生命の起源フォーラム (ORIGINS OF LIFE FORUM) - help
生命の起源フォーラム (ORIGINS OF LIFE FORUM)
Welcome to 生命の起源フォーラム (ORIGINS OF LIFE FORUM) - help -
生命の起源 #334 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
334
DATE
11/07/1997 08:35:52 AM
TITLE
[life:000334] Re: E-Cell
AUTHOR
"KOUICHI Takahashi-S" <t94249kt@***.***>
BODY


高橋です。



| >飯田 | 先の What is Life? での議論で,「代謝の持続=生命」という考え方が
| > | 提出され,高橋さんも賛同をされましたが,電子化細胞が「維持されている状
| > | 態」
| > | を考えることは,この「代謝の持続」を具体的に定義することにつながり
| > | そうです.
| >
| 高橋さん> やはりそこが一番興味のあるところですよね。
|
| 飯田:
| いきなり,本題に入りますが,E−CELLで代謝が持続している状態を,
| 一つのパラメタで表せるような,そんなパラメタはありませんか?
| もしくは,どんなパラメタの組み合わせが代謝の持続状態を代表できる
| でしょうか?

えー、現在のE-Cellの状況は未だに細胞の物質濃度やDNA分子の状態等の
一次的なデータを生のまま提示しているだけの段階だ、とお考え下さい。
これらを解釈して意味のある情報を取り出すシステムを整備するのは
これからの課題になっていまして、最近やっとシステムの構築から
そのような問題へと研究意識がシフトしてきた段階です。
ですから、なにかうまいアイディアがあれば逆に是非お聞かせ願いたい
くらいです。

今のところ考えているのは、代謝率と濃度を軸にとって物質をプロット
すれば、その分散の形からなにか直感的なアイディアが得られないか、
ということと、経路内の二つないし三つの物質濃度をプロットして
リミットサイクルやなんらかのアトラクタを期待できないか、
といったところです。


| 原核細胞である細菌のコロニーをよくよく観察すると,実は,非常に緻密な組織
| だった構造を形成しています.時に,雪の結晶のような形をつくったり,防護壁
| のような塊をつくったり,カビ類の子実体のような構造を作ったりします.
| (文献があったのですが,探しておきます)

タマホコリカビ等も有名ですよね。

| それで,よくよく考えてみると,原核細胞のコロニーでも,apotosisに相当する
| 現象があっても,不思議ではありません.しかし,私の知るかぎり,そのような
| 報告はありません.

考えてみればそのとおりで、多細胞生物の発生のプロセスにあるような
形態形成の現象があると考えても不自然ではありませんね。

| それで,E−CELLで apotosisの基準を満たすような現象が自発的に
| 起こったら(遺伝子の自発的破壊等々の基準があります.
| 文献があるはず.私は持っていません)面白いと言いました. :)

非常におもしろい着想です。今度のミーティングで提案してみます。


| 高橋さん> このまえある院生が解糖系をいじっていたら発振現象を起こしてい
| て、
| > それがフラクタル構造を成していました。時_(IT_・__ぢぢ軸で拡大していっても積分間隔

| 解糖系に見られるカオスに,何か積極的な意味を見いだせると
| 大変面白いお仕事になります.私は,現在アイデアを持ち合わせ
| ませんが,ディスカッションを続けるうちに,何か良いアイデア
| が浮かぶかもしれません. :)

解糖系が振動しているか?というのはほとんどFAQになっています。
しているというとなぜか安心されるようです ^^;


| なお,ご存知とは思いますが,
| 解糖系の化学振動については,かなり古くから議論があります.例えば,
| {散逸構造−自己秩序形成の物理学的基礎−,ニコリス・プリゴージヌ著,
| 小畠,相沢訳,第7刷,岩波,1990}

この本は持っていたのですが問題の部分は読んでいませんでした。
よい参考になりそうです。御紹介ありがとうございました。
振動のフラクタル構造形成に関しては触れていないようですね。
一応解糖系の振動をアデニルのエネルギー蓄積の変化と関連させた
説を紹介しているようですが、

Medlineを引いたところ、そのものずばりの

{Nielsen K, 1997 , Chaos in Glycolysis. J Theor Biol 186(3), 303-306 (1997) }

という文献等いくつかありました。あとであたってみることにします。


慶應義塾大学s 環境情報学部 (Bioinformatics Lab.) ‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾
高橋 恒一
_____Kouichi Takahashi t94249kt@***.*** _______


-----
Go to page top