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生命の起源 #290 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
290
DATE
10/28/1997 05:35:31 AM
TITLE
[life:000290] Re: E-Cell
AUTHOR
"Kazuhiro Iida 飯田一浩 NEC基礎研究所" <iida@***.***>
BODY


高橋 様  LIFEの皆様


> | > 飯田:| 1.電子細胞が,”維持されている状態”というは,どういう状態でしょうか?
> | > |
> | > | 熱力学的定常状態ならエントロピー生成が指標になりますし,
> | > | どの生体物質もゼロでない状態みたいな考えかたもできますよね.
> | > | 具体的に教えていただけますか? :)
> | >
> | 高橋さん> システムとしての厳密な指標は今後整備していきたいと考えています
> | が、
> | > いまのところ物質の代謝率や反応量(酵素の活性度)等をみて_(I"_ぢます。
> | > この方法で問題なのは現在のモデルでは細胞の力学構造を定義して
> | > いないので本来力学構造の非可塑的な変化によって細胞の作動が停止
> | > するはず場合には対応できないということです。

飯田:力学構造の意味は先のメールで理解いたしました.だとすると,電子細胞
が維持
されている状態とは,細胞膜という物理的境界が存在していることが一つの条件
とお考えなわけですね.

もう一つ,代謝(古典的な意味で,同化と異化)が持続している状態が重要だと
思いますが,この持続している状態を客観的に定義し,定量的に示せるだろう
ことが,電子化細胞の威力の一つに思えます.

先の What is Life? での議論で,「代謝の持続=生命」という考え方が
提出され,高橋さんも賛同をされましたが,電子化細胞が「維持されている状
態」
を考えることは,この「代謝の持続」を具体的に定義することにつながり
そうです.言い換えれば,電子化細胞は,少なくとも現存する細胞において,
生命とは,物理化学的にどのような「性質」なのかを示す,すばらしいツール
だと思います.



> 飯田:| さらに,死に近づくと細胞内のライソゾームが破裂してその内部の加水分
> | 解
> |    酵素が,細胞内の様々な分子を破壊しつくします.酵素自体が無くなるの
> | で
> |    代謝系は停止します.こうした要因を加えられてはいかがでしょう?


高橋さん> これはおもしろいですね。原核細胞にはライソゾームはないようです
が、
> 破裂するトリガになるのはどのような条件か興味があります。

飯田:
言われてみれば原核細胞の溶解,自爆機構などについてはあまり情報を持ちませ
ん.
思いつくのは,ファージによる細胞膜の破壊ぐらいです.お恥ずかしい.
原核細胞は,膜が強かったり,どんどん分裂したりで,自殺機構みたいのは
無いのかもしれません.でも,なんかありそうなので,

1.電子化細胞でapotosis(つまりprogrammed cell death)現象が出ると
  面白いディスカッションができるかもしれません.


真核細胞では,他にもapotosis 機構(線虫ではその遺伝的な制御がよく研究
されていますが,高等動物では研究進行中の段階)
によって表面抗原が変わって隣の細胞に食べられたり,
streptcoccus などの病原体に大きなチャネル蛋白質を浴びせられて
穴をあけられたり,能動輸送に必要なエネルギーの供給が減少してしまったり
といった色々な要因が考えられます.


飯田@NEC
--
"Life and Evolution '97"
Kazuhiro Iida,
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305 Japan.
TEL +81(298)50-1142, FAX +81(298)56-6136.


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