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松野先生 LIFEの皆様
(つづきです.)
>飯田: >1.虫の通信方法の決め方に関して
>
> >難しい問題ではありますが,...
> >虫が履歴を持つとした時,虫の状態変化に必要な時間よりも,
> >環境の変化の方が十分ゆっくりしていれば,Darwin的淘汰や
> >学習を通じて,虫の通信方法はおのずと定まるのではないでしょうか?
>
松野先生> 通信方法の決めかたが”質”にかかわるとしますと、
> Darwinの自然選択は確かにそれに寄与すると思います。
> (ただし、新しい”質”の出現を突然変異に求めますと、
> 話しは堂々巡りをしそうです。)
飯田:
1.突然変異の方向性について
突然変異は,方向性を持たないと言われますが,誤解のないように
したいのは,それは,塩基の書き換えという素過程が方向性を持た
ないという意味であって,
1)突然変異による phenotype 変化は,方向性を持っています.
突然変異の前提として遺伝子の存在が仮定されています.
遺伝子A→遺伝子A’という,いかなる変化においても,A’は
Aの情報を全て失うことはありません.
その結果,遺伝子の変化は全てマルコフ的過程となり,しかもA
自体がそうした遷移の結果として得られていますから,かなり
高次の項まで寄与するマルコフです.(次数は,変異にさらされた
配列が何世代前に固定されたかに依存します.)
2.生物の進化は,マルコフ的過程の学習
そう考えますと,進化は,そのマルコフ的過程の係数を modify
する学習過程と見なすことができます.
機械学習のモデルの一つに HMM(Hidden Markov Model)が
あります.遺伝子の進化は,これに似たモデルになって
いるように思います.
以下余談です:
頭の体操.
Q1.遺伝子がつくるマルコフ的モデルは,何をフィットして
いるのか?
Q2.HMMを学習するアルゴリズムと,自然界のGAでは
どちらが,効率的か?
こんなこと考えると,長い秋の夜も楽しく過ごせるかも...:)
飯田@NEC
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"Life and Evolution '97"
Kazuhiro Iida,
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305 Japan.
TEL +81(298)50-1142, FAX +81(298)56-6136.
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