生命の起源フォーラム (ORIGINS OF LIFE FORUM) - help
生命の起源フォーラム (ORIGINS OF LIFE FORUM)
Welcome to 生命の起源フォーラム (ORIGINS OF LIFE FORUM) - help -
生命の起源 #195 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
195
DATE
10/17/1997 06:03:35 AM
TITLE
[life:000195] Re: What is life?
AUTHOR
"KOUICHI Takahashi-S" <t94249kt@***.***>
BODY


高橋です。


| 生命が満たすべき必要条件を考えるたたき台として飯田は,

議論の半ばにはほとんど参加できなかった身ですが、これまでの
投稿で述べたとおりここでは出発点として「生命が満たすべき必要条件」
ではなく「我々が知る生命によくみられる現象論的な特徴」を
議論しているものと理解していましたがいかがなものでしょうか?
# 何度もくどいようで申し訳ありません


| 1.代謝である.2.物理的境界がある.3.センサー,プロセッサー,
| アクチュエータに相当する機構があることを挙げ,
| とりあえず,それらに補足説明を加えております.
| 1.2.については,補足説明が終わり,具体的な検出基準に入ろう
| としているところです.

| 3.は,言い換えれば,特定の刺激に対して,合目的的な反応を
| 生じるという意味です.
|
| まず,準備として「合目的性」について述べます.
| 合目的的という際の「目的」が何か?というと
|
| 1.目的=”生き残り” survival である.
|
| が妥当だと考えております.

| 2.「代謝の持続をもって生命とする」
|
| ということを言い換えたに過ぎないことにお気づきになると思います.
| それで,生命が満たすべき必要条件を「代謝の持続」にとるならば,
| 「目的=生き残り」ということになってしまうわけです.

1 quasi equals 2 は非常に妥当な見解だとおもいます。
ただ、個人的には 1.目的=”生き残り”は排して 2.のみから
生命を定義できるものと考えています。
# おっとここでは定義については触れない約束でしたね、、筆がすべった
# ついでに書きますと、やはり3.も1.の前提により発生するものなので、
# 3.も削れるようにおもうのですが、、ここでは有益な議論に発展しそう
# にないのでいずれ定義の話が出たときにしたほうがよいですね、無視してく
# ださい。


| (つまり,古典的な代謝の概念には,同化,異化という形で境界の存在が
| 織り込まれています.また,環境は変動することを認めるなら
| その変動に応じた振る舞い無しに継続できないという理由で継続することと
| センサ,プロセッサ,アクチュエータに相当する機構が検出されることは等価
| とみなせます.そういう意味で,「代謝の持続」は,環境の変動を前提とすれば
| 1.代謝系である.
| 2.物理的境界がある.
| 3.センサ,プロセッサ,アクチュエータ機構がある.
| と,等価なわけです.)


センサ,プロセッサがあるとすると系はなんらかの情報を保持する必要が
ありますから内部状態の変化が観測されるはずです。
酵素反応の連続はほぼエルゴート性をもつものと考えられるので
酵素は変化に関する情報は保持していませんね。
しかし、外部の物質の濃度の摂動に反応して酵素の回転数が変化すると
結果として内部の物質の濃度が変化して履歴が発生しますから
確かに情報を保持しています。したがって酵素単独では情報の
プロセッシングは行っておらず、酵素と物質濃度の二種のノードの
間に構成されるネットワークが仮構されてはじめて刺激に
反応できることになりますね。

ただ、代謝の揺らぎに対する耐性は、代謝系自体のpropertyの一つである
robustnessによるものだとおもいます。変化に対して自らも変化し
適応することにしても、代謝系自体のダイナミクスが発揮されたものであって、
センサ,プロセッサ,アクチュエータ機構をもちだして議論することも
できますが、あえてこれらを導入せずとも話ができるものとおもうのですが
いかがでしょうか。積極的にこれらの概念を導入する意義について
もう少し説明をいただきたいです。


| (余談ですが,注意が要なのは,
| 1.2.が全体の視点での議論なのに対して,3.では合目的性など,
| 局所の視点に立つ議論である点です.つまり,系全体の遷移を観測する
| ことで決まる部分系の構造,振る舞いを「解釈」した結果として,
| センサー,プロセッサ,アクチュエータ,合目的性などの「意味」を生じ
| ています.

この視点の揺らぎ、また特にオートノミーはオートポイエーシス論が
最も嫌う種類の議論なのです。合目的性はともかくとして、
これらをどうにかして同一の視点で記述できないでしょうか、、
システム論の基本として、系と外部の関係について視点の違いに
よる誤謬の危険性を排除したほうがいいとおもうのですが。


| いう概念が必要なことから,種に相当するレベルの議論との境界線上の
| 議論になります.

# そういえば種は生命ではないと主張しているスレッドがありました。
# 書くことは頭のなかにあるのですが時間が取れず反応が遅くなっています。
# もう少々時間をください。


慶應義塾大学s 環境情報学部 (Bioinformatics Lab.) ‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾‾
高橋 恒一
_____Kouichi Takahashi t94249kt@***.*** _______


-----
Go to page top