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生命の起源 #326 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
326
DATE
11/04/1997 02:10:37 AM
TITLE
[life:000326] Re: E-Cell
AUTHOR
"Kazuhiro Iida 飯田一浩 NEC基礎研究所" <iida@***.***>
BODY


高橋 様 LIFEの皆様



> | 飯田:力学構造の意味は先のメールで理解いたしました.だとすると,電子細胞
> | が維持
> | されている状態とは,細胞膜という物理的境界が存在していることが一つの条件
> | とお考えなわけですね.
>
高橋さん> 条件というよりか、実験系のルールの記述で既に定義されている所与
のもの
> という位置付けになるとおもいます。

飯田:
細胞を書くというE−CELLの目的では,うなづけます.
(ただし,細胞の起原を探るという目的では,飯田,小野さん,高橋さんの
以前の記事でもでましたが,物理的境界を陽に書いてしまうことは避けるべき
ですね.)

>飯田 | 先の What is Life? での議論で,「代謝の持続=生命」という考え方が
> | 提出され,高橋さんも賛同をされましたが,電子化細胞が「維持されている状
> | 態」
> | を考えることは,この「代謝の持続」を具体的に定義することにつながり
> | そうです.
>
高橋さん> やはりそこが一番興味のあるところですよね。

飯田:
いきなり,本題に入りますが,E−CELLで代謝が持続している状態を,
一つのパラメタで表せるような,そんなパラメタはありませんか?
もしくは,どんなパラメタの組み合わせが代謝の持続状態を代表できる
でしょうか?


> 飯田:| 1.電子化細胞でapotosis(つまりprogrammed cell death)現象が出ると
> ^^^^^^
> |   _(IJ_ぢ白いディスカッションができるかもしれません.
>
> 細かくてすみません。「出ると」ですかそれとも「出来ると」ですか?
> つまりモデルを精緻化してゆく過程でapotosis現象が創発すると
> おもしろいということか、apotosisをモデル化してみると面白い、
> ということのどちらでしょうか?
> どちらにしても非常におもしろいですが、どちらかというと前者のほうが
> やってるほうとしてはエキサイティングですね。

原核細胞である細菌のコロニーをよくよく観察すると,実は,非常に緻密な組織
だった構造を形成しています.時に,雪の結晶のような形をつくったり,防護壁
のような塊をつくったり,カビ類の子実体のような構造を作ったりします.
(文献があったのですが,探しておきます)
それで,よくよく考えてみると,原核細胞のコロニーでも,apotosisに相当する
現象があっても,不思議ではありません.しかし,私の知るかぎり,そのような
報告はありません.

それで,E−CELLで apotosisの基準を満たすような現象が自発的に
起こったら(遺伝子の自発的破壊等々の基準があります.
文献があるはず.私は持っていません)面白いと言いました. :)


高橋さん> このまえある院生が解糖系をいじっていたら発振現象を起こしてい
て、
> それがフラクタル構造を成していました。時_(IT_ぢ軸で拡大していっても積分間隔
> ぎりぎりまで構造が維持されていました。積分間隔を変化させても
> 周期は変わらなかったので計算上のミスではないようです。
> モデリングのミスか実際に系がそのような特徴を持っているのかは
> 検証しなければなりませんが、僕も非常に驚きました。
> これまでの経験では発振現象自体はフィードバック阻害があれば
> 酵素数個程度の経路でもよく起こるようです。
>
> アトラクタのプロット機能の実装を急ぐ必要がありそうです。

解糖系に見られるカオスに,何か積極的な意味を見いだせると
大変面白いお仕事になります.私は,現在アイデアを持ち合わせ
ませんが,ディスカッションを続けるうちに,何か良いアイデア
が浮かぶかもしれません. :)

なお,ご存知とは思いますが,
解糖系の化学振動については,かなり古くから議論があります.例えば,
{散逸構造−自己秩序形成の物理学的基礎−,ニコリス・プリゴージヌ著,
小畠,相沢訳,第7刷,岩波,1990}
の334?354ページをごらん下さい.この本ではカオスの解析は行われ
ていませんが,おそらく,他に文献があると思われます.検索をおすすめ
します.

飯田@NEC
--
"Life and Evolution '97"
Kazuhiro Iida,
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305 Japan.
TEL +81(298)50-1142, FAX +81(298)56-6136.


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