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生命の起源 #1707 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
1707
DATE
04/22/2006 09:25:20 PM
TITLE
[life:001707] Re: 比喩 Windows OS
AUTHOR
"Origin" <origin@***.***>
BODY


高橋様 LIFEの皆様

別件

> 工学のアナロジーで語られた生物あるいは細胞のモデル
> が、本当に我々が最終的に帰着すべきところなのかという
> ことです。従来の人工物は必ず設計図がある(だれかの頭の中

飯田:
まあ,システムの理解ということで最初は工学のアナロジーでも
いいんじゃないでしょうか.たぶん,どこかに共通の部分があるから
予測性のあるモデルが作れる(作れた)のです,

次の段階では,もう対象は確定したわけですから,その
対象を,アナロジーなしに注目する量, エネルギーでも
物質の量でもそれが担う情報でもいいですが,それらがどのように
発展するかを方程式に書いてみたりする.すると,全く
同じ構成の方程式で書ける別の現象まで見つかったりする.
また次の段階では,逆に個々のステップを詳細に見てみる.
すると,式の上では同じだったものが,式に含まれない部分まで
見てみると全く別の機構で実現されていたりするのを発見する.
これ,システムのトップダウン方向の理解ですね.

伝統ある生物学生化学はボトムアップ方向でやってきて成功して
きたわけですが,総合の段階にくると,やっぱり「まあしょうがない
この系は受容システムと呼ぼう」とか,免疫システム,運動システム
と呼ぼうとかいうことにならざるをえない.そういう事実もあります.


> つまり、酵素はその動作の特徴時間スケールではその近傍の分子としか
> 相互作用できないかわりに多数コピーが存在しそれぞれ分子運動に
> より次々に分子の変換をしていきますが、OSでは多数スレッドを
> 利用するようなプログラムは別ですが基本的にインスタンスは

逆に,上のような物理基盤の異なる機構が,適切な粗視化レベルで
見ると,同じ情報の流れを形成し,同じ時間発展をするとしたら,
そのほうが面白くないですか? :)
例えば(出た!比喩だ)水や油,さらには電子と,構成要素や微視的な
相互作用は違っても全て同じ流体の法則に従い,同じ拡散法則に従うように,
より微視的なレベルでは,異なっていても,より大きなスケールのシステム
では要素が異なっても共通の振る舞いが見られたりする.
「数」だの運動の「乱雑さ」などといった確かに微視的レベルでも共通
だったのだけれども,他の特徴に隠れて見えていなかった共通な性質が
強烈に現れたりする.
さらには,それら共通の振る舞いが出現するのに必要な条件が,これまた
共通だったりする.それも,「いと おかし」というわけで,
windowsと細胞なのでした.

飯田一浩


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