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生命の起源 #1705 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
1705
DATE
04/22/2006 01:14:12 AM
TITLE
[life:001705] Re: 比喩 Windows OS
AUTHOR
Koichi Takahashi <ktakahashi74@***.***>
BODY


> もともと,トラフィックが少ないので (^^;)話題に遅れてないと思われます.

ではお言葉に甘えまして、、 :)

> 私もWindows95の開発者ではないので,その方をハッピーな気分に
> するために憶測を展開したいと思います. :)
>
> 高橋さんはMS社の経営戦略という面白い話も挙げられましたが,

ソフトウエア開発者として後にどのような評論を受けるのがハッピー
なのか、、 いろいろ自分の仕事ともからめて考えさせられます。
でももし自分が当時のWinの設計者だったらと考えてみると、与えられた戦略
要因と技術制約の枠で最良の設計をした、と今頃胸を張って言えて
るんじゃないかとおもいました。実際Windowsは市場シェアではこれ以上
ない大成功したことは疑いないですし。

まとめていただいた集中型、モジュール型それぞれの特徴の御指摘は
大変的確だとおもいます。 もちろん両者利点と不利な点があり、その中間
で可能な無数の設計のうちどこで妥協するか、という恣意的というか工学的な
判断がソフトウエア設計という'アート'の焦点なのかもしれません。
UNIX系はモジュール指向だとはいいましても、御指摘のとおり設定情報が
ばらばらの場所、記述方法で散在しているようではシステムとしての機能が
最大限に発揮できるとはいえません。そこで実際にはデスクトップ上で
ユーザーが利用するアプリケーションの設定情報は一箇所で集中管理しよう
という流れになってきています。GNOMEのgconfとかがそれで、
レジストリエディタ様のものも実際ありここだけをみると、後発な分むしろ
WindowsよりもWindows的ともいえるかもしれません。といってもこれは
OSの核(カーネル)の設定情報を置く場所、ユーザーが通常触れない
サービスの設定を一括して置く場所など、ソフトウエア工学では
「機能凝集」といったりしますが、別けて管理することで機能集団ごとの
直交性を確保し、システム全体のメンテナンス性やロバスト性を両立させる
という考え方を押し進めた結果の一つとして説明できるとおもいます。


さて、これを厳しいのを承知でLIFE的な話になんとかもっていかせて
いただくとすると、、

たとえば核酸の塩基配列、核酸の修飾からはじまりタンパク質分子の修飾、
複合体形成、濃度、局在などの遺伝子から見て下流にいくにしたがって集中型の
管理から分散型の情報保持の傾向が強くなるわけですが、進化の仮定では
何にどんな(具象的な分子機構という意味ではなく抽象的な機能の文脈で)
情報をもたせるかにある程度の自由度というか冗長性があったとおもわれます。
それが現在あるような姿になっているのは、なんらかの選択の
メカニズムがはたらいた結果なのかそうでないのか。上述のソフトウエア工学
的「アート」にあたるものが、de Duve的な言葉でいうと「固定化された偶然」
なのか「決定論的な必然」なのか、はたまた「選択的なボトルネック」があった
のか、僕は答えをいまのところ持ち合わせていないですけど、実はここにも
深遠な疑問がひそんでいる感じがします。

なんとかまとめました :)

高橋

P.S.
# 先ほどのメール、(001703番となっているとおもわれます)こうやって返信
# いただいてるので大丈夫だとはおもいますが、自分のアドレス
# (ktakahashi74@***.***)には帰ってきませんでした。まだちょっと心配です。
# FMLの設定ってそうなってましたっけ?





