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生命の起源 #1597 : LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life study
LIFE Mailinglist Archive for the Origins of Life Study

ID
1597
DATE
05/20/2005 01:17:47 PM
TITLE
[life:001597] 細胞内寄生細菌
AUTHOR
"OAH" <piyopiyo@***.***>
BODY


LIFEの皆様

昨日、筑波大のセミナーに参加してきました。

産総研の今藤 さんが、
「アズキゾウムシとボルバキア感染:細胞質不和合性と感染の蔓延、
隠蔽種?の発見」と題して講演されました。面白いと思ったとこ、
かいつまんでお知らせします。

ボルバキアは、線虫や節足動物の細胞内に寄生するαプロテオバク
テリアの一種です。それら全ての種に感染しているわけではありません
が、親和性のある種では、生殖細胞、その他の体細胞の細胞質にたくさん
存在しています。おそらく、細胞内膜で囲まれていると思いますが、電顕
写真でみることろ、食胞に入るわけでもなく、ほとんどミトコンドリアのように
細胞質になじんで存在しています。この細菌の場合、水平感染はほとんど
見られないそうで、卵の細胞質をつうじた垂直感染のみで伝搬するそうです。
これが細胞質にいることで、生存率が高まる種の場合もあるそうですが、
アズキゾウムシの場合、利己的な寄生関係らしいとのことです。

ところで、このボルバキア、進化から見て面白い細胞質不適合性(CI:
cytoplasmic incompatibility)という現象が知られています。
感染オスの精子が、感染していないメスの卵に入ると、機構は不明
だけれども、発生が止まってしまう。感染しているメスの卵に入ると
正常に発育する。これによって、感染していないメスは子孫を残せない
ことになり、感染メスばかりが増えるという、見かけ上、垂直感染で
増えるボルバキアに都合のいい現象がおこるそうです。さらに、
ボルバキアにも、種があって、異なる種類のボルバキアが感染している
メスの卵に感染精子が入っても、やはり発生が止まり、同じ種類の
ボルバキアどうしでないとだめとか、混合感染している場合、優先的に
CIがでるとか、面白いことがおこるそうです。

セミナーでは、生態や分子進化との関係が中心でしたが、私などは
こうした生存戦略と、細胞内への定着(ミトコンドリアのように)との
関係なぞおば、考えてみると楽しいかもしれないと思ったことでした。

飯田一浩

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