|
大戸様，高橋様，荒様，三田様，小野様，伊都賀様，松野様
ＬＩＦＥの皆様
少し時間が空きましたが，生命が満たすべき必要条件について，
議論を再会いたします．
（議論の前提については，２４番からの記事をご参照下さい．
新たに参加された方で議論の経緯についてお知りになりたい方は
メールを一つにまとめたファイルがありますので，
iida@***.*** までご連絡下さい．）
これまでの経緯を簡単に述べます．
生命が満たすべき必要条件を考えるたたき台として飯田は，
１．代謝である．２．物理的境界がある．３．センサー，プロセッサー，
アクチュエータに相当する機構があることを挙げ，
とりあえず，それらに補足説明を加えております．
１．２．については，補足説明が終わり，具体的な検出基準に入ろう
としているところです．
（まず，ざっと見てみようという方針で進めておりますが，
既に１００件近いやりとりがありましたので，結論に達しないまでも，
近日，”中締めまとめ記事”を出させていただく予定です．：）
以下からは，３．センサー，プロセッサー，アクチュエータがある
について，補足／修正させていただきます．
３．は，言い換えれば，特定の刺激に対して，合目的的な反応を
生じるという意味です．
まず，準備として「合目的性」について述べます．
合目的的という際の「目的」が何か？というと
１．目的＝”生き残り” survival である．
が妥当だと考えております．
先日ご紹介した Selfish Gene の著者の R. Dawkins がsurvival
（生き残り）ということに最大の敬意を払って，言ってみれば
当たり前のことをとくとくと解説していたのに共鳴した
ということもあるのですが，このことは，我々が
２．「代謝の持続をもって生命とする」
ということを言い換えたに過ぎないことにお気づきになると思います．
それで，生命が満たすべき必要条件を「代謝の持続」にとるならば，
「目的＝生き残り」ということになってしまうわけです．
（つまり，古典的な代謝の概念には，同化，異化という形で境界の存在が
織り込まれています．また，環境は変動することを認めるなら
その変動に応じた振る舞い無しに継続できないという理由で継続することと
センサ，プロセッサ，アクチュエータに相当する機構が検出されることは等価
とみなせます．そういう意味で，「代謝の持続」は，環境の変動を前提とすれば
１．代謝系である．
２．物理的境界がある．
３．センサ，プロセッサ，アクチュエータ機構がある．
と，等価なわけです．）
では，生き残りなんて事柄を数理的に書けるのか？となるわけですが，
書けそうです．それとは全く別の書き方をしようと思ってますが，
制御理論の中に”生き残り理論： viability theory”というのがあって
生き残りを書いています．
{Aubin, J-P (1991), Viability Theory, Birkh$ddot{a}$user, Boston. }
の２３ページをご参照下さい．
私のは，まだ不完全なのでおみせできません．
（余談ですが，注意が要なのは，
１．２．が全体の視点での議論なのに対して，３．では合目的性など，
局所の視点に立つ議論である点です．つまり，系全体の遷移を観測する
ことで決まる部分系の構造，振る舞いを「解釈」した結果として，
センサー，プロセッサ，アクチュエータ，合目的性などの「意味」を生じ
ています．
さらに，個体レベルのとしての議論であるにもかかわらず，生き残りと
いう概念が必要なことから，種に相当するレベルの議論との境界線上の
議論になります．
いづれにせよ，３．は最も難しいところなので，
ご指導いただければ幸いです．）
飯田＠ＮＥＣ
（続く）
# 同じメールが２通配信されないために，ご面倒ですが
# おまじないとして Reply-to:欄に何も書かれていないことをご確認
# の上ご投稿下さい．:)
--
"Life and Evolution '97"
Kazuhiro Iida,
Fundamental Research Laboratories, NEC Corporation,
34 Miyuki-ga-Oka, Tsukuba, Ibaraki, 305 Japan.
TEL +81(298)50-1142, FAX +81(298)56-6136.
----- |
|
|