> Winレジストリ→集中管理
> UNIX→モジュール型管理
> という視点 を提供されました.
> ここで管理されている情報は先に挙げたOS自体の初期設定情報でなく,
> アプリケーションが個別に設定する環境変数のような情報だとしますと,
> こういう差が生じますね.
>
>
> モジュール型管理の特徴
> アプリ開発者:
> 自由にパラメタ設定できる
> OSの仕組みについて熟知必要
> 自由度が大きいだけに,自分で作る部分も多い
> ユーザ:
> アプリ開発者ごとにパラメタの設定方針が違うので,
> それについてゆく必要がある
> OS開発者:
> 大枠だけしっかり作っておけば,あとはアプリ開発者が
> 自分らでやるので,楽
> ユーザサポートの必要性は低い
>
> レジストリ型管理の特徴
> アプリ開発者:
> パラメタ設定に多少制限がでる
> (開発基盤,ツールが安定しているので)OSの仕組みに
> ついてあまり知識がなくてもアプリがつくれる.
> 共通モジュールを参照するだけでよい.
> 設定ファイルを自分でどこに置くか迷う必要がない(レジストリに
> 書けばよい).
> ユーザ:
> とりあえずの操作がわかれば,パラメタを意識することなく
> アプリが使える.(バグが出た場合はお手上げ.)
> OS開発者:
> システム全体に責任を持つ必要があるため負荷は増加
> ユーザサポートの際,とりあえずレジストリを参照れば,
> ユーザPCの概要がつかめる.
>
> 私は,単なるユーザなので,ユーザの視点ではパラメタを意識すること
> なく使えるというのは,クリティカルだなあとは言えるのですが,
> どれが一番クリティカルな差だと思いますか?
>
> 初期設定レジストリについてもオーバーラップする点が多いと思います.
>
> 飯田一浩
>
>
>
>
>> -----Original Message-----
>> From: Koichi Takahashi [mailto:ktakahashi74@***.***]
>> Sent: Saturday, April 22, 2006 12:08 PM
>> To: life@***.***
>> Subject: [life:001703] Re: 比喩 Windows OS と 細胞
>>
>>
>> 以下、配信から落ちてしまっていた投稿を再送します。
>> (かなり時期を逃してしまっているのであまり意味ないかも
>>  しれないですが、一応、、)
>>
>> 飯田さん、対応どうもありがとうございました。
>>
>> 高橋
>> The Molecular Sciences Institute, Berkeley, USA.
>>
>> ------------------
>> 飯田さん、荒さん、
>>
>>
>>>>> 細胞との比喩,システムにおける情報の使われ方,という見方で
>>>>> レジストリって興味深い.何故,必要になったのか知りたいです.
>>>>> レジストリが作られた歴史的経緯について知ってるヲタクさんは
>>>>> 近くに居ませんか?ざっと調べたのですが,見つかりませんでした.
>> windows方面は無知に等しいのですが、Windowsの初期発展の
>> 時期におけるMicrosoftのビジネスモデルの変遷が関係してるような
>> 印象があります。
>>
>> 前に投稿したメール(なぜかMLのアーカイブには
>> 表れていないのでうまく配信されていないかもしれません。)
>> でちらっと述べたのですが、他のOS、たとえば
>> たとえばUNIX系では画面描画はOSの一部ではなくX-Window という
>> ユーザー空間で走るシステムがおこなっており、アイコン
>> をクリックしたときの動作などはさらにこのX の上に構築された
>> Desktop Environment と呼ばれるシステムが管理しています。
>> 荒さんのおっしゃるように起動時のシーケンスはinit.dディレクトリ下の
>> 諸ファイルで決まります。各々のアプリケーション、サービスの設定情報は
>> それぞれ個別のファイルがあることが多いとおもいます。というか
>> 基本的にOS研究者のmindsetとして、モジュール性は計算機科学の
>> 基本ですから集中管理を避けたいという気持ちがあるのではないでしょうか。
>>
>> (以下完全に憶測ですが、、)
>> ではなぜwindows であえて集中管理をする設計にしたのかとかんがえてみると、
>> もちろん当時のPCの性能などの理由から設計の理想よりも現実をとった
>> ということもあるとおもいます。それに加えて、当時のMicrosoftにとっての
>> ソフトウエアビジネスの最適戦略は明らかにデスクトップ環境
>> 独占することで派生的なメリットを追求すること、たとえばOSの初期設定で
>> ブラウザとしてIEが立ち上がるようにすることでウェブでの主導権を
>> ネットスケープから奪うこととか、だったという背景もあるとおもいます。
>> このような戦略を正当化する流れからは、オペレーティングシステムという
>> 概念そのもののができるだけ大きくとらえられているほうがいいわけです。
>> この「大OS主義(?)」を後押しする技術的な戦術展開として本来個々に
>> アプリケーション、ユーザーレベルで管理するべき情報までOSの動作に
>> 深く関与するレジストリに含めてしまうことによるメリットが、そのことで
>> OSの動作を不安定にしかねないデメリットを上回る、という判断があった
>> のかもしれません。
>>
>
>
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