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生命の起源 #375 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
375
DATE
11/27/1997 12:12:04 AM
TITLE
[life:000375] Re: E-Cell
AUTHOR
"Kazuhiro Iida 飯田一浩 NEC基礎研究所" <iida@***.***>
BODY


小野様 LIFEの皆様


おはようございます.良い天気ですね.


小野さん> 小野です。御意見ありがとうございます。
>
> > > 1、Fontana のAlChemy やEigen のHyperCycle のような、
>
> > > 2、それに空間(先ず1D、とりあえず2D)を導入する。
>
> > > 3、物質間に相互作用を導入して、集合、反発させる。
> > > 特に異方的な相互作用によって膜状の集合を作れる物質を
> > > 含むようにする。
> > > 4、膜を作る代謝系(局所的に集まった酵素のセット)が
> > > 生き残ったり、分裂したりする...?
> >
> 飯田> 1.2.は全くのAL.
> > 3.4.あたりになると物理化学が入っ_(ID_ぢってきますね.
> >
> > 小野さんの視点では,1.2.3.4は連続したもの
> > かもしれません.でも,1.2.と3.4との間には
> > 凄く深い溝があるように思います.モデルを作る目的
> > そのものが異なると思います.
>
小野さん> 正直な所、1と2の間にも結構飛躍があると思っています。
> ネットワーク的な考え方からすれば、空間にはなんでもあり
> ですから、その構造に依存しない「境界」の表現が欲しい
> ところです。しかしそれが思い付かなかったので
> しかたなく物理的な構成法に頼っているところがあります..


飯田:
上の空間は,古典的なユークリッド空間でない,何でもあり
の空間を指しておられると解釈いたします.

空間によらない境界の表現があって,その一例として
我々が見ている,細胞膜などの境界が記述できる.
そういうストーリーが書ければ,確かにエレガントです.
しかし,この作業,本来的に難しいですよね. :)

全ての場合を含む境界の記述と,具体例の間には
いわば

1.「複雑さのギャップ」(Complexity Gap??)

があるからです.

一般的な記述からスタートして,実例がそれを満たすこと
を幾つか示す段階では,何かの条件例えば,化学物質の性状
とか,境界条件とか,様々な複雑な情報を投入する必要
があります.このことを複雑さのギャップと呼ぶことに
しましょう.

境界の一般的な記述を得る場合でも,複雑さのギャップ
から逃れることはできません.それで,一般的な記述
を探す時,必ず実例を想定しながら書くことになります.
どんなに頭の良い人でも実例を知らずに,一般的に
成り立つモデルを書くことは不可能と言い換えることも
できます.
おそらく,実例を良く知っていて,そのエッセンスを
つかんでいる人が,一般に成り立つエレガントな
モデルを書く人なんだと理解しております.

では境界の一般的記述を得ようとするとき,その実例
は何でしょうか?実例としての境界を幾つ挙げる
ことができるでしょうか?
我々が注目している境界,細胞膜について,我々は
どれほど良く知っているでしょうか?

そういうことを考えると,いきなり一般的なモデルを
(これは1.2のステップに相当)書くよりも,実例
を書くことから始める方が,Reasonableではないか
と考えています.実例を書いて,そのエッセンスを
考える,あるいは,エッセンスを考えながら,実例と
しての細胞膜(それ自体でなく,その膜を維持する系
)を書いてみることから初めても,遅くはないと
思います.


>飯田 > それでは,人為的だとか言われるかもしれませんが,その条件を
> > 満たさないシステムで,境界らしき構造が観察されたとしても,
> > 膜や膜胞ではあり得ないと言えるような,エレガントな条件を書
> > けばいいわけです.
>
小野さん> 確かにそのほうが素直です。しかしその方法で本当に膜の起源が
> 理解できるのでしょうか?
> 細胞の起源から今のような都合の良い脂質分子が使われてたわけで
> はないと思うのですが。
> 膜とは言えない状態、から
> 十分に膜らしいらしい状態、までをむしろ連続的に
> 描けるような記述を考えたいと思っています。


私も,そのようにありたいと思います.賛成です.
それだから,膜を維持する代謝系がどうなっている
のかに興味を持つのです. :)

荒さんからの情報では,その代謝系は完全にはわかっていない
そうです.でも,エッセンスを押さえることができるくらいには
情報がそろっていると思います. :)


方法論になってしまいました.(オヤジ化現象?37才2人の子持ち:)


次回あたりから荒さんみたいに具体的な数値や
イメージを交えながら楽しい議論を... :)と思っております.


飯田一浩
--
"Life and Evolution '97"
Kazuhiro Iida,
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305 Japan.
TEL +81(298)50-1142, FAX +81(298)56-6136.


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