフェースも整っていて細胞内の
物質の動きが,曲線グラフではありますが手に取るように
わかります.特定の遺伝子をノックアウトすることも簡単
にできるのが凄い.私も是非使わせて欲しいので,公開の
予定を尋ねましたら,来年中とのことでした.
LIFE上でも,胸襟ひらいて深くディスカッションしたい
ですね. :)

話しは変わりますが,
同日同所で,Cambridge大学のProf. D. Brayを講師として
冨田研究室でセミナーが開かれました.特にお願いして参加
させていただきましたが,これも大変面白い内容でした.
彼は,コンピュータシミュレーションと実験を,旨く組み合わ
せた研究を行っています.

大腸菌の走化性に関わる分子群についてルックアップテーブル
を使ったモンテカルロシミュレーションを行った結果は,
理論と実験の良い関係を示すものでした.

走化性に関与するタンパク質の遺伝子をノックアウトしたり,
過剰に合成させたりすると,菌の運動様式が変わるのですが
これをシミュレーションしたところ,一部,どうしても
食い違う点がでてきました.例えば,リセプター分子を増やせば
菌の運動は,定まらない予定だったものが,結果は
逆にリセプターが無いのと同じにスムーズな運動になってしま
いました.その点が「知識の不足」を意味すると考え,
さらに細かく詳しく調べてゆくことによって,新たな知見が得
られました.

走化性にかかわるリセプターの複合体を作っている3種類の
分子のうち,一つだけを過剰に合成させると,本来のリセプター
複合体が逆に形成されなくなることがわかりました.
各サブユニット間の結合係数を考慮したモデルをさらに考慮
することで,実験結果を良くフィットできるようになり,
このサブユニット間の結合バランスが,食い違いの原因
だろうことがわかったわけです.

理論と実験のこういう関係,いいですね.

詳しくは,
Bray, D. and Bourret, R.B. (1995) ``Computer analysis of the binding
reactions leading to a transmembrane receptor-linked multiprotein
complex involved in bacterial chemotaxis," Mol. Biol. Cell 6:1367-1380.}

それから,

{Bray, D. (1995), ``Protein molecules as computational elements in
living cell," Nature 376:307-312.}

みたいな考え方も優れ視点だと思います.


Takeshi Ara wrote:
>
> 荒@京大農です。
>
> 高橋 様 LIFEの皆様
>
> 今月の分子生物学会で E-Cellのポスターありますね。
> 楽しみにしています。
>
> >>3KP460
> >>E-Cell?細胞内全代謝シュミレーションのためのソフトウェア環境
>
> {Roman L. Tatusov, et. al., A Genomic Perspective on Protein Families.
> Science 278, 631-637 (1997)}
>
> のオルソログ解析のデータとかはまだくっつけるのは大変そうですが、
> こういうものとつなげていけるとおもしろいのですが。各タンパク
> レベルでの反応値補正と_(I)_ぢをアミノ酸配列レベルのデータにフィードバック
> 出きるとと面白いですね。もっともそれには生化学的なデータとりをしていかないと
> いけないのですが。E-Cellの場合、物質の濃度とリンクしてシュミレーション
> できそうなのがよいですね。
>
> --------------------------------------------
> 荒 武 (Takeshi Ara)
> 京都大学 農学研究科 農芸化学専攻 植物栄養学研究室
> Tel : 075-753-6108 FAX: 075-753-6128
> e-Mail : ara@***.***
> --------------------------------------------

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"Life and Evolution '97"
Kazuhiro Iida,
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305 Japan.
TEL +81(298)50-1142, FAX +81(298)56-6136.


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