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生命の起源 #216 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
216
DATE
10/24/1997 08:33:49 AM
TITLE
[life:000216] Re: A worm's eye perspective.
AUTHOR
"Kazuhiro Iida 飯田一浩 NEC基礎研究所" <iida@***.***>
BODY


飯田一浩さんの A Worm's [eye] perspective (10/22)へ:
松野孝一郎より

>なお,古典的な
>全体の視点の記述で,部分の視点にたつ説明を十分近似できるという仮説
>を持っております.

済んでしまったこと、観測したこと、記録になってしまったことについ
ては、そう思います。

>「虫の視点」は,限られた精度,限られた範囲で観測し,限
>られた通信速度で相互作用するような存在(最も自然な存在)が,その根
>にありますが,これを我々が全体の視点でモデル化する時,問題になるの
>は,その対象物の持つ有限性,局所性ではなく,むしろ我々がフレキシブ
>ルなタイムスケールを扱う方法を知らないという理由によると思います.

多分、このことは時間を計測することに係わっている筈です。

>物理時間tは,特定の長さで区切られた時間と解釈いた
>しました.

物理で現われる時間 t は間隔である場合と、時計の針が指し示す時刻
を示す場合の両方があります。我々にとって不都合なのは、この二つの
場合を明瞭に区別して使いこなすのが極めて難儀だ、とする点です。

>我々が,釣り合いの方程式を書くタイムスケールは,同期とり
>の信号が伝搬する現象を書く時のそれとは明らかに異なります.

時間 t をパラメータとして含む運動方程式がすばらしものであって、
かつ少し窮屈であるのは、それが時刻として理解される場合です。時刻
の方はそれだけで勝手に進んで行きます。タイムスケールが現われて来
るのはその自前で、勝手に進む時計の針の運動を何らかの仕方で区切る
ときです。

>にもかかわらず,自然界の存在は無数のタイムスケールで成り立つ法則に
>従っている.そこに矛盾,誤差が生じる.そういうことではないでしょう
>か?

では、一体なにものがその時計の針の運動を適当に区切っているのか、
です。

>このように考えると,その長さが可変なタイムスケールを導入することが,
>虫の視点のコンセプトをくみ取ったモデルを作るのに不可欠に思えます.

私もそう思います。

>それをどのように書くか検討がつきませんが,

同感です。

>この問題と,統計力学の永
>遠のテーマ,第一原理からマクロな振る舞いを導くという問題がとても似
>ているように思えます.もちろん統計力学は,「あからさまに」複数のタ
>イムスケールを使うので,虫の視点の記述としては不十分かもしれません.
>しかし,私は,とりあえず,このようなあからさまな書き方でもって始め
>てみようという立場です.これは,非平衡統計力学の書き方を採用する
>理由の一つです.

殆どお手上げの状態であるのはその通りなのですが、一つだけはっきり
していることがあります。我々の全てがそうであるように、虫けらの視点
しか取り得ないものにとっては、その時空の地平線は有限です。その地平
線の向こうにも似たような虫けらが沢山います。かつ、この虫けら同志の
うごめきが記録に転じたときには、その記録全体を一望することの出来る
鳥瞰図を手にすることが出来ます。そこでは物理で確立した様々な手法が
威力を発揮する筈です。ここでいささか話が込み入ってくるのは、鳥瞰図
そのものをでっち上げるのは全体視野を豪語する鳥ではなく、限られた
視野で地面の上を動き回っている虫けらに依存せざるを得ない、とする点
においてです。ある特定のタイムスケールの出現は何かの運動の結果にな
ってしまいます。それが何であるのかは、目下のところ見当がつきません。

松野孝一郎




#サーバ停止時にいただいたメールを代理投稿いたしました.飯田


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