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生命の起源 #1819 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
1819
DATE
06/22/2008 11:02:30 PM
TITLE
[life:001819] マルチスケールシミュレーションと生命起原
AUTHOR
"Kazuhiro Iida" <origin@***.***>
BODY


LIFEの皆様

JST主催のマルチスケールシミュレーションシンポジウム(6/18?20)に参
加してきました。

マルチスケールシミュレーションとは、目に見えるサイズの現象を、それを構成する
原子・分子スケールから「丸ごと」シミュレーションする方法です。

なんで丸ごとシミュレーションかというと、タンパク質、脂質などのいわゆる複雑物
質でできたシステムが注目されているからです。複雑な構成要素(内部自由度が極め
て大きい)から成る系は、要素の変化が系全体の挙動を激変させるため、要素の内部
の動きまで見ていないと旨くシミュレーションできません。

当然、計算量が莫大になりますので、?速い計算機と、?計算を「はしょる」方法が
必要で、それらが目下の話題です。(シンポジウムの予稿はネットで全て読むことが
できます。<http://www-tph.cheme.kyoto-u.ac.jp/MSBSM2008/>)

生命起原の研究にマルチスケールシミュレーションを適用したという話は、勉強不足
もありますが聞いたことがありません。(ヌクレヲチドの生成と伸長反応とかは、現
在の技術で十分やれると思います。ただ、計算機使用料だのプログラム開発費用だの
で何千万?何億円もかかるらしいので経済効果の大きな対象でないと。。。。)

「ですが」、あと数年すると個人でもマルチスケールできるようになるかもしれませ
ん。と言うのは、ご存じの方も多いでしょうが市販のやすっちいチップ(ソニーの
PS3のプロセッサ「セル」や、GeForceのグラフィックチップ)をつかってス
パコン並の性能が出せることが知られるようになって来ました。マルチスケールの分
野でも話題になっています。

「ハウツー本が出るに決まっている」という意味で、もう数年待つと個人で起原のシ
ミュレーションできる環境が整う可能性があります。(アイデアがあって、プログラ
ミングの労をいといさえしなければ。)

シミュレーションには、
(1)シミュレーションした「試験管」の内部の状態をくまなく調べることができる
(少なくとも現状では直接測定できない指標でも知ることができる。)
(2)条件を変えて何度でも繰り返し調べることができ、主因子がみえてくる
(3)地球上で実現できない状況も構成できる
などのメリットがあります。

人工生命のconceptualなシミュレーションだけでなく、real系のマルチスケールシ
ミュレーションも、生命起原研究の1手段になってくると思いませんか?

飯田一浩

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Kazuhiro Iida, PhD

Center Researcher, Hayama Center for Advanced Studies,
The Graduate University for Advanced Studies( SOKENDAI ).
Shonan Village, Hayama, Kanagawa 240-0193 Japan
TEL: 81-46-858-1538 ( Yukawa-office )
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